プロ第5戦レポート


霞ヶ浦で演じられた
今世紀最大のドラマ!

灼熱の最終戦を制したのは
平本直仁・小島孝明チーム!

A.O.Y.の座は
大逆転で橋本卓哉が奪取!!

2018 W.B.S. Pro Tournament 5th レポート

いやー、W.B.S.は面白い!
やっぱり最高です!
2018年のレギュラートーナメント最終戦を見て、あらためてそう思った。
一年間の総決算なだけに、見どころはたくさんあったが、優勝チームの7kg超え、
手に汗握るA.O.Y.争いなど、一瞬たりとも気を抜けない場面の連続で、ウェイインステージは最高に盛り上がりまくったのだった。

●釣れ釣れの初日

バストーナメントに魅せられた男たちが真剣に闘う姿は、それだけで見るものを興奮させるが、2018年の最終戦はW.B.S.らしさがフルに現れた歴史に残るベストゲームだった。

8月25日4時30分。
27チーム54名の戦士たちは土浦新港にやってきた。台風の余波でソコソコ風は吹いている。
一週間前は秋の到来を感じさせた関東地方だが、台風が過ぎて再び酷暑の日々が訪れた。

スタート完了は5時25分、
各チームは思い思いのエリアにバウを向けた。
心に期すものはA.O.Y.、そしてクラシック権獲得。
二日目のウェイインを笑って迎えられるよう、初日の釣りをスタートさせたのだった。
今回は実験的に2フライトでスタートしてもらったが、意外に好評であった。

土浦新港で感じた風は、
本湖に出るとさらに強くなっていた。
西浦の崎浜あたりまでは凪いでいたが、霞ケ浦大橋を渡って玉造、麻生に向うにつれ爆風で、
白波が立っていた。
当然、ボートの影は見えない。
ほとんどのチームは南岸でトローリングモーターを降ろしたようだ。
全体的に水位は少し上がっていた。

8時を過ぎると太陽が強く照り始め、
予報通りの真夏日となった。
午後には猛暑日になることも必定だった。
こうなると釣り以前に熱中症を心配しなければならない。
そして魚の管理も大変だ。
しかし、こうしたケアもトーナメントプロとしての大切な仕事。
せっかく釣った魚にダメージを与えてはいけない。

昼近くになって気温はグングン上がり、猛暑日になった。
水温は楽勝で30℃オーバーだった。
しかし、風があるので湿度は比較的低い。
爽やかといえば爽やかな初日の霞ヶ浦水系だった。

そんな初日にブッ飛ばしたのは山本寧・飯島浩城チーム。

西の洲、和田あたりの浚渫で「巻きの釣り」を駆使して5本6245gという数字を作って来た。
ネタはショットオーバー2,3やフラチャット3/8など。
「ここ何年か本気で釣りをして、沖の釣りのイメージができた」と語った山本選手。
初日はそのイメージ通りの釣りを展開してトップで折り返した。
次から次へと釣りまくる「山本劇場」は、近くで見ていた平本・小島チームを愕然とさせる迫力があったようだ。

「W.B.S.の裸族」安藤毅・田中和也チームも凄かった。
夏の定番、流入河川をローテーションして5本5960gを持って来たのだ。
ワイルドカードで外した安藤選手だったが、
ファットウィップ3inを「私はゴリです、ブリッ」と投げて、
ナイスサイズを釣りまくった。

そして橋本卓哉。渡邊尚昭チームは
「恐怖のドブ」から5本5555gという確変ウェイトを持ち込んだ。
プラで絶好調だったが本番では外したワイルドカードの轍を踏まず、敢えて練習を抑えてぶっつけで臨んだ作戦が成功した。
リグはO.S.PのSSギルとDAIWAのスティーズ・スピナーベイト。
「年間はほぼ諦めていた」という橋本選手だったが、この数字で息を吹き返した。

以上が初日のベスト3だが、他にもリミットメイクが12チームと、よく釣れた一日だった。
ウェイトも4kg以上釣って来たのが10チーム。

今年一番の釣れ釣れな初日だった。

一方、注目の年間争いに目を転じると、暫定2位の香取選手は3095g、3位の蛯原選手は4350g、4位の今井選手は3915gと、それぞれ固い数字を作って来た。
十分挽回できる位置である。
そして5位が前述の橋本選手。

