独創の釣りで独走!!
ビッグスモール乱舞!!

出村輝彦・加木屋守チーム、
驚異の3.7kgをマークして、
第三戦にブッち切り優勝!!




■W.B.S.プロトーナメントシリーズ 第三戦レポート

今回の第三戦を、
いま最高潮の世界陸上のマラソンにたとえていえば、
競技場のゲートをくぐろうとした選手が後ろを振り返っても、
誰も見えない。
後続者を見るには肉眼では絶対ムリ。
高性能の望遠鏡が必要だった。
トップランナーは悠然とトラックを回り、
両手を挙げてテープを切る。
そんなブッチ切りの結果だった。
といっても、2位以下の選手が遅かったわけではない。
第二集団も優勝ペースで走っていた。
しかしトップランナーのペースはそれらをはるかに上回り、
ケタ違いのタイムが観客を唸らせた。



8月28日、
福島県桧原湖で開催されたW.B.S.第三戦は、
まさにそんな試合だった。


いろいろあったが何とか開催に漕ぎ着けられた桧原湖戦。

何はともあれ、こうしたフィールドで釣りができる幸せ、
トーナメントを戦える境遇に感謝したい。

特に今年は従来のオープン戦と違って、
レギュラートーナメナントに組み込まれたこの一戦。
試合が持つ意味もグーンと重みを増してくる。
ここで差を付けることが出来れば、
年間成績に大きなアドバンテージを残せる。
当然、参加選手の気合の入り方も倍加した。

だが、相変わらずフィールドコンディションは難解を極めた。
といっても減水はすでに承知の上。
ランチングも慣れたものだ。



そんなことより
今年はトーナメントラッシュで魚のプレッシャーも激高。
前週も激しい戦いが繰り広げられた。

プライベーターのリグとは違う厳しい攻めが
毎週魚を苛む。
これでは当然、魚もスプーキーになる。
ましてやジンクリヤーレイクのスモールはどう猛な半面、警戒心も強い。

大会当日が小雨でチョイ風なら、
そのプレッシャーも緩和されようが、
スタート後しばらくして無風のドヒーカンに襲われた。

まさにサイヤクな状況。

観光客には願ってもない天気だが、
魚を釣るにはこれ以上ない偏差値の高さだ。

さて、そんな中、W.B.S.の選手はどう檜原湖を釣り抜けたのか、
今回はより広範囲の人々がカタズを飲んで結果を注目した。



普段、マッディシャローな霞ヶ浦水系で釣りを組み立てているW.B.S.プロ。
それがクリヤーウォーターのディープという、
真逆の条件でどうライトラインを操るのか。

前週の試合ではレンジが魚のサイズを分けたという…
果たしてW.B.S.プロはどうスコアを作るのか……
考え出したらキリがないほど興味が増してくる。

いつもヘビータックルでパワーゲームをメインにしているW.B.S.プロが
檜原湖を攻略できるのか、
そんな不安も頭をもたげてくる。

ひょっとしたら
「まいりました」
と尻尾を巻いて逃げるのか???
全員討ち死になどという悪夢もチラ見えする。

しかし、しかしである。
W.B.S.プロは凄かった。
疑ったりしてスミマセン。

なんとっ!!
怒涛のビッグウェイトが乱舞する壮絶な試合を見せてくれたのである。

筆頭は優勝の出村輝彦・加木屋守チーム。
ビッグフィッシュ賞に輝いた1220gを含む3700gという
驚異的なスコアを叩き出したから早稲沢に衝撃が走った。

一尾平均700gを超える破壊的なウェイトである。
「数は釣れるが小さい」
などといわれる檜原湖の名誉を一挙に挽回する快挙である。

実は我々取材班はこのチームに沖で遭遇した。
その際、出村選手は
「マージャンでいえば役満、ツモッてしまったみたい。ンフフフ」
と泉和摩氏のように笑っていた。

その真の意味を我々はその時、理解できなかった。

だが、現実にこのチームは役満をツモったのだ。

前日、一年ぶりに檜原湖に入った二人。
とりあえず一回りして得られた結論が
「一番良かったのがパニッシュ65とK-2ミノーの高速ドラッギング。
風が当たるところは釣れるが、
魚がニュートラルに入っていてギヤが入らない。
風がない時に釣れる方法はないかと探ったら大きなジャークがいい。
そして糠塚島のスタンプにイモグラブ4でノーシンカー投げたらキロがポロッ。
その二つを軸にして行こうかなと決めました」



