あれほど夏が好きだったのに、今では好きじゃない。
学生の頃は夏休みが待ち遠しかった。
俺の実家は商売屋だったので、何って予定があった訳じゃない。
けれど、夏休みは好きだったなぁ。
ただ単に学校や勉強が嫌いだったのだろうなぁ。
近所の大塚公園に移動図書館が来ていたっけ。
木陰に茣蓙を敷いてその上で寝そべって本が読めた。
家ではまず無理だった。
寝そべって本など読んでいたら、
お袋や姉貴たちに小言を言われたからだ。
「本を読む姿勢じゃない!」ってね。
公園の中の木々を抜けてくる風は冷風扇の風の様で、
心地が良かった。
読みながらついついウトウトすることしばしばだった。
知らないうちに優しいおばちゃんがタオルをかけてくれた。
こんなお袋がいいなぁ……罰の当たる様な事を思った。
そうこうしているうちに遊び仲間がやって来て、
グラウンドで鬼ごっこや三角ベースが始まる。
汗まみれになって遊んだ後は、公園の水飲み場で水を飲んだり、
仲間と水をかけ合ったりしてびしょ濡れになった。
びしょ濡れになったついでに、
公園の池に入って魚たちを追いかけた。
衣服や靴を履いたまま、上から下までずぶ濡れだった。
お袋の怖い顔がまぶたに浮かんだが、
怖さよりも楽しさの方が優先された。
ここ数日の暑さの中で、
そんな子供の頃の夏を思い出している俺がいた。
今は目の前に霞ヶ浦があって、彼方には筑波山がそびえ立つ。
ここは茨城、第二の故郷。
