第1戦 レポート


瞬殺の3.5kg!!

 

加藤栄作・島田悠一チーム

難解な春を制し、見事初戦のウィナーに!!

 

2023  WBSプロトーナメント 第一戦レポート

 

 

3月26日未明、土浦新港の空には星ひとつ見えない。

黒い雲が低く垂れこめているだけだった。

予報された雨はまだ降っていない。

風はないが寒い。

そんな、何やら不気味な雰囲気が充満していた。

 

そこに続々とバスボートがやって来た。

煌々と照っていたライトは、集合時間を待ちきれないような輝きだった。

ドライバーは皆、今年初の戦いを前にして、自らを抑えることができなかったのである。

その目は皆、血走っていた。

鼻血寸前だった?

 

一週間前の18日。

ホテルマロウドで3年ぶりにキックオフ・バンケットが開催されてから、試合への機運がグーンと高まった。

すでに助走に入っていたかのようであった。

いつものW.B.S.トーナメント開幕の流れが始まったからである。

 

振り返ればこの3年間、コロナに災いされて、思うようなスケジュールを実行できなかった。

その反動が通常開催に漕ぎつけた3月26日の朝に現れたのである。

 

今年から若干フォーマットが変ったことも選手の士気を上げた。

クラシックレースがより生々しくなったポイント制。

試合での釣果を期待させたオフリミット。

どうしてもそれらの効果を期待してしまう。

 

 

だが、相変わらず状況は厳しかった。

3月に入り穏やかな春日が続いたかと思うと、18日、パーティーの日には冷たい雨が降り、試合前日の25日にも雨が降った。

当然、水温は下がる。

この変化が魚を一気にスローにさせてしまうことは容易に想像できた。

差して来ようとする魚を躊躇させてしまったのである。

 

当然、各チーム、プランの変更を余儀なくされた。

 

試合当日の予報も曇りから雨。

気温は10℃チョイである。

これでは魚どころか人間も萎えてしまう。

 

しかし、それでも選手は戦わなければならないのだ。

 

そんな中、36チーム72名のアングラーは土浦新港を漕ぎ出て行った。

いつもの朝日に向かってのフライトではない。

鉛色の空に向けてのスタートである。

 

 

風は次第に強くなっていった。

東北系である。

したがって本湖南岸はやや荒れ、東岸はベタ凪だった。

 

そんな状況だったので、多くのチームは東岸にエレキを降ろした。

あとは桜川、本湖西浦などが多かった。

比較的近場でゲームを作ろうとしたのも、手探り状態を表していた。

 

釣りとしてはスピナーベイト、シャッドなどを巻くチームが多かった。

もちろんパートナーにワームを担当してもらうなど、分業を実行していた。

 

釣果の予想としては3本獲ったらお立ち台、2本でも米の飯、といったものだった。

1本でも上出来。

 

魚を触ることはできるだろうが、複数固めるのは至難の業、ゼロの危険性も大いにある。

そんな感じだった。

プラを重ねた選手の予想だけに信頼性がある。

 

 

そんな初戦を制したのは加藤栄作・島田悠一チーム。

わずか10分の間に2本3515gという優勝ウェイトを固めた。

まさに「瞬殺」である。

しかし、この数字もイージーに作ったわけではない。

 

前述のようにこのチームもプランを白紙に戻して「魚を探すつもり」で出て行った。

フライトはセカンドの1番。

とりあえず桜川河口の石積みに行くも水悪し。

お目当てのシラウオもいない。

そこで石田のブレイクに移動。

無欲でハイカットDR F(リアルワカサギ)を投げれば、数投でビッグフィッシュ賞に輝いた1795gが食って来た。

そして10分後には2本目が来た。

8時前の出来事である。

 

結果的にはこれで勝利が決まったが、それは神のみぞ知ること。

加藤チームは2本の大きな魚を傷めないことを最優先に、近場での釣りに専念した。

 

プラではヤマセンコーのネコリグなどで釣れたようだが、本戦ではシャッドが炸裂した。

その巻き方にキモがあったようである。

ネタを明かせば「早巻き」。

ボトムにコンタクトしても止めずに巻く。

その一瞬にバイトが出たという。

いち早くその感触を察知した加藤選手のワザアリの勝利だったといえよう。

 

トレーラーウェイインの最後に登場して、逆転で優勝をもぎ取った加藤チーム。

初戦にして派手なフィナーレを見せてくれた。

W.B.S.2023年シーズンにおける最高の見せ場を作ってくれた。

 

降りしきる雨も気にならないファイナルウェイインだった。

 

Congrats!


