霞ヶ浦の湖岸線のあちこちに巾着が投入されている。
巾着と言うのは、網の袋の中に割栗石を入れた簡易の防波資材である。
築堤を波浪の浸食から護るために投入される。
比較的、波浪が強い場所に入れられている。
これの正式名は、フィルターユニットエコグリーンと言うらしい。
この投入は、築堤を護るためだから仕方がないと言えばそうなのだが、
俺たち釣り人にするとテトラポッドの方が、
何十倍も釣り易いのは事実である。
なんたって割栗石が化学繊維の網に包まれているんだから、
ルアーが根掛かりしたら一巻の終わりである。
ルアーのロスト率が高まってしまうってぇことだからな。
しかし、その一方でこの巾着は、
水生植物にとっては恵みの施設になっている。
それまで波浪による影響で生えられなかった植物たちが、
少しずつ芽を出しているんだ。
とある場所でヒシを見つけた。
たぶんヒメビシだと思うのだが、細々と生えていた。
巾着自体が今年の春にできたので、
このヒシも今年の生まれだと思われる。
いや、いや、元々あったものが芽吹いたんだろうね。
大したもんだ。
一方こちらはヤナギである。
これも恐らくは元々あったものが折られたか、
押し潰されたかしたのであろうが、
なんとはなしに生えて来たのであろう。
いや、いや、これまた見事なもんである。
こうして巾着による影響で植物が増えると言うことは、
それが外来種であろうと、在来種であろうと、
良いことだと俺は思うんだな。
植物が生えることで水質や水流に変化が起こったり、
昆虫類や動物たちが増えたりなど、
周辺が変わって来るからである。
もちろん、それらの影響が表れるのは何十年も、
何百年も先のことかもしれないが、
霞ヶ浦の水に大きな変化を与えることは確実である。
過去も未来も、霞ヶ浦の変遷や変貌を見つづけているのは、
筑波山だけである。
だからこそ、俺たちの世代に良かれと思うことをして行こう。
築堤前の巾着施工は、霞ヶ浦の築堤を波浪から守るための施行である。
多少の釣り辛さは我慢して、水生植物たちが育つことに目を向けよう。
やがてそこには多くの魚たちが棲むことだろう。


