They made it wire to wire!

チームYKKアタック(草深幸範・川村光大郎)
空前のハイウェイトで堂々の逃げ切り優勝!!
準優勝のTeam amigo 1 、わずか10gに泣く





■2010 W.B.S.ジャパンオープン スーパースリーデイズ  REPORT

6月27日午後2時30分。
最終日最終ウェイイン。
チームYKKアタックの5本の魚がスケールに載せられた。
土浦新港に不気味な静寂が訪れる。
直前にウェイインステージを去ったのは
Team amigo 1(赤羽修弥・平川皓也・布川昭男)。
そのウェイトがまだ生々しく記憶に残っている。
三日間トータル17,190g。
これだけでもスゴイ。
通常なら間違いなく優勝ウェイトである。
しかし、YKKアタックも粒揃いの魚を5本持ってきた。
「4480gでトップに立ちます」
MCの上ずった声が響く。
スケールのデジタル部分が隠された。
「心の準備はよろしいですか?」
MCの問いに二人は「ゴックン」と生唾を飲み込み、首をタテに振る。
そして数字が露出した。
デジタルの下二桁が90と80をためらい、
80で止まった。
「4480g!!」
その瞬間、チームYKKアタックの優勝が決まった。
その差わずか10g。
17kg台の10g差である。
勝利の女神の非常さを思い知るが、
準優勝に終わったTeam amigo 1の
ノーサイドの爽やかな笑顔がフィナーレに華を添えてくれた。


今年の霞ヶ浦はかなり釣れているようだ。
直前の試合の結果を振り返っても、
渡辺・栗原チームが勝った第三戦あたりから好調で、
出色の結果を記録した。
2日間で約10kg。
確変突入といわれたのも理解できる。

ところが昨年のスリーデイズ。
今年と同時期に行われたが、
優勝ウェイトは10,500gだった。
三日間でこの数字である。
ちなみに選手は松村寛・赤嶺吉蔵の二人である。

だが、今年は10kgではせいぜい9位。
5kgを三日間釣ってきても優勝できないという強烈な釣れ方なのである。

確かに、YKKとAmigoのツートップの数字は破壊的だった。
フルリミット・15本の平均が1kgを超えるわけだから、
スゴイとしかいいようがない。
抜けた成績である。

でも、3位のTeam JBA(小田島悟・中嶋美直)や
四位のSUNLINE(川口信行・星洋行・酒寄康洋)だって
12kg持ってきているのだ。
決して悪いウェイトとはいえない。
それでも優勝には届かない。

つーことはやっぱり今年はデカイのが釣れている。
それは事実だ。

そこにどんな理由があるのか、明確に答えることはできない。
だが、選手の技術レベルの向上、
緻密なゲームプラン、
タックルの進化、
戦いにかける熱意、努力……
などが要因といえなくもない。

でなければ減水や風など、
マイナス要因が重複した今回の試合で、
こんな記録的ウェイトがでるはずはない。

さて、
今年のスリーデイズを分析すると、
いくつかのキーワードが浮かび上がる。

試合時間の長さやメンツの豪華さ、
チーム名の面白さ、減水で苦労したことなど、
いつもと同じ要素以外に考えられるのは、
春先の寒さから解放された魚が一気に夏パターンへと移行したこと
多くのチームが水面を意識した釣りを行い、結果を出していたこと
流入河川の爆発
エンジントラブルの頻発
などである。

実際、
優勝、準優勝の2チームは
いずれも流入河川がらみのプランを展開して、
水面系のルアーを効果的に使い結果を出した。

さあ、それでは初日からこの試合を振り返ってみよう。



初日



今回のエントリーは22チーム。
いつものように、各方面からの多士済々が集まってくれた。
みんな、ビッグプライズだけを狙ってきている。
年間ランクに関係がないこの試合、勝ちを狙うのは当然だ。
したがって、作戦もキーパー拾いの手堅いものは除外する。
100か0かの勝負である。
実に潔い。

しかし、ベスト3のボーターに与えられるクラシック出場権もオイシイ。
だから二日目を終えてそっちにシフトするチームもないわけではない。
特に今年はその傾向が強かった。