加藤選手タックルデータ

Tackle1 (ビッグフィッシュ)

ROD:Evergreen International カレイド インスピラーレ GTR-C66LLR スーパースティードGT-R

REEL:ベイトキャスティングリール

LINE:サンライン FCスナイパー 8lb

LURE:O.S.P ハイカットDR-F リアルワカサギver.2

 

Tackle2

ROD:メガバス エボルジオン F2-63ti-sウィンディシャッド

REEL:スピニングリール

LINE:サンライン FCスナイパー 4lb

LURE:O.S.P ハイカットDR-F 金黒オレンジベリー

 

 

島田選手 タックルデータ

Tackle1
ROD:Evergreen International  フェイズ シューティンスター

REEL:DAIWA アルファス AIR
LINE:Evergreen International  バスザイルマジックハードR 8lb
LURE:O.S.P ハイカット

 

Tackle2
ROD:アルマダ 67ML/LS

REEL:ベイトキャスティングリール
LINE:Evergreen International  バスザイルマジックハードR 12lb
LURE:Evergreen International カバークリーパー ダブルモーション


準優勝は全チーム中唯一3本の魚を持ち込んだ庄内靖・小林知也チーム。

ウェイトも3005gという素晴らしいものである。

体調が思わしくなく、プラにも出られなかった庄内選手だが、前プラも大雨で自粛。

結果的にノープラでの試合となったが、「この時期は東岸」という経験値を生かし、麻生、玉造の石積みを周り、そのエッジから3本の魚を抜き出した。

 

具はケイテック・スイングインパクト3.5gのテキサスリグ(5g)。

これをスイミング気味に使ったという。

パートナーの小林選手も大活躍。

ドライブシャッドのノーシンカーで最初の魚を確保した。

 

庄内選手タックルデータ

Tackle1
ROD:カスタムロッド

REEL:DAIWA SV Light LTD-TN
LINE:DAIWA モンスターブレイブ14lb
LURE:ケイテック・スイングインパクト 3.5 5gテキサス

 

Tackle2
ROD:カスタムロッド

REEL:DAIWA SV Light LTD-TN
LINE:DAIWA モンスターブレイブ 10lb
LURE:RAID Japanレベルシャッド

 

小林選手タックルデータ

Tackle1

ROD:メガバス F2-64XS

REEL:スピニングリール 2000番

LINE:PE0.8号 ナイロン8lb
LURE:O.S.P ドライブシャッド 3.5


3位は一番熱心に練習しているというリーダー(大塚拓)周東将輝チーム。

このチームも本湖東岸を釣り切った。

6日間のプラで「魚は触れる」と確信、エレキのトラブルに見舞われながらもDゾーン3/8を投げ倒し、パートナーと1本ずつ魚を確保した。

リーダーは2年目にして初入賞。

練習の賜物と言えよう。

 

リーダー選手タックルデータ

Tackle1

ROD:ベイトキャスティングロッド

REEL:ベイトキャスティングリール

LINE:サンライン マシンガンキャスト
LURE:Evergreen International  Dゾーン 3/8 シャローロール

 

Tackle2

ROD:ベイトキャスティングロッド

REEL:ベイトキャスティングリール

LINE:フロロ12lb
LURE:O.S.P ドライブクローラー 5.5 ネコリグ


周東選手タックルデータ

Tackle1

ROD:ベイトキャスティングロッド

REEL:ベイトキャスティングリール

LINE:サンライン FCスナイパー 14lb
LURE:Evergreen International  Dゾーン

 

Tackle2

ROD:ベイトキャスティングロッド

REEL:ベイトキャスティングリール

LINE:サンライン FCスナイパー 12lb
LURE:ジャッカル ネコフリック


4位は得意のテトラを釣りまくった関和学・堀越翔太チーム。

6バイト獲ったというが「緊張と久しぶり」だったので2本ゲットにとどまった。

全部獲れてい「れば」という惜しい結果である。

関和選手は、SDGマリン取扱いボートを使用しているアングラーの最上位となったので、通常の入賞とは別枠で、SDG Marine賞を獲得した(※SDG Marine賞についてはこちらをチェック!)。

 

そして5位は麻生漁港ドックのテトラで粘りきり、パートナーのドライブクロー4.5が炸裂した渕井守・山本道也チームだった。

 

こうして2023年の初戦は無事に終わった。

ほとんど一日雨だったので、選手一同濡れ鼠で大変だったことだろう。

しかし、これもトーナメントだ。

 

36チーム中20チームがノーフィッシュに終わるという激渋の試合だったが、全チームが死力を尽くして戦ったと思う。

その差はあってないようなもの。

戦い終えた選手の表情が「やりきった」清々しさをたたえていた。

 

心からお疲れ様と申し上げたい。

 

なお、今回から表彰式のMCを若手にバトンタッチした。

W.B.S.も変って行かなければならない。

去年と同じでは停滞を意味する。

若いアングラーの挑戦が目立つ今日この頃、運営にもフレッシュなエネルギーが求められる。

慣れない点も多々あろうが、長い目で見ていただきたい。

飛躍というものは、一歩下がった後に為されるものだから。

 

つーわけで皆さん、お疲れ様でした。

 

レポート 大和小平

 

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