罵州雑言

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その153 タマムシの話


 

タマムシって知っているかい?

おっと、くれぐれもタマムシの前に金をつけるんじゃないよ。

タマムシてぇとダンゴムシを思い浮かべる人や、

玉虫厨子で有名なタマムシが思い浮かぶだろうが、

釣り人が言うタマムシてぇのはイラガの繭だな。

 

イラガてぇのは蛾の一種で成虫は刺さないのだが、

幼虫の時には身体に毒針があって、

触れるとデンキムシの異名を持つほどに痺れる痛みを発する。

暫くは恐怖症になるな。

そのイラガだが、前記したように成虫になると刺さない。

また、繭に入っているときは刺さないんだ。

 

 

 

これがタマムシね。

霞ヶ浦の湖岸に棲息している。

快適な生活空間が約束されているからだろうな。

例えば、湖岸線には農薬の散布がないからね。

農薬から逃げる必要がないんだ。

これだけでも虫にとっては暮らしやすいのだろうなぁ。

人間の棲む場所じゃ、草木は農薬だらけだからなぁ・・・。

 

しかし、暮らしやすいと言っても自然界には常に敵がいる。

天敵って奴だな。

この無敵のようなタマムシにも鳥だけじゃなく、天敵がいるんだ。

それがイラガイツツバセイボウと言うハチの仲間だね。

 

 

 

タマムシの天辺に小さな穴を見て取れるかい?

この穴が曲者でね。

穴からセイボウが卵管を刺して自分の卵を産み付けるんだ。

で、イラガの幼虫とセイボウの幼虫が入れ替わるてぇ訳だ。

そう、寄生するんだね。

 

イラガの幼虫を餌にしてセイボウの子が育つんだ。

イラガの親にしたらたまったもんじゃないよな。

でも、これが自然界なんだよ。

常に敵がいるのが自然の世界なのである。

 

 

 

ところで、このセイボウってハチは外来種なんだよ。

在来種に寄生して外来種が育つ・・・生態系原理主義者が耳にしたら、

怒り狂いそうなことが起こっているんだな。

でも、誰も何も言わない! 金にならないからなっ!!

霞ヶ浦湖岸にはタマムシがいっぱいいる。

とてもじゃないが捕り尽くせないほどにいる。

紛れもなく、自然界では在来種と外来種が共存しているてぇことだな。

 

そう、ご心配しなさんな、年に数回でもイラガに刺される

オカッパリアングラーがいるのが幸せ・・・てぇことだよ。

今年の藪漕ぎは毛虫に刺されないように気をつけろよ!

 

 

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