いつものように朝のプライムタイムをムダにしたくないW.B.S.、
スタートは5時前だった。



2-0でデンマークをリードしていた
ワールドカップの侍ジャパンに後ろ髪を引かれながらのプレーニングである。

この日の天気は朝こそ薄曇りだったが、
次第に晴れて蒸し暑くなった。
幸い、水門開放の予定はない。

チームの分布は様々だが、
意外だったのは本湖東岸にボートはわずか。
桜川もシャッター街。
しかし花室川は銀座。
あとは西浦にチラホラ、
そして下流域や北浦だった。





ファーストフライトの帰着が2時半だから、
競技時間は9時間半。
その長さを「あっ」という間に感じさせる魔力が、釣りにはある。
ましてやビッグプライズと名誉がかかったトーナメント。
気が付けば帰着に向かうべき時間のアラームが鳴っている。

はたして初日の釣れ具合はどんなものか…
注目のウェイインが始まった。

この日、満場の度肝を抜いたのが、
チームYKKアタック(草深幸範・川村光大郎)

結果的に三日間トータルのビッグフィッシュ賞を獲得した
2,070gの魚を筆頭に、1900gフィッシュ、キロアップを混ぜて
トータル7,440g!!



いまだかつてなかった単日7kg台という
驚異的数字をマークして一躍トップに立った。
一本の平均ウェイトが1,400g以上という、あり得ない数字である。
「銀座」だった花室川を丁寧に釣りきった結果である。



このニュースは即座に全国に広まった。
「霞ヶ浦がスゴイことになっている」

「コレ、ホントなの?」

「またホームページの間違い?」
(「また」とはどういう意味だろうか)

いずれにせよ、センセーショナルな出来事だったことは間違いない。

これでは5,000gを釣ってきた
WooDream(盛隆弘・村松秀希)も目立たない。



Team‐EGワル(蛯原英夫・佐藤信治)の4,890gも霞んでしまう。



Team amigo 1も4,850gで、一見平凡な結果に終わった。



だが、このチームの恐ろしさは後でわかることになる。
いずれにせよ、4kg台なら満足すべきだろう。

トータルのリザルトを分析するとリミットメイクは17チーム。
(1デッドを含む)
77%のリミット達成率である。
悪い結果ではない。

「釣れる霞ヶ浦」は本当のようだ。
だが、二日目はどうなるか。
一般的にはウェイトは落ちるのが通例だが、どうなるのか。

チームYKKアタックのスタートダッシュはケタ違いだが、
まだまだ予断は許さない。
各チームは翌日の準備を終えると、
そそくさとベッドに潜り込んだのであった。



二日目



朝4時半、薄曇りの中、各チームのランチングが始まった。
この日はサッカーの心配をする必要はない。
思いっきり釣りに専念できる。

だが、悪い知らせもないわけではない。
それは





お決まりの水門開放。
ついに恐れていた事態が発生した。
シャローが釣れるこの時期に減水はシャレにならない。

そして、けっこう吹いている風。
ブチ抜きをためらうほどではないが、
かなり強い。
そんな状況でスリーデイズの二日目は始まったのである。



前述したように、
今年はボートアクシデントに見舞われるチームが多かった。
チーム奉公兄弟、H×Y ELITE、メガネのスエナガ。
この3チームがトラブってしまった。

幸い、最終的には皆、戦線に復帰できたが、
挽回不能のハンデとなってしまった。

まあ、私だったらとっととリタイアするが、
彼らの敢闘精神には頭が下がる。

いずれもメカニックなど様々な人たちに助けられたと思うが、
こういう時に日頃のツキアイってものが生きてくる。
バストーナメントは釣り人だけの勝負ではない。
団体戦なのである。

さて、実は私はこの日、別件があって取材に回れなかった。
後で聞けば、フィールドでは
実に興味深いドラマが繰り広げられていたようだ。

初日トップのチームYKKアタックは、
迷った挙句、結局花室川へ。
そこで胃が痛くなるほどのた打ち回ったようだ。

Team amigo 1は温存していた東浦の流入河川へ。
他のチームも、初日とほぼ同じようなエリアでゲームを組み立てた。

予想されたように、二日目の釣果はやや下がった。
トータルウェイトも落ちたし、リミットメイクも13チームと落ちた。

初日5kgを持ち込んだWooDreamは1,960gと急降下。
Team‐EGワルも2,300gと噛み合わない。
Team JBA、
Team amigo 2(渡辺尚昭・鈴木剛)、
POWERD BY NORIES(折本隆由・黒須和義)ら、
初日4kg台をマークしたチームの多くが失速した。

ウェイトを落としたといえば、
チームYKKアタックも同じ。
だが、落として当たり前。
7,440gを上回ることなど不可能。
できたとしたらバケモノである。
彼らのウェイトは5,280g。



これでも「落とした」と表現されるほど初日はすごかったということだ。
だが、トータルでは12,720gという、
アンビリーバボーな数字がボードに記入された。
ちなみに二日目のビッグフィッシュ賞も獲得した。

こうして各チームが苦しんだ二日目を、
6,900gというケタ違いな結果を記録したチームもある。



Team amigo 1である。
二日間トータルで11,750g!!

