古豪、ついに覚醒!!



ベテラン・山本寧
栄光のクラシック・チャンプに!!



熱闘2日間。
20名の精鋭は全力を尽くした。




■2010 W.B.S.プロクラシック19 REPORT

常にダイナミックでエキサイティングなゲームを見せてくれる
W.B.S.クラシック。
一年間の総決算として、
選ばれし者だけが覇を競い合える名誉ある舞台だけに、  
凡戦はありえない。
しかし、
今年は史上稀に見るナイスゲームを見せてくれた。
One of the Bestとして語り継がれる内容だった。

ディフェンディング・チャンピオン、
スーパー3デイズ・ベスト3、
そして年間ランキング20位までの選手しか出場できないW.B.S.クラシック。

今年、参加資格を獲得したのは20名。
ディフェンディング・チャンピオン、
スーパースリーデイズ・ベスト3の該当者が、
いずれもランキング20位以内に入っているからだ。



W.B.S.クラシック出場権には繰り上げも繰り下げもない。
出られるのは前記の資格を保有するもののみ。
推薦枠も特別枠もない。
明解な基準があるのみだ。
だから価値がある。
名誉がある。
みんながこの舞台に立ちたいと願う確かな理由がある。
大の男を燃えさせる魅力があるのだ。

回を重ねて今年は19回目。
ローリングストーンズの曲に
19th Nervous Breakdown
(19回目の神経衰弱)
という意味不明の作品があるが、
20名の選手にとっても
19回目のクラシックは
神経と肉体の限界を超越した2日間だったであろう。

■初日



天候に翻弄された今年のレギュラートーナメントだが、
クラシックは穏やかな空の下で2日間戦えそうな塩梅。
初日の未明も気温こそ12℃と寒かったが、
空には満月がくっきりと見える穏やかさだった。

加えて予報も「晴れ」で
昼ごろには気温も20℃を超えるとのこと。
風もそよ風程度ということで、
気象的なコンディションとしてはこれ以上ないといえた。

ラフウェザーに悩まされるのはアウトドアスポーツの宿命だが、
できれば2日間、思いっきり勝負してもらえる環境を整えてほしい。
その点に関して心配しないですむのは、何よりありがたい。
ねずっちも「整いました」
といっていたとか…

プラでは6kgパターンなどと、
景気のいい話がチラホラ聞かれていただけに、
なおさらドラスティックな状況悪化はカンベンしてほしい感じだった。

霞ヶ浦水系の事前の総合環境としては、
相変わらずの小刻みな水門開放の影響で、
恒常的な減水傾向は否めないものの、
秋の深まりとは裏腹に、それほど水温の低下は見られず、
人も魚も爽やかな季節を満喫しているまったり感もあった。
魚の活性も低くなく、おおむね良好なコンディション。
それがプラの好調さとなって現れていたと思われる。
釣れるクラシックとなる予感。
それは選手のみならず周囲の期待も膨らませたのである。

某トーナメントウォッチャーは
優勝ウェイトを4.5kg×2=9kgと予想したが
果たしてどうなるか。

10月23日6時2分、
全選手のスタートが完了、
W.B.S.2010年の掉尾を飾るビッグイベントの火蓋が切って落とされた。



新港を出て行くボートを観察していると、
直角にライトターンをかましたのが7艇。
実に1/3が桜川を目指したことになる。
事前の絶好調ぶりを示す現象である。
しかし、2日間を通してこのエリアで
成果を生んだ選手はいなかった。





一部を除いて。

そして1艇はレフトターン。
境川に突撃。

あとは花室と思しき方向に向かったのが1艇、
残りは東方を目指した。

本部で朝食を摂った後、
例によって取材班はパトロールにでかけたが、
その時点では桜川には3艇しか浮いていなかった。
下流域には草深艇が…。
この時点では同選手がデカイことを成し遂げていたとは、
神様しか知らなかった。