しかし暫定1位の長岡選手は4本2620gとやや失速。

この結果、年間ランキングは大いに変動した。
第4戦までのランキングが
1位 長岡正孝 19080
2位 香取潤一 17490
3位 蛯原英夫 16660
4位 今井新   16545
5位 橋本卓哉 15770

これが第5戦の初日を終わって以下のように変わった
1位 長岡正孝 21700
2位 橋本卓哉 21325
3位 蛯原英夫 21010
4位 香取潤一 20585
5位 今井新  20460

つまり上位のメンツは変わらないが、微妙に順位とウェイト差が変わった。
目立つのは橋本選手の躍進と長岡選手の停滞だが、いずれにせよこの5名の中からA.O.Y.が出ることは確実な状況となった。

Bプロのランキングは田中和也選手が好調で、ナンバー1の座をほぼ手中にした。

こうして最終戦の初日は終わった。
各選手、暑さに打ちのめされた身体を休めるべく、眠りについたのだった。

 

ちなみに初日のビッグフィッシュ賞は蛯原・富村チームの1890g。


リミットが揃った11時過ぎに本湖のタテストで
富村選手のドライブビーバー4inテキサスリグに喰って来たものである。
●タックルデータ
富村貴明
Tackle1
Rod: 6.7ft MH
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: サンライン シューター FCスナイパー BMS AZAYAKA 16lb
LURE: O.S.P ドライブビーバー 4in ソリッドブラック
RIG: 5g テキサスリグ

●最終日、語り尽せぬドラマが!

26日未明は穏やかだった。
風もない。
このまったりした空気の中で、W.B.S.戦士は最終最後の血みどろの戦いを繰り広げるのである。

勝つのはどのチームか!
山本・飯島チームか?
安藤・田中チームか?
橋本・渡邊チームか?
草深・末永チームか?
もしくはその下あたりにランクするチームが爆発して大逆転するのか?

そしてA.O.Y.の行方は?????
尽きない興味を残して5時25分、セカンドフライト最後のチームが朝日に向って飛び立って行った。

初日は爆風でエントリーできなかった本湖北岸だったが、二日目は多くのボートを集めた。

水は悪くない。
しかしあまりにも風がなく、釣りにはやや辛い状況だった。

ましてや二日目の帰着は13時30分から。
初日より1時間早い。
これがどう影響するのか。
新港では川村光大郎氏がゲスト参加してグラチャンが盛り上がっていたが、霞ケ浦では血で血を洗う死闘が繰り広げられていたのである。
空には灼熱の太陽。
こうなると意地と意地とのぶつかり合い。
最後は精神力の戦いだ。

そんなことを考えていると、あっという間にウェイインの時間となった。
予想通り、二日目の釣果はやや落ちた。
結果からいうとリミットメイクは8チーム。
初日から半減してしまった。

だが、特徴的だったのは初日の上位がみんな同じように釣って来たのである。
まず浚渫とタテストを軸に二日間のゲームを完成させた草深・末永チームが4465g、そして注目の橋本・渡邊チームは小野川の真珠棚に活路を見い出して4255g、

山本・飯島チームも3本ながらビッグフィッシュが効いて4300g、ウェイイン半ばで、山本・飯島チームが暫定トップに立った。
このチームは初日同様、浚渫でゲームを組み立てたが、風もなく苦戦。
だが飯島選手がフットボールで2165gのビグフィッシュを獲り、最後に木原の岩で山本選手が貴重な一本を獲り、スコアをまとめた。

A.O.Y.は橋本選手が暫定トップに立った。
だが、まだまだ蛯原選手、香取選手、今井選手の結果は分からない。

「一体、どうなってしまうのか?」
土浦新港のギャラリーがカタズを飲みまくる中で、クライマックスがやってきた。

そこに登場したのが「裸族」安藤・田中チーム。
なんとっ! 初日に続いて5本5300gを持って来た!
これでトータル11260g!
暫定トップ席を山本選手と交代した。

11kg超えというこの数字は強烈で、安藤チームの優勝か! という印象を与えた。
残るチームがこれを超えるには7kg超のウェイトが必要だからである。

続いてやって来たのは香取・廣瀬チーム。


しかし5本3400g。
優勝は圏外だ。
橋本選手のA.O.Y.暫定トップは変わらない。

さらに今井・君和田チームも3本2350g。

次にやって来たのが平本直仁・小島孝明チーム。
平本選手の自信ありげな表情が不気味だ。
ステージ前で一本ずつ魚を取り出す。
1本目・・・デカイ!
2本目・・・デカイ!
3本目・・・デカイ!
4本目・・・もっとデカイ!
5本目・・・さらにデカイ!
こ・こ・これはどうなってしまうのか!?