周囲の印象は
「やっぱり来たか」
というもの。

YKKアタックの川村選手も
「一番怖いチームが来た。
どんなに釣っても、楽をさせてくれない。
12kg釣っても、まだ攻められるとは・・・」
と顔面蒼白になっていた。

こうして、二日目を終えた時点では一位二位が飛びぬけており、
一騎打ちという構図が出来上がった。
他のチームははっきりいって
3位狙いにシフトせざるをえない状況となってしまった。
まあ、3位を狙える位置にいればまだ幸せといえるが・・・

逃げるYKKアタック、
追うTeam amigo 1。

その差は約1kg。
一般的には追う方が有利だが・・・。

3-0でリードしていたチームが
3-2に追いつかれた。
そんなサッカーチームのような瀬戸際感に、
YKKアタックは苛まれたに違いない。
相手はベテラン・赤羽修弥率いるチーム。
ヘビに睨まれたカエルである。

「釣ればいいんです。それだけです」
と草深選手は二日目の夕方に語っていたが、
それがどんなに難しいか、
本人が一番よく知っているはずだ。
この時点で完全に立場は逆転していると筆者は感じた。
絶対的にTeam amigo 1有利である。
逃げ切りほど難しいことはない。
過去のスリーデイズがそれを物語っている。

幸せな人にも不幸な人にも、
時間は公平に流れる。
黙っていれば時間は経過する。

永遠にも思えた三日目への朝は、
恐ろしいほどあっけなく訪れたのである。



最終日



夜来からの雨は、集合時間になっても降り続いていた。
だが、水位に影響するほどの量ではない。
そして風も強い。
神は風雲急を告げる舞台を用意したのか。

スリーデイズの三日目。
そこには魔物が棲むといわれる。

語りつくされた「タクヤの悲劇」
そして昨年はチームOSPの大失速。

YKKアタックのリードはゼロと同じ。

そんな中、最終決戦の火蓋は切って落とされた。



前述のように、優勝の行方は2チームに絞られたが、
他のチームも3位狙い、
そしてビッグフィッシュ狙いに方針を変えた。
ゲームを投げるチームはひとつとしてない。

だが、申し訳ないが注目はやはり優勝の行方。
本誌取材班も2チームを探しての旅に出かけた。

YKKアタックはこの日も花室川にいた。
だが、他にボートはいない。
彼らに思う存分釣ってもらおうという、
W.B.S.選手のスポーツマンシップには頭が下がる。
ゆえにYKKアタックは最下流からゆっくりと釣りあがっていった。
この川と心中するつもりらしい。



一方、Team amigo 1は
二日目と同じ東浦の流入河川へ。
期せずして流入河川対決となった。

だがさすがにベテランの赤羽選手、
プレスと楽しそうに会話しながら撃っている。
しかし目は笑っていない。
ターゲットを捉えたスナイパーのように鋭い。



その頃、土浦新港ではおなじみのグラチャンが行われており、
こちらも次々と持ち込まれるバスで活気を呈していた。

雨も上がって蒸し暑くなってきた。

一見、のどかな日曜の昼下がりである。
何の屈託もない平和な時間が流れている。
人々は「アッコにおまかせ」かなんかを
ボーッと見ているのだろうか。
それはそれで悪くない。

だが、湖上では44選手による
壮絶な死闘が繰り広げられていたのである。

Team amigo 1は獲物を見据えるように逆転勝利を。
YKKアタックは追いすがる敵を振り払うように無心でキャストを繰り返す。
それだけが怖さを忘れさせる。

彼らは気づいていなかったかも知れないが、
そんな時間は彼らにとって、最高に幸せなひと時なのだ。
競い合うなら、最高の相手と
最高の舞台で100%の勝負をしないと意味はない。