西浦を南下していくと3艇。
「世界最長老トーナメンター」小林選手もいた。

大橋を渡って本湖東岸に行けば5艇が広い範囲に分散していた。
オカッパリイベント「カスタン」で不調だったエリアである。
あとは沖を走るボートを何艇か双眼鏡で確認した。
残念ながら初日は釣れている現場を目撃できなかった。

果たして釣れているのかいないのか。
湖面はいい凪である。
あまりにもまったりした天候が悲観的な釣果を予想させる。
10時頃から陽が射しはじめ、ポカポカ陽気になってきたと思っていたら、
昼に近くなり暑くなってきた。
冬と夏が一日に同居する、外国のような天候だ。
ハイライトな空。
当然、作戦もそれに即応しなければならない。



土浦新港もそんなのどかな雰囲気に充満していたが、
ウェイインが始まると、
一気に興奮のるつぼと化した。

最初にやってきたのは渡部尚昭選手
バッグの中には5本の魚が。
しかもみんなデカイ。



スケールに載せてみれば
「オオッ!!」
4,270g!!

いきなりナイスウェイトである。
西浦+桜川で固めたこのウェイト。
IKジンクスによるスッパー一直線。 
この数字には本部もどよめき、一気に緊張が高まった。

続いてやってきたのは草深幸範選手。
こちらもおなじくリミットメイク。
しかもデカイのがチラホラ見える。
とりあえずウェイトを計ってみれば



「オオッ!!」
4,240g!!

これはいったいどうなっているのか。
そしてデカイのをスケールに載せてみれば、
再び
「オオッ!!」
2,030g!!

久々の2kgフィッシュである。
桜川河口の送砂管周辺を丁寧に探り、
リグっていなかったネコリグに変えて、
レイダウンの中にロングキャストで入れたとたん、
そいつは食ってきた。
プラで確信を得たスポットだったが、
2時間ノーバイト。
それでも「魚はいるはず」と粘った成果が出た。

結果的にこの魚は初日のビッグフィッシュ賞に輝いた。
草深選手はスーパースリーデイズで
チームとして2本のビッグフィッシュ賞を獲得したので、
今年3回目のビッグフィッシュ賞である。
鳥澤徹、川口信明に続くビックフィッシュハンターの称号にリーチをかけたか?!
同時に、最終日にクラシックチャンプへの夢が大きく膨らむ4,240gであった。



草深選手TackleData
ROD:ベイト70ML
REEL:Daiwa リベルトピクシー
LURE:ZOOM フィネスワーム
LINE:SunLINE シューター10lb
RIG:ネコリグ
AnyComment
メインエリア:桜川河口 沈み物
今回のキモ:ネコリグでスローに誘こと

渡辺、草深両選手がタテ続けにビッグウェイトを持ち込んだので、
「今日はすごいことになる?!」
と本部の腰は浮いたが、
その後、二人のウェイトを上回る選手はいなかった。

だが試合は2日間。
赤羽修弥選手の3,800g、



蛯原英夫選手の3,590g、



石井賢二選手の3,370g、(いずれもリミットメイク)



丹竜治選手の3,340g



平本直仁選手の2,990g、



助川功将選手の2,930g、



蜂谷制選手の2,840g



など、3kg周辺なら十分挽回可能な数字である。
すべては明日、最終日に決まる。
渡辺、草深選手が逃げ切るのか、
もしくは3kg前後の選手が大マクリを決めるのか、
初日のウェイインは静かに終わろうとしていた。

「ちょっと待ったぁ」

そこへネルトンのようにやってきたのが山本寧選手。
5本の魚が入ったバッグをむんずとつかんで、
フィッシュチェックに向かった。
スケールに載せられた数字は
4,120g!!
3人目の4kg超えである。



「いゃあ、パターンなどないですよ。
あっちこっち走り回って、
ジャンクのような釣りですよ」
と語っていたが、
その目の奥には『勝算』の二文字が見え隠れしていた。
本湖西浦、東岸をメインに、さまざまなスポットをラン&ガンした同選手。
ルアーの横の動きがキモだと察知すると、
ラバージグ、テキサスリグともに横に泳がせて
一本ずつ着実にナイスキーパーを重ねていった。