やがて5本の魚がスケールに載せられた。
しばし動いていたデジタル数字が止まった。

7295g!!

土浦新港がどよめいた。
恐怖の7kgオーバー!!
5本リミットになってからはレアな出来事だ。
ステージの周囲は興奮の坩堝と化した。

7kgオーバーは平本選手も意外だったらしく、目を真ん丸にして驚いていた。
これで安藤チームのウェイトを超え、暫定トップ席に座った。

そして注目の長岡・桂チームがやって来た。


勝利は無理だがA.O.Y.がある。
長岡選手は暫定トップだからだ。
長岡選手に課せられたウェイトは3890g。
これで橋本選手を抜くことができる。
果たしてその数字を上回ることができるのか?
しかしっ! バッグに入れられた魚はわずか2本!
スケールに刻まれた数字は1220g!
A.O.Y.というビッグタイトルが長岡選手の手から滑り落ちてしまった。

さあ、大変なことになった。
残るは蛯原・富村チームのみ。

このチームには優勝もA.O.Y.もかかっている。
蛯原選手はオールスターのワイルトカードを勝ち、ノリに乗っている男。
だが優勝するには7370g必要だ。
しかしA.O.Y.は4580gで獲得できる。
これは不可能な数字ではない。

平本・小島チームの優勝はほぼ決まりだが、
A.O.Y.は予断を許さない。

そんな状況で蛯原・富村チームの5本の魚がスケールに載せられた。

2018年W.B.S.レギュラートーナメントのフィナーレだ。
ステージには橋本選手もやってきた。

たくさんのカメラが見つめる中、
蛯原・富村チームのスコアがコールされた。

ウェイトは


3820g!

この瞬間、平本・小島チームの優勝と
橋本卓哉選手のA.O.Y.が決定した。

平本選手がW.B.S.の門を叩いたのが2001年。
意外なようだが、これが2勝目だという。
一時は仕事の関係もあり、満足なプラも出来なかったようだが、
ここ数年は環境も変わり、潤沢なプラもできるようになった。
その効果は徐々に表れ、昨年は年間2位!
今年になってからもお立ち台の常連となった。

得意技はオフショアーゲームだが、
シャローもマスターしている。

この試合に際しては
「落ち着いて練習したので、いくつかのパターンを持っていました。
シャローを初め、浚渫、真珠棚などで6kgは固いと思っていました」
とある程度の確信はあったようす。

初日は真珠棚で一本取った後、3inホグ系ワームの3/4ozのキャロでまとめた。
魚が弱ったので、早目に帰着。
スコアは4415g。
通常のゲームだとまあまあだが、
よく釣れたこの試合に関しては7位と平凡なランク。
優勝するにはビッグスコアが必要だ。

平本チームは二日目も決して順調だったわけではない。
とりあえず真珠棚に行くが機能せず、
本湖のシャローを撃ってから浚渫に移動。
朝は水中のシェードに着目したキャロが冴えてポロリ、ポロリと数を重ねてから南岸へ。
陽が上がりシェードの角度が甘くなってからは必殺キャリラバを投入。
ブレイクの下に居るであろう魚をピンで狙い撃ちしてビッグバスを仕留めた。
ウェイインに持ち込まれた5本の魚がすべてほぼ1500gという、
素晴らしい結果だった。
当然、今年のW.B.S.全試合を通してのトップウェイトである。
最後の最後にこんな派手なことをやってのける平本直仁とは、どんなやねん!