バイトがなくて辛い時間でさえ、
彼らは神に感謝すべきである。
夢中になれる時間を持っている人は幸せである。



目標のない釣りは締め切りのない原稿と同じように、
気が入らないものだ。
(この原稿の締め切りはキツイ)

取材チームは彼らの釣りを半ば見ただけでその場を去った。
雑音なしに釣りに専念して欲しかったのと、
すべてを見てしまうと後の感動を味わえないと感じたからである。
その判断は正しかった。

やがて最終日のウェイインが始まった。
三日目なので釣果はガクンと落ちるかと予想されたが、
とんでもない話で、二日目とそん色ない釣れ方だった。
リミットも13チーム。
5kg台もいる。

中でもFour SET+イタコマリーナ(小野光一・松崎尚・大木俊宏)
は5,020gをウェイインした。
小野選手、相変わらず最終日は強い。



そしてTeam JBAも5,150gと、
最終日セカンドベストのウェイトを持ち込み、
結果的に3位に入賞した。



小田島選手は語っていた。
「プラの感じから、東岸はアフターのまぁまぁサイズがぽろぽろと。
でも3日あるんで、外浪逆浦、北浦あたりをメインに釣りました。
でもまぁ、晴れてしまうと厳しくて、初日は4Kgチョイ。
昨日はプラとは関係ない魚をやっととってきた感じ。
今日は、プラそのものの天気で。
プラ通りに釣れました。
朝一や雨とかローライトはポッパーで釣っていたんですが、
ロッドのEGアクション、巻物系の竿なんですが、
ポッパーはそれを使いました。
ノリがいいんです。
ピッチングもしやすいし、
ラインのバスザイルR、そして偏向グラス。
これが3位に押し上げてくれましたね。



小田島選手TackleData
Tackle1
ROD:ヘラクレス・フォースグランディス HCSC-66M
REEL:Daiwa TD-Z105HL
LURE:ヤマセンコー
LINE:バスザイル・マジックハードR 12lb
RIG:ノーシンカー
Tackle2
ROD:ヘラクレス・ブルーマイスター HCSC-67MH
REEL:Daiwa TD-Z105HL
LURE:スピードクロー
LINE:バスザイル・マジックハードR 14lb
RIG:テキサスリグ
Tackle3
ROD:ヘラクレス EG ACTION HCSC-62M
REEL:Daiwa TD-Z105HL
LURE:ワンズバグ
LINE:バスザイル・マジックハードR 14lb
RIG:テキサスリグ
メインエリア:東浦 北浦
今回のキモ:ローライト

中嶋選手TackleData
Tackle1
ROD:タクティクス・ウォーリアー・ツアー
REEL:Daiwa TD-Z 103
LURE:ヤマセンコー グリパン
LINE: バスザイル・マジックハード 12lb
RIG:ノーシンカー
Tackle2
ROD:ヘラクレス・フォースグランディス
REEL:Daiwa ピクシー
LINE:バスザイル・マジックハード12lb
LURE:ヤマセンコー シナモン
RIG:ノーシンカー


こうして、トーナメントの三日目というのに、
5kg超えのビッグウェイトをたたき出すチームもいる。
それが今日の基準。
ハイレベルな試合では
尻上がりにウェイトを上げてくるようでないと、勝つことはできない。

そんな典型がTeam amigo 1
なんとっ、最終日のベスト5,440gを引っさげてやってきた。



おまけに1,790gというビッグフィッシュも混ぜている。
トータル17,190g。
「これで勝ったかも知れない」
Team amigo 1はそう思ったかもしれない。
「これで負けたかも知れない」
最終ウェイインを待つYKKアタックは観念したかもしれない。



そして冒頭のシーンが繰り広げられたのである。
YKKアタックはMCに
「4,480gで優勝です」
といわれた直後、
「ウェイトは4,480g!」とコールされても、
一瞬、何がどうなったのかわからなかったらしい。