こうして初日の幕は閉じた。
リミットメイクが6名。 
総匹数58。
総重量44,450g
という結果だった。

メインのプロダクティヴエリアとしては、
桜川、本湖西浦、東岸だったが、
実は東浦もキーエリアとなっていたことが判明したのは最終日だった。

夕刻からは恒例のパーティーが行われ、
選手、スポンサー、マスコミ、プレスアングラー、
そしてスタッフが楽しいひと時を過ごした。



クラシックのひとつのハイライトといえるパーティー。
W.B.S.ならではの爆笑な時間が流れ、
バストーナメントの楽しさを再認識するひと時である。



だがお開きになれば選手は気持ちを入れ替え、
心は翌日の釣りにシフトするのである。




■最終日

10月24日未明。
空に星は見えない。
雲が一面を覆っている。
予報どおり曇りのようだ。

5時を回る頃、
選手はコンボイのように連なってやってきた。
ヘッドライトの列が眩しい。



ある者は逃げ切りを、
ある者は一発大逆転を狙っての最終日。

橋本卓哉選手は5時20分起床。
トキワさんからカッ飛んで
5時25分に新港着という離れワザを演じた。
(選手集合は5時30分でした)



初日トップの渡辺選手に挨拶すると緊張感はないという。
「よく眠れましたよ。
9時過ぎには寝ました。
でも12時ごろに目が覚めてしまって、
それから釣りのことを考えたら、眠れなくなって…」

当然だろう。
逃げ切りほど至難のワザはない。
2位との差も少ない。
だが渡辺選手は2デイの第3戦で逃げ切り勝ちを果たしている。
「あの時は胃が痛くなるような一日でした」
そんな経験が実を結ぶか。

しかし上位陣に目を向ければ恐ろしい選手ばかり。
前述の草深選手、
そして山本選手。

「カスミの帝王」赤羽選手、
「豪腕」蛯原選手、
以下にも百戦錬磨のツワモノが名を連ねている。
誰が勝ってもおかしくないメンツが揃っている。

そんな20人が武者震いを覚えた24日6時、
いよいよ最終決戦がスタートした。



通常、2日間トーナメントにおいて、
2日目の釣果は全体的に落ちる。
帰着時間が早くなるため、競技時間は少なくなり、
それだけでも釣れる確率は下がる。
そして初日に多くのエリアが叩かれることで、
プレッシャーは一気に高まる。
ゆえに、初日の1割減が2日目の相場なのである。

だが、今年のクラシックは2日目に低気圧大接近。
風も微風でどこでもエントリーOK。
おまけに一日ローライトで、釣れる雰囲気満点。

「これはひょっとすると大逆転のドラマもあり?」

という状況だった。


2日目はバサーのS氏とともに出かけた取材班、
最初に訪れたのは初日に銀座状態を呈した桜川。
しかし河口に蜂谷選手、松村選手、草深選手を確認したものの、
それほど多くない。



西浦には数艇。
注目の渡辺選手もいた。
そして柴崎選手、橋本選手。



大橋を渡り玉造を下れば
小田島選手、麻生選手が。



そして天王崎を過ぎて牛堀にたどり着けば……
いたっ!! 山本選手。

グラスマットのエッジにリグを投げてスイミング…
とみていると見事に「ヤスシ、フィッシュオン」
思わずプレスと握手する姿を写真に収めることができた。
なんか釣れている感じ。



そんな印象を抱いて本部に戻ろうと大橋を渡れば、
遠くに村川艇が。
実は村川選手、
東浦で2日目トップのウェイト5,600gをマークしたのである。



いやー、皆さん思い思いのエリアで釣りを展開していますなー。
まさに技術と戦略をすべて動員しての戦い。
これはウェイインが待ち遠しい、
と新港に戻れば、
おなじみグラチャンの表彰式の真っ最中。



