罵州雑言

罵州雑言

その268 汝、殺すことなかれ。


 

 

ワカサギ釣りのオジさんの中には、

ワカサギ以外の魚を釣り上げると、陸上に放置する輩がいる。

コイ釣りのオジさんの中には、

アメリカナマズなどが釣れると、これまた陸上に放置する輩がいる。

元の水に戻せば、命や資源を無駄にすることがないと思うのだがね。

 

 

268deadfish

 

思想、信条、主義という大義があろうとも、

生きている小動物を「殺せ!」と子どもに教えるのは、

命に対する冒涜であり、将来に渡って心に傷を負わせることになる。

それでなくても、子どもたちは残酷である。

命の大事さも、傷を負う痛みも経験していないからね。

これらって、成長する度に学んで行くことだからである。

 

その成長途中に、彼等の残酷さや残虐性を徐々に封じ込めるのが、

俺たち大人の役目なのである・・・・・・にもかかわらず、

生き物を「殺せ!」と教えるのは如何なものだろうか?

と、俺は常々思っているんだ。

 

 

ある日のことだった。

霞ヶ浦で釣りをしている子どもがブルーギルを釣り上げた。

同行してきた友だちに自慢しているようだった。

その様子を見ていた通りすがりの大人が、

「その魚、放すんじゃないよ。殺しなさいよ」。

と釣り上げた子どもに向かって言った。

子どもたちは突然に声を掛けられて唖然とした顔をしていたが、

追い打ちをかけるようにその人が、

「その魚は悪い魚だから、逃がしちゃ駄目だよ。法律違反になるよ」

と付け加えた。

たまたま、俺がそばにいたので、

「持って帰らないんだろう? 食べないんだろう? だったら逃がしていいよ。

釣った場所に逃がすのは、法律違反じゃないからね」。

子どもたちは暫く釣り上げた魚と大人たちを見比べていたが、

「いつも通りに逃がしていいよ」。

と俺がもう一度言うと、ブルーギルをハリから外し、水に戻した。

 

通りすがりの大人は、自分が正しいと思うことを言ったのであるが、

さて、さて、本当に正しいことだろうか?

 

俺にはそうは思えない。

殺すなら、命をいただくならその全てをいただきましょうよ!

死んだものが成仏できるように、

或いは天国に召されるように食するなどするのが筋だと思う。

それが出来ないのなら、釣り上げた魚は元の水に戻すのが最善である。

 

さぁ~て、皆さんはどう思うだろうか?

 

 

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