「夏男」麻生洋樹、久々のパーフェクトゲーム!!
テキサス炸裂!!
麻生洋樹・田代涼チーム、
灼熱地獄の第4戦に堂々の勝ち名乗り!!
■2009年 W.B.S.プロシリーズ4th REPORT
今年の夏は本当にヘンだ。
梅雨明け宣言は名ばかり、
戻り梅雨のおかげでシトシト雨が降り続いた7月。
おかげで皆既日食も見られずじまい。
私にとって次の機会はない。
んなことはともかく、
第4戦が行われた7月26日は、一転して酷暑。
それでも梅雨明けのドピーカンというわけでもない。
湿っぽい風も吹いている。
そんな日並に行われたこの試合。
結果だけをみれば
夏らしいダイナミックな釣りを展開したチームが優勝を遂げた。
スタッフにとっても北浦スタートは楽ではない。
事務所泊でも2時起き。
前夜、女性スタッフにセクハラをかましていると、
睡眠時間はほとんどない。
だが、潮来マリーナに到着して夜空を見上げれば
そこにはくっきりと明るい星が……
思わず明るい気持ちになる。
「どうやら今回は晴天に恵まれそうだ」
どういうわけか今年は表彰式になると雨に祟られる。
「晴れ男」の私の神通力も亡くなったか。
ただし、前日は強い南系の風が吹いた。
当日も同じ予報。
スタートには支障のない風向きではあるが、
試合に影響しないワケはない。
そんな状況の下、38チームが参加して第4戦は行われた。
いうまでもないがこの試合は後半戦の折り返し点。
トータル7日の試合日数の4日目である。
このあたりに来ると、
年間レースの展開も現実味を帯びてくる。
競馬でいえば3コーナー。
東京競馬場では大ケヤキに差し掛かるあたりである。
ただし、競馬と違って先行絶対有利の法則がA.O.Y.レースにはある。
先行馬の足が急に止まることはあっても、
アングラーが記録したウェイトは減ることはないからだ。
まっ、そんなことは百も承知で選手たちは戦いに臨んだことだろう。
スーパー3デイズでクラシックの権利を確保した数人を除いて……
いつものようにスタート地点で
ボートの行方を観察していた私の目に映ったのは、
バウを下流に向けるチームの数多さだった。
「今年も外浪逆浦、北利根、常陸利根川か…」
後で取材に回る予定の私は、当然効率的なルートを模索する。
ということは「下ルート」で決定。
その時点で北浦本湖を除外してしまったのは、
私の人生の最大の誤算だった。
今回の取材行程は
潮来マリーナ周辺から鰐川、掘割、外浪逆浦、常陸利根川、北利根
というものだったが、あまり実りはなかった。
6時ごろからすでに暑くなり、
ワンカップというより淡麗生って感じ。(両方行きました)
あの暑さでは選手も大変だろーなーというのが正直な印象だった。
事実、上位チームの魚も涼しいうちに釣れたものである。
さて、
結果はW.B.S.ホームページのスーパー速報で紹介されたので
皆さんご存知だろうが、
今回の試合内容には非常に興味深いものがある。
それは……
ベスト3がいずれも北浦本湖から魚を持ってきたこと。
いつも北浦スタートでは北利根、常陸利根がキーを握っていた。
「必殺、階段落とし」などの
伝説的ウィニングメソッドも北利根で生まれたものである。
だが、今回は北浦がウィニングエリアとなった。
ウィニングどころか、「勝ち組」エリアである。
ついでにいえば6位の中村雅晴・霜田圭祐チームも北浦・山田。
中村選手といえばV6の『魔人ブー』。
それが自分の庭の常陸利根川を捨てて北浦に賭けたわけだから、
それなりの勝算があったのだろう。
お立ち台組みでは5位の稲葉隆憲・蜂谷制チームが北利根、常陸利根、
4位の早乙女剛・平川皓也チームが北利根で
それぞれリミットを果たした程度だった。
優勝の麻生洋樹選手も常陸利根川を得意としている。
しかし今回は
「もういい加減に、常陸利根川にこだわるのはやめよう」
ということで20日のプラで感触を掴んだ北浦をメインエリアに指名した。
その進取の気概たるや、評価されてしかるべきである。
だれでも、安全コースを無難に進みたいものだからである。
それでは優勝チームにインタビューしてみよう。
……麻生選手、おめでとうございます。
麻生 ありがとうございます。
……ナイスなウェイトですね。
麻生 今回は3,500gは何とか取れると思っていました。
リミットメイクは自信がありました。
4kgはプラスアルファがないときついかな、と。
……それではプラからの話をサクッと。
麻生 あの、先週の日月でプラに入りまして、
まずはマイ・フェーバリットの常陸利根川。
これは非常に厳しいと。
言い換えれば釣りづらい。
スーパースリーデイズのときからそうなんですが、
水はいい感じがするんですが、釣れない。
まっ、魚がアクティヴではないと。
ですから、1本2本カツカツで釣っていく感じでした。
ところが月曜日に北浦に入りまして、本気でやってみると、
ある法則を使うと比較的イージーに魚が釣れる。
……フム、ある法則?