こちらも最終戦だけに白熱していましたよ。



さて、時間はあっという間に経過して、
いよいよ最終ウェイインの時がやってきた。
気がつけばステージ前にはたくさんの観客が詰め掛けている。



W.B.S.のファイナルバトルへの注目度の高さが伺える。

最終日のウェイインでは暫定トップに立ったものは、
ステージ上の「暫定トップ」席に座ることができる。

最初にその席に腰を降ろした選手は、
助川功将選手。
みごとにリミットを達成して4,230gという立派な数字をマークした。
おまけにビッグな1,950gも入っている。
初出場でこの結果は賞賛に値する。
1900フィッシュは堂々、2日目のビッグフッィシュ賞を獲得した。



さまざまなエリアをラン&ガンして4本まとめた助川選手は
「最後の一本は自分らしい釣りで行こう」
と五町田のテトラに行き、穴撃ちを慣行。
ごく狭い穴だけを狙ってカスミクローのテキサスリグを落とし、
みごとビッグフィッシュを引きずり出した。
トータルでも6位に入るという活躍は、今後に期待が膨らむ結果といえよう。



助川選手TackleData
ROD:EVERGREEN テムジン カレイド スーパーコブラ
REEL:ベイトリール
LURE:Berkley 霞クロー(グリーンパンプキン)
LINE:TORAY BAWO スーパーハードプレミアムプラス16lb
RIG:7gテキサスリグ


しかし、その助川選手も赤羽選手に席を譲らねばならなかった。
本湖、桜川でリミットを達成した同選手のウェイトは3,390g!!
今回も2日間フルリミット達成である。
この安定感は驚異的である。
トータルでも7kgを超えた。



渡辺選手がまさかの1フィッシュに終わったことで、
優勝ウェイトは7kg前後で落ち着くかと思われた。



しかし、そこへやって来たのが平本選手。
4本ながら粒ぞろいの魚が入っている。
計ってみれば4,720g!!



赤羽選手と入れ替わった。
初日は桜川とスノヤハラで4本2,990gと低調だったが、
2日目は大逆転を狙ってスタート。
ヤハラで撃ちまくるも11時まで音なし。
そこで閃いて小野川の真珠棚に行き、
シェイキーワームのヘビダンを投入すれば
立てて続けにナイスなバスを4本ゲッツ。
神が降りてきて最終的に3位にランクアップした。
欲をいえばキリがないが、
かなり満足できる終わり方だろう。



平本選手TackleData
Tackle1
ROD:Fenwick S-TAV63SULJ
REEL:スピニングリール
LURE:Jackall フリックシェイク
LINE:TORAY スーパーハードスーパーフィネス4lb
RIG:ジグヘッドワッキーリグ1.8g
Tackle2
ROD:Fenwick TAV-GP74CMHJ
REEL:AbuGarcia Revo ELITE K.T.F.
LURE:TIMCO ABホッグ
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラス16lb
RIG:テキサスリグ7g
Tackle3
ROD:Fenwick TAV-GP611CMLP+J
REEL:AbuGarcia Revo ELITE K.T.F.
LURE:TIMCO GaryYAMAMOTO シェイキーワーム
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラスハイグレード12lb
RIG:ダウンショットリグ7g
Any Comment
メインエリア:桜川−岩盤ジグヘッドワッキーリグのスイミング
スノヤワラ−岩盤ジググヘッドワッキーリグのスイミング
小野川−杭 フォール*シェイク
今回のキモ:自分を信じて撃つ!


さあ、ウェイインも佳境に入ってきた。
残りの選手も少ない。

草深選手がやって来た。
魚は5本持っている。
サイズはどうだ?
うーん、微妙。
計ってみれば3,320g!!
150g平本選手に届かない。
結局4位が確定した。



しかし
「来年につながる結果でしょう」
とサバサバしていた。
今年はスリーデイズの優勝、
桧原湖オープンの準優勝など、大活躍した同選手。
過去にはクラシック優勝の経験も、
バサー・オールスタークラシックでの入賞経験もある。
若いがキャリアも古く、今後W.B.S.を背負って経つ選手の一人であろう。
大成を期待したい。

さて、ウェイインもクライマックスがやってきた。
「豪腕」蛯原選手の登場だ。
当然、魚は5本持っている。
サイズも悪くない。
デジタルに刻まれた数字は





4,390g。
トータル7,980gで暫定トップに踊り出た。



ほぼ8kgに近い数字である。
さすが火消し魂。
暫定トップ席に座り、大きく息を吐く同選手。
2回目のクラシック優勝なるか?!

