罵州雑言

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その007 アリの一穴


 

美浦村舟子の清明川河口にある水路の維持管理を行っていると、

植物の力強さをまざまざと見せつけられる。

人間なら機械に頼らないと出来ないような芸当をいとも簡単にやっているんだな。

 

 

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水路の総延長距離950mの維持管理である。

相当な大きさのエリアを担当することになった。

単純に計算すると、1000m×40mの植生浄化施設である。

40000㎡、この広さを維持管理するとなると、人員は元より資金の調達が不可欠になる。

が、途中で投げ出すわけにはいかない。

俺たちが投げるのはルアーだけだ!

 

その俺たち活動を阻むのが植物たちである。

それも在来の植物たちが行く手を阻むのだ。

情け容赦なく、コンマ1ミリの情も持たずに伐採していくのだが、

敵もさるもの引っ掻くもので、棘や鞭のようなしなりで反撃してくる。

 

 

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まるでガジュマロ風に枝を伸ばすヤナギや、

悪魔の爪を持つ触手を伸ばす野イバラの強さに、隊員は誰彼もなく辟易としてしまう。

もし、俺たちに機械がなかったら・・・。

とても手入れをする気にはなれなかっただろう。

これらの全てが外来種ではなく、在来種なのである。

 

で、在来種至上主義の皆さんに一言、

在来種も時として悪さをするし、永年生き長らえてきたことでその生命力が半端ないのだ。

在来種には環境変化に耐え得る器量があるんだよ。

その証拠がコンクリートを突き破って枝を伸ばすパワーだ。

外来種なんぞにはビクともしない生命力があるんだな。

 

でもね、俺たちの様な酔狂な釣り人が施設の維持管理をして行かないと、

植物たちがコンクリートに亀裂を生み出すので築堤は守れない。

築堤がもし崩れたら・・・台風や豪雨による出水で流域住民に被害が及ぶだろう。

アリの一穴の例もあることだからなっ。

そう考えると、俺たちが行っている水路の維持管理てぇのは、

国や流域住民の役に立っていると言うことだ。

皆の衆、自信と誇りを持って作業を続けようぜぃ!

 

 

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