麻生 いや、たいした法則じゃないんですけどね。
去年は、ショアラインをクランクとかで獲ったんですが、
今年はそういうことはダメで、
たまに釣れますが、何かおかしいと。
気がつけば沖にベイトがいる。
なるべく深さのあるところ。
夏なので、縦ストを追いかけたらバイトが出ると。
それで決まりました。
今日やることは一つ。
北浦の沖側、水深があるところの縦スト、
橋げたとか、をやっていこうと。
実際、爪木から下には行きませんでした。
……なるほど。
麻生 もうひとつのキーは、魚が比較的まとまって釣れること。
以前は1匹で沈黙だったんですが、
1m四方で4本出てきたと。
ソコはエビがいるんですよね。
狙いは当たったと。
……で、具体的な攻め方は?
麻生 果てしなくテキサスリグで組みました。
ダウンショットでもいいんでしょうが、
魚が元気なのと、デカイのが釣れるので、
14lbを巻く……となるとテキサス。
今日は風が吹いてやりズラかったんで、
シンカーは10g,7g,5gを使い分けました。
スタートしたら私だけ左に行って、
不安でしたが2投目でキロアップが来ました。
……とくに良かったエリアは?
麻生 武居ですかね。あとは渚の対岸だったり。
でも、釣れたのは朝だけ。
10時過ぎには揃っていました。
その後、ずいぶんミスしてしまった。
トータルで、4本巻かれました。
田代君も何本か高切れされていますから。
そういうことがあるとね、勝てないもんですがね。
「これは今回は勝利を逃したかな」
というのが感想だったんですがね。
ホントに勝ったんだ!!
と信じられないデス。
……勝因は?
麻生 そうですね。しっかりとテキサスで釣り込んだこと。
バグアンツ4インチにシンカーの重さを変えて、
元気な魚に絞って、釣り込んだことでしょうね。
これが勝因だったのかなと。
リール、ロッドのシステムは同じです。
……それではパートナーの田代選手。お立ち台は?
田代 初めてです。
……いい気分でしょう。
田代 1本しか釣ってないんです。
結構アセッてミスもしました。
……勉強になった?
田代 とても。
……おっしゃりたいことは?
田代 まだまだ未熟ですがよろしくお願いいたします。
……じゃ、麻生さんに戻しますが。
麻生さん、さすが夏男。
麻生 そうですね、夏しか釣れないと。
……好きな理由は?
麻生 杭で釣れるからです。
バルキーなワームでシッカリ喰ってくれる。
ノーシンカーとか使わなくてよいと。
……得意技にハメた麻生さんの勝利ですね。
おめでとうございます。
というのが大体の内容である。
後取材で仕入れたネタを一部補足させてもらえば、
3種類のテキサスリグを
麻生選手は「変態、じゃなくて変体バグアンツ」と呼んでいる。
インタビュー通り10g,7g,5gのシンカーがリグられているが、
10gと7gがタングステンシンカーなのに対し、
5gはナマリのシンカーを使っている。
これは別に金がないからではなく、
少しでも体積を大きくしてゆっくり落としたい、
という狙いである。
というわけで今回は麻生洋樹・田代涼チームが
多少のミスはあったものの、
プラで掴んだ法則を忠実に守り、
4kg超えという立派なウェィトを持ち込んで優勝した。
プラと実戦が理想的に噛み合った
素晴らしい勝利といえよう。
田代選手の爽やかな表情も印象的だった。
麻生選手TackleData
Tackle1
ROD:Nories ロードランナー6100H
REEL:ベイトリール
LURE:ECOGEAR バグアンツ4inch
LINE:14lb
RIG:テキサスリグ1/4oz
Tackle2
ROD:Nories ロードランナー680H
REEL:ベイトリール
LURE:ECOGEAR バグアンツ4inch
LINE:14lb
RIG:テキサスリグ3/16oz
Tackle3
ROD:Nories ロードランナー6100H
REEL:ベイトリール
LURE:ECOGEAR バグアンツ4inch
LINE:14lb
RIG:テキサスリグ3/8oz
田代選手TackleData
Tackle1
ROD:TENRYU マグナインパクト66MH
REEL:ベイトリール
LURE:GaryYAMAMOTOテナガホッグ
LINE:TENRYU マグナインパクト14lb
RIG:テキサスリグ8.8oz
Tackle2
ROD:TENRYU マグナインパクト63ML
REEL:ベイトリール
LURE:GaryYAMAMOTOプロセンコー
LINE:TENRYU マグナインパクト6lb
RIG:ジグヘッドワッキーリグ
Tackle3
ROD:TENRYU マグナインパクト65M