そしてラストウェイインの時が来た。
その男は山本寧。



過去A.O.Y.の栄誉にも輝いた男である。
だが、最近ははっきりいって低迷気味。
今年の初戦を勝って勢いづくかと思われたが、スローダウン。
ここは蛯原の迫力に押されるか?
多くのギャラリーが見つめる中、
一本ずつ魚をバッグに入れ始めた。
ファーストフィッシュ…まずまず。
セカンドフッィシュ…まずまず。
どちらも800gクラスか。
そしてサードフィッシュ…まずまず。
900gぐらいか。
すると山本選手は両腕をライブウェルに入れた。
どうやら二本出しをするようだ。
しがし、なかなか魚を捕まえられない。
ひょっとしてデカイのか?



蛯原選手も見つめる。
やがて2本の魚の下あごをガッチリ掴んだ山本選手は、
一気に両手を天に差し上げ、魚をギャラリーに見せ付けた。

「オオッ!!」

どよめくギャラリー。
それもそのはず、どちらもキロアップ確実のビッグフィッシュ。

「3,870gでトップが入れ替わります!」
MCが叫ぶ。

その時、蛯原選手の表情を見た。
「ニヤッ」と笑っていた。



やがて満場の注目のもと、5本の魚がスケールに載せられた。
土浦新港の時間は止まった。

デジタルが目まぐるしく動き、そして静かに止まった。

「5,120g!!」

山本選手、優勝の瞬間である。





同時に蛯原選手の準優勝が決まった。
山本選手に手を差し伸べ、その場を静かに去った。
悔しくないわけはないが、優勝者を祝福する男らしい振る舞いである。
7980gは優勝ウェイトといってもおかしくない数字。
今年は最終戦に優勝するなど、安定感も抜群のものがある。
この悔しさは、いつかは結実するであろう。
蛯原選手は2日間、東浦の2箇所と出島をメインエリアに釣りを展開。
ハードボトムがからむリップラップのクランキング、
スピナーベイティングでキーパーを重ねた。
最終日はガソリンがなくなるほど走り回った。
新港に帰着して
「ミスもなく一本ずつ丁寧に釣れた。
これで負けたとしても自分の中では100%の釣りだ」と胸を張った。
実に立派な戦い振りである。



蛯原選手TackleData
Tackle1
ROD:EVERGREEN ヘラクレス エアレキウス
REEL:Daiwa リベルトピクシーL
LURE:EVERGREEN スタンブル
LINE:EVERGREEN マジックハードR14lb
Tackle2
ROD:EVERGREEN ヘラクレス レッドマイスター
REEL:Daiwa STEEZ103HL
LURE:EVERGREEN D-ZONE 3/8oz スーパーチャート
LINE:EVERGREEN マジックハードR14lb
AnyComment
メインエリア:東浦リップラップ2箇所、出島リップラップ


さあ、それでは優勝の山本選手のインタビューを聞こう。

「えー、何から話せばよいのか。皆さんありがとうございます、本当に。
感謝したい人は一杯いますが、皆さんに。
クラシックも結構久しぶりで、10年ぐらい出ていないのかな。
昔僕がアングラーとってから霞の釣りが変わって、
浚渫が釣れず、岩場が釣れず、
フィッシングスタイルがオフショアの釣りだったので、
シャローゲームが成り立たなくて、
1からの出直しで丸10年かかりました。
W.B.S.の連中は、技術、考え方、トータル的に凄い人ばっかりで、
自分の力になるまで凄く時間が掛かる試合展開、
技量を必要とされるトーナメントだと思ってます。



