夏の焼ける様な日射しを受けて、朝から昼までウキを見つめていた。
来たる8月29日に開催する子ども釣り教室用の魚集めだ。
麦わら帽子を被り、首にタオルを巻き、
延べ竿とバケツを持って、
霞ヶ浦のぐるりを囲む堤脚水路で小物釣りだ。
目の前に蓮田があるので、いつ雨が降っても大丈夫。
ハスの葉っぱが傘の代わりになるからね。
ゆっくりと流れるウキを見つめていると、
半世紀ほどタイムスリップして、
小学生の頃に戻ったような気になる。
いいなぁ、魚釣りって。
釣り場にいると、いつでも子どもに戻れるからだ。
同時にいつまでも子どものままでいられる。
大人になれない大人とか、子どものままの大人とか蔑まされても、
俺は一向に気にしない。
好奇心が旺盛で、すべてにチャレンジする子どものままが良い。
目の前に大きなハスの花が開いていた。
この花の見頃はこれが最後だろう。
やがて、すぐ横にある花のように結実して行くのだろう。
ハスと言えば、俺たちはその実を「アッチッチィ玉」と呼んでいた。
実が硬くてコンクリートで擦っても削れないほどだ。
で、擦って熱くなった実を友達に押し当てるのが流行った。
友達は「アッチィ!」と言って跳び跳ねる。
それがきっかけで鬼ごっこが始まるのである。
ウキを見つめているといろんなことが思い出される。
幼きあの日に帰れるんだな。
霞ヶ浦のぐるりを囲む堤脚水路での魚釣りには、
そんなタイムマシーン的な要素があって、
俺に暫しのタイムスリップを経験させてくれる。
戦後70年……俺、64歳。
戦争を知らない子どもたちさぁ~。


