帰ってきた Cool Cool Phoo

帰ってきた Cool Cool Phoo

悪夢 その9


過日、俺はある製品のキャッチコピーを考えていた。

この秋に出る予定の新製品だ。

俺はこの手の仕事はかなり好きだ。

いいものが出来た時には、この仕事を続けてきて来てよかったと思う。

 

しかし、今回はどうにも調子が出なかった。

信じがたいかも知れないが、私らの世界にも、好不調の波がある。

それは体調などにも大きく影響される。

調子がいい時にはポンポン出てくる。

逆にダメな時には何をやってもダメ。

 

そして年齢から来る衰えもある。

発想が錆びつくからだ。

 

そのために俺はあらゆる事象に対して好奇心を失わないようにしているが、

それでも限界はある。

昨今の流行ごとにハナから興味が持てないと、好奇心も湧かないからだ。

 

それはともかく、今回は本当に絶不調だった。

つまんないものしか出来ない。

我ながら嫌になる作品ばかりだ。

これではクライアントに出すことはできない。

 

そして、この世界には締め切りというものがある。

自慢じゃないが私は締め切りに遅れたことはない。

しかし、今回は厳しかった。

 

時は夕方。

締め切りはその日一杯である。

私は完全にテンパった。

残るは6時間。

 

こういう場合、私らの職業の場合、

気分転換に頼る。

散歩したり、ギターを弾いたり、

とにかく一瞬、仕事を忘れるといきなりズバッと閃くことがあるからだ。

一見、回り道のようだが、その方が好結果につながることが多い。

 

私の場合、パソコンで原稿を打つので、YOU TUBEなどを覗くことが多い。

そこで釣りの動画かなんかをボケっと見ていると、ヒントをもらえたりする。

人によっては風俗系に行くようだが、私はそういうことはしない。

たまにしか。

 

んで、キャッチに苦しんでいた私は、YOU TUBEをサーフィンしていたら、

「不毛地帯」にブチ当たってしまった。

そう、山崎豊子の小説を映画化した作品である。

何回か映画化されたが、私が遭遇したのは唐沢寿明主演のものだ。

 

それがYOU TUBEにUPされていたのである。

ちなみに、もう見ることはできない。

 

私はキャッチの締め切りを寸前に控えていたにもかかわらず、

それを見だしてしまったのである。

面白くて、止めることはできなかった。

昔、何度か見たことはあったが、あらためて面白かった。

 

旧陸軍の参謀がロシアに抑留された後、帰国して商社に入り、

さまざまな荒波を乗り越えるという物語である。

夕方から11時過ぎまで見てしまったのである。

 

見終わった後、「さーキャッチでも考えるか」とキーボードを前にしたが、

何にも出てこない。

結局、゛何点かの第二候補でお茶を濁してしまった。

 

こんな時にドラマにハマるなんて・・・まさに悪夢。

私は自分のアホさ加減に呆れたのである。

 

ちなみに提出したキャッチはどんなものかというと、

横浜線で横浜から3番目の駅

そのココロは

菊名。(聞くな)

この程度の発想じゃムリだわな。

そりでは来週は北浦戦です。

Comments are closed.