今回、家庭の事情で、プラは2日間だけ、
1週前の日曜日と金曜日だけしか出来ませんでした。
クラシックなんで、まとめるよりも、今年一年間の総決算で戦おうと。
水温があまり落ちていないので、
最終戦の流れがそのまま6割ぐらいずっと、続いているのかなと。
で、実はですね、これっていうパターンはなくて、
総決算と言うのがまさにそれで、
ローライトとハイライト、東がらみ、北がらみの風でどう動くか、
というのを皆さんやっていると思うのですが、
十分にプラをしていない分、割り切れたので、周りまくりました。
キーはあったんです。
杭、葦、テトラ、フローティングベジテーション、
全て水平移動、横の動きに反応している。
昨日のハイライト時は、物に引っ掛けて止めて待つ、ということを念頭に、
風が吹いたらスピナーベイトで組みました。
今日はローライトだったので、
葦、ベジテーションのエッジをスイミングさせるのが効果的で、
葦の外側をバスが見てて、そこを過ぎるベイトにバスが出てくる。
で、皆さん打っているので、ローインパクトでいきました。
水押しが弱いルアーをチョイスしました。
メインは3/8のオーバルヘッドというフットボールと、エスケープツインのスイミング。
なんでフットボールかというと、
水平移動の時、自分の方に走ってくる魚がいて、
普通のアーキーだとあわせが効かないからです。
葦のテキサスや、スピナーベイトを混ぜましたが、
基本的に時合をどう読むかでしたね。
運よくハマった感じがします。
あとは太陽が出て、引っ掛けてステイする、そんな釣りも実行しました。

正直本当に、W.B.S.にお世話になって20数年。
過去10年前にA.O.Y.を取らせていただいて、
それ以降、泣かず飛ばずで模索をしていました。
自分のスタイルが決まらないのが事実だったのですが、
ようやく見えてきた気がします。
こうやって戦えるのも、スタッフの皆さん、スポンサーの皆さん、
水辺基盤協会の皆さんがあるゆえに戦えるので本当に感謝しております」



山本選手TackleData
Tackle1
ROD:Nories Road Runner 660h
REEL:ベイトキャスティングリール
LURE:Nories オーバルヘッド 3/8oz+エスケープツイン
LINE:バリバス ガノア アブソルート14lb
Tackle2
ROD:Nories Road Runner 680h
REEL:ベイトキャスティングリール
LURE:Nories エスケープツイン
LINE:バリバス ガノア アブソルート14lb
RIG:テキサスリグ10g
Tackle3
ROD:Nories Road Runner 630h
REEL:ベイトキャスティングリール
LURE:Nories ディーパーレンジ 3/8oz
LINE:ハリバス バスプライド ハード14lb
Any Comment
メインエリア:東岸、西浦の杭、リーズ
今回のキモ:水平移動+ベイト &風




こうして、実に内容の濃い2010年クラシックは終わった。
手に汗握るいい試合だった。
観客も感動したことだろう。

本人も語っているように、
山本選手は長いスランプに見舞われた。
だが、それでも挑戦することをやめなかった。
挫けずひたすら努力を続けてきた。
だからこの栄冠があるのである。
中にはちょっと調子が悪くなるとバックレてしまう人もいるが、
「継続は力なり」。
山本選手はそれを身をもって証明した。
これからの同選手は他の選手にとって脅威となることだろう。

さて、結果を振り返ってみると、
初日の総重量44,450gに対して、
2日目は53,030g。
尻上がりに釣れていることがわかる。
釣れない2日目に9kg近く上乗せした事実は、
W.B.S.プロの実力を如実に証明しているといえよう。

W.B.S.クラシックとは、
本当の実力者の戦いである。
すごい選手が揃っている。
それだけに、
この大舞台に駒を進めた選手の努力、頑張りを評価したい。
そして、その中で好成績を収めた選手を賞賛したい。



試合内容はこれから各雑誌等で紹介されるだろう。
その記事を読んで、多くの若きアングラーが刺激され、
楽しくしかも真剣な、
男が情熱を傾ける価値のあるW.B.S.トーナメントへのチャレンジャーが増え、
今後益々発展することを願ってやまない。

(レポート・大和小平)