平本選手は試合後
「2018年レギュラーシーズンを最高のカタチで締めくくることができました。
サポートメーカー各位にお礼を申し上げたいと思います」
と爽やかに語っていた。
その顔には玉の汗が光り輝いていた。

●タックルデータ
平本直仁
Tackle1
Rod: Fenwick GOLDENWING 610CMHP+J
REEL: KTF フィネス
LINE: TORAY エクスレッド 13lb+ルアーリーダー8lb
LURE: 3in ホグ系ワーム
RIG: 3/4ozヘビーキャロライナリグ
HOOK:ICHIKAWA FISHING TG-1 #1

Tackle2
Rod: Fenwick ACES 510CMJ
REEL: ABU REVO LC6(ギア8.0改)
LINE: TORAY SEABASS PE デイタイム 26lb ルアーリーダー12lb
LURE: キャリラバ 1/2oz TIEMCO Gary ピックルワーム

Tackle3
Rod: Fenwick ACES 510CMHJ
REEL:KTF ABU REVO LT7 KAHEN フィネス
LINE: TORAY SEABASS PE 26lb ルアーリーダー12lb
LURE: キャリラバ 1/2oz TIEMCO Gary ピックルワーム

小島孝明
Tackle1
Rod: ISM IBC 610MH
REEL: DAIWA タトゥーラSV TW
LINE: TORAY エクスレッド 14lb+リーダー11lb
LURE: ホグ系ワーム またはO.S.Pドライブシュリンプ
RIG: キャロライナリグ

Tackle2
Rod: ISM IBC 66LST
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: フロロ10lb
LURE: O.S.P ドライブカーリー
RIG: ネコリグ

準優勝はくどいようだが「裸族」安藤毅・田中和也チーム。
二日目も小規模流入河川を回り、ファットウィップを炸裂させた。
これで田中選手のBプロNo.1が確定した。

●タックルデータ
安藤毅

Tackle1
Rod: RAID Japan GRADIATOR Anti Baltoro
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: フロロ 12lb
LURE: RAID Japan FAT WHIP 3inch
RIG: 3.5g, 5g, 7g, テキサスリグ

Tackle2
Rod: RAID Japan GRADIATOR Anti Baltoro
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: フロロ 14lb
LURE: NITTI BAIT Crankin’ JIG 1/4oz トレーラー:Jackall B crawl flapper

田中和也
Tackle1
Rod: 69MH ソリッドテッィプ 改
REEL:ベイトキャスティングリール
LINE: 12lb
LURE: 霞デザイン ハイパーオマタソフト (エビゴリ)
RIG: 3.5g 5gテキサスリグ

Tackle2
Rod: 69MH
REEL:ベイトキャスティングリール
LINE: 14lb
LURE: イマカツ×霞デザイン オマタスティック 4in チャート
RIG:バックスライド 1/32oz

Tackle3
Rod: 69MH
REEL:ベイトキャスティングリール
LINE: 12lb
LURE: ファットウィップ
RIG:3.5gテキサスリグ

3位は山本寧・飯島浩城チーム。

●タックルデータ
山本寧
Tackle1
Rod: Road Runner LTT 620 PMH
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: VARIVA S アブソリュート 14lb
LURE: ガンターオーバル 1/2 +エスケープスイムツイン

Tackle2
Rod: Road Runner Hard Bait SP 630L
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: VARIVA S アブソリュート 12lb
LURE: Nories フラチャット 3/8oz

Tackle3
Rod: Road Runner Hard Bait SP 680L
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: VARIVA S アブソリュート 14lb
LURE: Nories Over 2 3

飯島浩城
Tackle1 (2日目ビッグフィッシュ)
Rod: ヘラクレスFACT HFAC-70HST
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: フロロ14lb
LURE:OPジグ(プロズファクトリー)1/2+エスケープスイムツイン(Nories)

4位は橋本・渡邊チーム。
二日目もドブに行ったがオンライン×2.
そこで小野川に移動して渡邊選手が50cm近い魚を獲って起死回生。
最後に牛渡の桟橋でスコアを作って4255gを確保した。
結果的にこの数字が橋本選手をA.O.Y.に押し上げた。

5位は初日4位だった草深・末永チーム。
二日目は真珠棚メインにゲームを展開。
末永選手の懸命の魚のケアが奏功して
4465gというスコアをマークしてお立ち台に上った。

こうして灼熱の最終戦が終わった。
怒涛のウェイトをマークした優勝チーム、
A.O.Y.レースの劇的な幕切れなど、
記録にも記憶にも残るナイスゲームだった。

これからオープン、クラシック、
そしてオールスターとビッグイベントが続く。
この最終戦に負けない素晴らしいドラマを見せてもらいたいものだ。
てか、来週はJLBA?
こっちも面白そうですね。

そりでは。

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