2024 WBSプロ第2戦【即リポ!】


大藪厳太郎・篠崎優希チーム

代掻きの濁りを味方につけた激スロー戦略で

船団で勝利の雄叫び!

 

2024 W.B.S. pro team tournament 2nd

4月28日、北浦・潮来マリーナに馳せ参じた36チーム・72名が争った2024 W.B.S. pro team tournament 2nd。 銀座となった北浦・最上流域で頭ひとつ抜けだしたのは、大藪・篠崎チームだった。

 

ピーカンに加え最高気温は25℃を越え、汗ばむ初夏の陽気となったW.B.S.第2戦は、このタイミングで入った田んぼの代掻きの影響か、全体的に釣果が低迷。全36チーム中15チームがノーフィッシュという結果に終わったが、優勝したのはその濁りをポジティブに捉えたペアだった。

 

***

 

第2戦の舞台は北浦。スタートコール時の参加選手の動きを観察すると、大多数の選手が会場の潮来マリーナから上流に向けてバウを切っていた。

 

試合の震源地となったのは北浦最上流の巴川エリア。プラクティスの段階から多くの選手が鹿行大橋より上流で手ごたえを得ており、とくに最上流エリアには10艇以上のボートがひしめく、W.B.S.では珍しい船団戦となった。となればスタート順が大きな意味を持つわけだが、優勝したのはなんと36チーム中35番目という最悪のカードを引いた大藪・篠崎チームだった。

 

この日の気温は25℃。水温は20℃を越えるという初夏の陽気。風こそわずかに吹いていたものの、雲ひとつないピーカンは、スローな展開を予想させた。そんななか、4尾・2720gというウエイトで勝利をもぎ取った大藪・篠崎チームの勝利の要因は大きく2つ。濁りを味方につけた釣り方とルアーセレクトだった。

 

ところで、この時期の霞ヶ浦・北浦水系でアングラーを悩ませる要因のひとつが「代掻き」だ。田んぼ由来の強い濁りや農薬を伴った水が流れ込むことで水質が悪化。結果、魚が沈黙するという現象だ。

 

大藪選手はこの代掻きをむしろ歓迎した。それは、同水系内では平時の透明度が高い巴川エリアというのも関係していたのかもしれない。

「クリアアップしてしまうと、魚が警戒してシャローに上がってこないように感じました。だから、練習では代掻きの濁りをずっと待っていたんですよ、前日になってやっと濁りが落ちてきて、『よし、いいぞ』と」

 

しかし、当日そのエリアについてみると前日よりも透明度が上がっていることに気づく。ならばと、スポットの濁り具合に応じてドシャロー、あるいはやや外側(濁りの帯ができたラインに絡んだカバー)を釣り分ける作戦を決行。「このエリアから絶対に出ない、釣りきってやる」と腹を括り、帰着時までボートのエンジンをかけることは一度もなかったという。

 

ルアーはイマカツ・スキップドッグの「増毛チューン」。俗にいうイモラバ系だ。近年霞ヶ浦水系で特に有効とされるルアーであり、3位になった今井選手もワームは異なるが得意とするリグ。大藪選手もこのリグを研究し、自身のコンフィデンスベイトであるスキップドッグをイモ化。キーはラバーによるアクションの変化ではなく、泥底の超ドシャローのボトムに置いてもルアーがラバーの抵抗で埋まってしまわないことだったという。これをカバーに撃ちこみ、ステイさせることで極めてスローな春のバスに拾い食いさせるのだ。

 

無風の午前中は乱杭のインサイドのアシで2尾をキャッチ。昼前に風が出てくると、アウトサイドに面したアシにクルーズ系のバスが回ってくると読み、これが的中。同じくスキップドッグで1200g、1300gとグッドサイズを手にし、全チーム中唯一の4尾ウエイインで3㎏越えを達成した(ペナルティーがあり、成績上は2720g)。

 

かつては浚渫師として知られ、沖に浮くことが多かった大藪選手。しかしここ数年の霞ヶ浦は浚渫の爆発力が鳴りを潜め、同選手も苦しむことが多かった。

「ですから必死でシャローの釣りを練習しました。そして年を重ねるごとに、藤田京弥くんが言う『バスフィッシングはフィジカルスポーツ』というのも身に染みてわかってきたので、今は朝晩のウォーキングを日課にしています。今回は優勝もうれしいですが、シャローの釣りで霞ヶ浦最強と言ってもいい今井選手(3位)と蛯原選手(2位)に同じエリアで釣り勝てたのが何より嬉しいです」

 

ペアの篠崎選手はなんと初戦に続き連続優勝。しかし、この勝利はひとしおだったようだ。

「実は自分のノンボーターデビューの時のパートナーが大藪さんだったんです。その時はノーフィッシュで手も足も出なかった。それが今回、また大藪さんと組んで釣果にも貢献できて優勝。本当にうれしいです」

 

準優勝は蛯原英夫・千葉ドラチーム。やはり北浦最上流エリアで粘りの釣りを展開した。「キーワードは我慢。とにかくシンカーを軽くして、スローに釣らないと食わないし、食っても乗らない」と、得意のヘビーシンカー・テキサスを封印。0.9gのネイルシンカーをセットしたツインテールリンガーのネコリグで3尾・2325gを絞り出した。

 

3位は今井新・神尾佑樹チーム。大藪チームと同じくイモラバ系(スピンナッツ60)を駆使し、大会ビッグフィッシュとなる1410gもキャッチ。トータルは2尾・2215g。カバーに入れてステイさせるという神経戦が実を結び、今井選手が「苦手意識があってこれまで結果を出せていなかった」と語る北浦戦で見事な3位入賞

 

4位は齋藤寛之・小石博明チーム。代掻きの濁りを嫌った齋藤選手は、まだ濁りが回っていないエリア最下流の北利根・常陸利根にエスケープ。アシやブッシュが複合したカバーで得意のパワーフィネスを展開。HP3Dワッキーのカバーネコリグでキロフィッシュ2尾をぶち抜いた。ウエイトは2尾・2100g

 

5位は関和学・平賀善彦チーム。朝イチに野良ネズミに派手なバイトがあったことから数時間はその釣りにひっぱられてしまったというが、ペアの平賀選手がスワンプクローラーの0.9gネコリグで900gをキャッチしたことで「やっぱりスローだよね」と目が覚める。そこから1尾を追加し、2尾・1580gで5位となった

 

こうして灼熱地獄に襲われた第二戦が終わった。相変わらず難解な水域だったが、各チームの奮闘のおかげで、全体的な釣果は初戦を上回った。その敢闘精神に対して、心から敬意を表したい。

残りは2デイが2戦、1デイが1戦である。

なんか、面白くなってきた2024年シーズンである。

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