満場は気が付いていたが、
MCが「優勝ですよ」と伝えて、やっと
「えっ? マジ、優勝?」
と目をまん丸にして喜んだのである。

その後はステージで飛び上がり、二人で抱き合い、
歓喜を素直に表現した。
いやみのない素晴らしい喜び方だった。



それを見ていたTeam amigo 1は一瞬、
肩を落としたが、やがて爽やかに笑い、
勝者の健闘を称えた。



それでは表彰式の赤羽選手のコメントをご紹介しよう。
「ほぼ3日間、思っていた釣りができました。
今日は減水したのが、ちょっときつかったです。
基本的には本湖、西浦がメイン。
北岸南岸、風を見ながら浅いところをトップと
ヤマセンコーノーシンカーという組み立てです。
あとは流入河川ですね。
差が1キロあったので、それを超えるのは難しいなと。
水があれば可能性あるかなと思ったんですが、
でもま、やれることはやろうと。
揃ってから勝負に行って、1,790gは平川君が獲ってくれて。
やっぱり水の増減で変わってしまうので、
本当に雨待ちという感じでしたね。
三日間、フロッグが炸裂してくれました



赤羽選手TackleData
Tackle1
ROD:Daiwa BL-FR701MHFB
REEL:Daiwa ZILLION 7.3リミテッド
LURE:フロッグ
LINE:Daiwa PEパフォーマンス
RIG:
Tackle2
ROD:Daiwa STEEZ ハスラー
REEL:Daiwa STEEZ100SH
LURE:スピードクロー
LINE:Daiwa アデス14lb
RIG:テキサスリグ
メインエリア:西浦南岸

平川選手TackleData
Tackle1 (三日目のビッグフィッシュ)
ROD:Daiwa BL-FR701MHFB
REEL:Daiwa ZILLION 7.1
LURE:フロッグ
LINE: PE
Tackle2
ROD:Daiwa BA-LTD701MHFB フランカー
REEL:Daiwa TD-Z
LURE:ヤマセンコー4
LINE:12lb

そして落ち着きを取り戻したYKKアタックの二人が
静かに三日間を振り返ってくれた。



草深選手
「赤羽チームのウェイインを見ていて、
絶対に負けたと思いました。
もう一匹入れ替えないと届かなかったね、といっていたんです。
でも、図ったように10g差で、信じられませんでした。
会社の同僚の川村光大郎君と
いつかはスリーデイに出たいと話をしていて、
念願叶って出ることができました。
川村君が多忙なので、
プラは僕一人で行いました。
日曜日のBMCトーナメントと直前の木曜日に入りまして、
でも手ごたえはあまりなかったんです。
川も時期的に良くなるので、
水の色だけ速いスピードでほぼ全部を見て回りました。

で、この時期の霞ヶ浦、オカッパリからの観点でもここがよい、
というのはわかっていたんで、
であればビッグウェイトが出るかな、ということで花室川、
初日の朝に突っ込みました。
かなり銀座状態でしたね。
橋一本目から、手を変え品を変えで釣っていくような感じで。
狙ったのはスポーンから回復した魚。
プラではポッパーやダブルスィッシャーが良かったです。
川のバスは、もっとベイトフィッシュライクなペンシルだったり、
そういうものが良かったみたいで、
うちのベントミノー106という今度出る大きめのやつを使ったら釣れまして。
初日は全部花室川です。
かなりウェイトは稼いだと思ったので
その後、2日目以降のために花室を出て、
本湖を回って、北浦の上まで行きました。
でも入れ替えはできず初日は帰着しました。

二日目は初日、8時に揃えてその後温存気味だったので、
花室に朝一から行きました。銀座でしたね。
2艇ほど前にいらっしゃいましたので、
後ろから丁寧に釣っていきました。
リミット揃ったのが12時半ごろで、それまでは苦しみましたね。
最後の魚はビッグフィッシュの魚でした。
それに救われましたね。
ま、それなりのウェイトはあると思ったので、
花室を出て西浦の浅いところなどを回って、
何も起こらずウェイイン。

で最終日を迎えたんですが、
今日は本当に苦しかったですね。
朝から花室川に入りましたが、
今日は独占で、皆さん気を遣ってくれたようです。
一番下からゆっくりと釣りあがっていきました。
上流の水が悪いと困るので、
下から水を見ながら、要所要所で釣りをして、
最上流に行くまでにリミットメイクできました。
帰りは下りながら、また要所要所で釣りをして、
最後12時半に中流域に戻ってきて、
そこで川村君が2本立て続けに釣ってくれたんです。
今日一番大きい1300ぐらいのも含めてね。
まあとにかく、二人で集中力を切らさず、
コミニュケーションをとりながら釣ったのが良かったと思います」

川村選手
「今回釣った魚の7割はドライブスティックの6インチなんです。
これを4.5インチに切って、つないだものをもってきていたんですが、
初日思いのほか良かったので、ホテルで追加で作りました。
初日の2kgオーバーはスピードトラップで釣りました。
早めに巻いてガツンと。