ジャークとスタンプでは魚がまったく違うようだが、
実はこのスタンプに着目したのが勝因の一つ。

試合当日、朝一番にそのスタンプに入りいきなりキロアップ!!
釣った後も魚がワラワラと居酒屋のように湧いてきたそうで、
時間をあけて入りなおせば再び900gクラスが。

「こ、これはひょっすると…行っちゃうかも!!」

1.5〜2mぐらいに存在する見えるか見えないかぐらいのスタンプ。
これが出村・加木屋チームにとっては宝の山だった。



だが、他にもキモが存在した。
それはイモクラブ40のノーシンカーというリグ。
管理釣り場では一番人気のリグだが、
これを採用したところに出村選手の着眼の非凡さがある。
「ほぼフォールで食ってきました」
というように、
イモ40でなければ出せないフォール姿勢とスピードが見事にハマッたようだ。
色はソリッドブラックがベストだったとか。



そしてこのリグにベイトタックルを採用したことも、
1220gフィッシュを獲る上で安心感を与えてくれたに違いない。



結果が良ければすべてが正解になってしまうこの世界だが、
出村選手のスタンプ+イモ40+ベイトタックルは、
あらかじめ勝利が約束されていたようなシステムだったといえよう。

それにしてもパートナーの加木屋選手の檜原湖との相性の良さも特筆モノ。
昨年は草深幸範選手と組んで準優勝。
そして今年が優勝。
恐ろしいほどのラッキーボーイだが、
昨年草深選手が
「彼、釣り、うまいですよ」
といっていたように、単に運だけの問題ではないだろう。
今後、大きな期待を寄せられる選手である。


さて、優勝の出村選手は最後にこう挨拶していた。
「不甲斐ない成績が続きまして…その中でも文句を言わず
サポートしていただいているスミス、サンライン、αサイトさま、
これからも頑張りますので、ぜひよろしくお願いいたします」



出村選手TackleData
Tackle1(Big fish)
ROD:SMITH ストラテジー ツアラー STC-68TX
REEL:Daiwa STEEZ
LURE:GaryYAMAMOTO イモグラブ40
LINE:SunLINE FCスナイパー 7lb
RIG:ノーシンカー

Tackle2
ROD:65MLスピニング(プロト)
REEL:Daiwa TD-S 2506
LURE:パニッシュ65/HMKL ザッガー65orK-1
LINE:SunLINE FCスナイパー 3.5lb
RIG:ドラッギング
メインエリア:5mのブレイク、高速ドラッギング、河口スタンプ1.5m→糠塚島裏
今回の肝:ニュートラルの魚が多く、ギヤを入れる釣り方をした。

加木屋選手TackleData
Tackle1
ROD:Jackall ポイズングロリアス スーパープライマルスピン
REEL:Daiwa イグジスト2004
LURE:HMKL K-2ミノー/サターンテール2.5
LINE:SunLINE スーパーFCスナイパー 3lb
RIG:キャロライナリグ、ミノー

Tackle2
ROD:Jackall ポイズン グレイハウンド 63M
REEL:ベイトリール
LURE:O.S.P Hunts 7g+ダムダムホッグ
LINE:SunLINE ベーシックFCス 12lb
RIG:ラバージグ
メインエリア:スタンプ、岬のブレイク
今回の肝:フォール、ステイ、高速ジャーク


さて、優勝チームのウェイトが余りにも衝撃的だったので
目立たなくなってしまったが、
二位以下も「いつもなら優勝」といえるスコアを作り出してきた。

準優勝の小田島悟・岡部和貴チームの2770gは、
まさに「いつもなら優勝」ウェイトである。
(ちなみに2010年の優勝ウェイトは2490g)



「インやー、間違って釣れてしまいました」
と小田島選手は語っていたが、
このチームも緻密なプランを結果に結びつけた。

金曜日からプラに入って、
晴れとローライトを経験。
その結果、スタート地点対岸の岩盤と金山の8メートルラインが良い、
という結論に達した。
試合当日はスタート直後に岩盤に入り、
レインズスワンプミニのダウンショットでいきなりリミットメイク。
金山に移動してK-1 MACのキャロで首尾よく3尾入れ替え。
「まあまあ、上出来じゃないですか」
と語っていた小田島選手。
たしかに2770gは出色のスコアである。

パートナーの岡部選手も大いに貢献した。
ガルプのサンドワームをメインに、
小田島選手と微妙に釣り方、レンジなどを変えながら、
自分に釣れる魚を拾っていった。



小田島選手TackleData
Tackle1
ROD:EverGreen ヘラクレス ソリッドセンサー HCSS-61ULST
REEL:2500
LURE:レインズスワンプ ミニ
LINE:EverGreen バスザイルR 2.5lb
RIG:ダウンショットリグ 1/16oz