二日目のビッグフィッシュはドライブスティックです。
初日は普通に刺したタイプなんですが、
今回助けられたのは逆から付けたバックスライド。
手返し重視で落としてピックアップしたら、
全部フォールで出るので、フォールしたら次のキャストという感じで。

草深さんは会社の先輩なんですが、
今回はボートのどこからでも好きなところに移動させてもらって、
ほんとうに釣りやすかったです。
三日で一度だけラインブレイクがあったんですが、
乗らなかったというのもなくて、全部取り込んだというのが勝因ですか。

タックルはクランクで使ったのは、ライトニング。
ドライブスティックのバックスライドで使ったのは、
ブラックレーベル6.8フィートのプロトモデル。
ロングポジションで打つ方が良いと思ったので、
プロトモデルの6.8を使いました。
それと新しいピクシー。
カバー奥に滑り込ませることができて、回収も早くて。
これはすごいメリットだったと思います。
三日間の試合を終えて二人で話をしたのは、
勝負はどうなるかわからないけど、
やるべきことをやって、最高の試合ができた。
ほんとうに最高の三日間でしたね。
ということでした」

再び草深選手
「今回、本当に久々に勝つことができました。
お立ち台も久々なんですよ。
ここ2年ぐらい、何をやっても空回りしていたので苦しかったです。
そういう意味では川村君の力を借りて自分的にも良かったかなと。
タックル面では
サンラインさんから提供されているBMSというライン、
高比重のノーシンカーで当たりを取るにはラインの位置がわかるので、
とても重宝しています。
あとは末永さんのサングラス。
今日みたいな日はイーズグリーンが一番良いと思います。
そのおかげですね。
あと、弊社OSP、
今回木曜日から休みをいただきまして感謝しております。
いゃあ、とにかく嬉しいです」



草深選手TackleData
Tackle1
ROD:スティーズ・ハスラー
REEL:Daiwa TD-Z103ML
LURE:O.S.Pドライブスティック4.5(プロト)
LINE:サンライン NEW BMS 12lb
RIG:ノーシンカー
Tackle2
ROD:バトラー・ナイトホーク
REEL:Daiwa スティーズ100H
LURE:O.S.Pベントミノー106F
LINE:サンライン デフアイアー13lb

メインエリア:花室川
今回のキモ:スポーニングから回復したバスのクルーズ待ち。
少ないバイトを確実にモノにする準備態勢とパートナーシップ、集中力。

川村選手TackleData
Tackle1 (二日目のビッグフィッシュ)
ROD:ブラックレーベル 6.8 プロトモデル
REEL:Daiwa ピクシー PX68L
LURE:O.S.Pドライブスティック4.5(プロト)
LINE:TDアデス 12lb
RIG:ノーシンカー(バックスライド付け)
Tackle2 (初日のビッグフィッシュ)
ROD:スティーズ・ライトニング
REEL:Daiwa ピクシー PX68
LURE:スピードトラップ
LINE:TD LINE DURABRA 14lb
Tackle3
ROD:スティーズ・ファイヤーボルト
REEL:Daiwa セルテート フィネスカスタム 2004
LURE:O.S.P マイラーミノー
LINE:TDアデス 5lb
RIG:ダウンショット、キャロライナリグ
メインエリア:花室川
今回のキモ:ノーミスのパーフェクトゲーム!!

こうして、今年のスリーデイズも無事に終わった。
結果的には2チームのマッチレースだったようだが、
実はドラマは22チーム、すべてにあった。

みんな一生懸命に釣りをした。
ハナから負けを覚悟するバカはいない。
勝とうと願ってキャストを繰り返す。

チーム戦だけに、釣れた感動、喜びも倍になる。
三日間、ともに戦えば心は通じ合う。
勝っても負けても一生語り合える話題ができる。

そんな魅力がスリーデイズにはある。

来年はもっと多くのアングラーにこの感動を味わって欲しい。
みんな、試合翌日の月曜日は廃人のように疲れているだろうが、
価値ある疲労といえる。

選手、スタッフ、ギャラリー、プレス、
みんなスリーデイズ仲間。
2010年のスリーデイという共通項で話は盛り上がるはず。
いつか、この話で一杯やりましょう。

それにしても花室川のポテンシャルは凄いっすね。

レポート・大和小平(やまとしょうへい)