Tackle2
ROD:EverGreen タクティクス スーパースカウトマスター TCSS-66M
REEL:2500
LURE:HMKL K-1mac65
LINE:EverGreen バスザイルR 3lb
RIG:キャロライナリグ

Tackle3
ROD:EverGreen ソルティーセンセーション スーパーセンサー PSSS-67S
REEL:2500
LURE:リングワーム
LINE:EverGreen バスザイルR 3lb
RIG:キャロライナリグ
AnyComment
メインエリア:堂場山、金山

岡部選手TackleData
Tackle1
ROD:Megabass デストロイヤー KIRISAME F0-63XKS
REEL:Daiwa イグジスト 2506C
LURE:レインズスワンプ ミニ
LINE:SunLINE FCスナイパー 2.5lb
RIG:ダウンショットリグ

Tackle2
ROD:Megabass デストロイヤー HEDG HOG F1ST-66RS
REEL:Daiwa TEAM DAIWA 2004C
LURE:HMKL K-1mac50
LINE:SunLINE FCスナイパー 3lb
RIG:キャロライナリグ


そして三位はこれも2730gという立派なウェイトを持ち込んだ
大藪厳太郎・桂裕貴チーム。



熱心にプラを重ねた大藪選手と、
檜原湖は「初めて」という桂選手のチームワークが好成績に結びついた。
さまざまなネタを持っていたこのチームだが、
試合当日直行したのがこたかもり。
ウィードエッジを流して2尾。
京が森に移動して櫻島の裏のワンドのハンプをラン&ガン。
ハンプの真上に乗ってアースワームのダウンショットを『置いて待つ』
という粘りの釣りでリミットメイク。
その時点で11時前という、
意外と遅めだった。
入賞の要因はエリアチョイスとフックなどに細心の注意を払ったこと。
そして桂選手の身を挺してのランディングだった。

なお、大藪選手ら多くのW.B.S.選手の宿となっているのが
至近のラグマーケット。
こうした快適な宿泊場所もトーナメント環境を整える上で重要である。



大藪選手TackleData
Tackle1
ROD:EverGreen KALEIDO DESIGNO M-1
REEL:Daiwa イージス
LURE:Berkley アースワーム
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラスハイグレード 2lb
RIG:ダウンショットリグ

Tackle2
ROD:EverGreen KALEIDO DESIGNO S-1
REEL:Daiwa イージス
LURE:IMAKATSU ジャバスティック 2inch
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラスハイグレード 3.5lb/リーダー2.5lb
RIG:キャロライナリグ
AnyComment
メインエリア:キョウガモリ、コタカモリ、馬の首

桂選手TackleData
Tackle1
ROD:Megabass F1-62XKS
REEL:Daiwa イグニス
LURE:青イソメ
LINE:2.5lb
RIG:ダウンショットリグ

Tackle2
ROD:Daiwa HZ-601MMXL?
REEL:Daiwa
LURE:青イソメ
LINE:3lb
RIG:キャロライナリグ 1/16oz
AnyComment
メインエリ:コタカモリ、キョウガモリ
今回の肝:入った数投で決める。
命がけのランディング。


そして4位は2番フライトを利して早稲沢対岸の岩盤に入り、
キーパーを重ね、月島、こたかもりとローテーションした
蛯原英夫・安江勇斗チーム。



ガルプのサンドワームの赤がキーだったが
「雨模様だったらもう少しウェイトは伸びた」
と語っていた蛯原選手。



ボートを借りたJBプロへの感謝の言葉も忘れていなかった。
蛯原選手のパートナーの安江選手は、
加木屋選手と同じく名古屋からの参戦。
その熱意が入賞を呼び寄せたといっても過言ではないだろう。

そして5位は早稲沢の沖目のウィードがらみをライトキャロで探った
赤羽修弥・矢口悟司チーム。





6位は馬の首で8時過ぎにリミットメイク。それから苦しんだが、
1時頃に入れ替えて順位を上げた丹竜冶・石井賢二チームだった。





こうして、桧原湖の第三戦は意外に華々しい結果で終わった。
年間暫定ランキングも更新された。
だが、第4戦、最終戦はもうすぐ。
選手には息をつくヒマもないスケジュールが続く。
条件は皆同じだ。
こういう時こそ、メンタルの強さがモノをいう。
選手各位には最後まで諦めない強い心を見せて欲しい。


今回、W.B.S.の試合当日、
多くのJB選手が翌週のトップ50のプラを自粛してくれた。
その武士道精神にはW.B.S.関係者全員、
心から敬服したことはいうまでもない。

レポート 大和小平(やまとしょうへい)