REEL:ベイトリール
LURE:IMAKATAU ヘアリーホグ
LINE:TENRYU マグナインパクト12lb
RIG:テキサスリグ5g
COMMENT:初優勝なのでとても嬉しいです。
パートナーの麻生さんのお陰です。
それと、B.B.MAXさんとTENRYUさんのサポートがあっての優勝です。
一方、準優勝の平本直仁・清水和也チームも
北浦をメインエリアにチョイスして結果を残した。
だがこのチームの本湖狙いはかなり苦戦した。
結果としても4本。
しかしサイズが良くて4kg近いウェイトを記録した。
プラでは各所をチェックしたものの相当厳しいという結論。
唯一釣れていたのが北浦の杭。
単発ではあるが、破壊力を秘めていたそのパターンに決定。
パートナーと打ち合わせの上、
本湖の杭と心中する作戦に出た。
かなりリスキーではあるが、
このぐらい大胆な釣り方に出ないと、
結果は付いてこない。
安全策が見返りをくれる保証などどこにもないのだ。
杭や水門で7時半に4尾まで漕ぎ着けたこのチームだが、
後が続かない。
あの手この手でリミットを追いかけたが、
結局4本でタイムアップ。
「こんなにあるとは思わなかった」
という望外なウェイトが準優勝をもたらした。
釣り方は7g、10gのヘビダン。
上からストンと落とす感じで杭にからめた。
またパートナーの清水選手はエンジン担当に終始していたが、
杭にブリッツを投げ、なめるように引いてくれば、
みごとに杭を釣ってしまう……(それは私の得意技)、ではなく
まぎれもないキロアップ。
準優勝に大きく貢献した。
この結果、平本選手は年間レースで暫定トップに立った。
だが、本当の戦いはこれから。
さぞやシビレルだろうが、
こういう勝負の舞台に立てるのは、
男冥利に尽きるというものである。
平本選手TackleData
Tackle1
ROD:Fenwick TAV-GP611CMLP+J
REEL:ABU Revo ELITE K.I.F
LURE:GaryYAMAMOTO フラッピンホグjr.
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラスハイグレード10lb
RIG:ヘビーダウンショットリグ7g
Tackle2
ROD:Fenwick TAV-GP611CMLP+J
REEL:ABU Revo ELITE
LURE:Berkley パルスワーム
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラスハイグレード10lb
RIG:ヘビーダウンショットリグ10g
Tackle3
ROD:Fenwick TAV-GP64SULJ
REEL:Daiwa イグニス2506
LURE:スモラバ+マルチスティック
LINE:TORAY スーパーハードスーパーフィネス4lb
清水選手TackleData
Tackle1
ROD:Fenwick エリート66CML
REEL:Daiwa STEEZ103HL
LURE:O.S.P.ブリッツ
LINE:SunLINE ベーシックFC14lb
COMMENT:来年もよろしくお願いいたします
そして3位は渡辺尚昭・山田貴之チーム。
このチームも北浦の杭をメインに攻略した。
多少のミスもあったようだが、
3,500gというまずまずのウェイトを持ち込み
「意外だった」という3位入賞を果たした。
山田選手は
ディープに隣接する杭を集中して攻め続け、
ハング、シェイク、ステイ、ハンぐオフと、
あらゆる手段を総動員してキーパーを重ねた。
渡辺選手はイマカツ・ダットカットのマル秘チューンを駆使して
「スッと横に動かすときにいい感じで反応しますよ」
と手ごたえを感じていた。
渡辺選手TackleData
Tackle1
ROD:EverGreen テムジン スタリオンOTM
REEL:Daiwa STEEZ103HL
LURE:IMAKATSU ダットカット
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラスハイグレード14lb
RIG:ノーシンカーリグ
Tackle2
ROD:EverGreen テムジン リベリオン
REEL:Daiwa リベルトピクシー
LURE:Berkley パルスワーム
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラスハイグレード12lb
RIG:ダウンショットリグ
山田選手TackleData
Tackle1
ROD:G-Loomis IMX782
REEL:Daiwa アルファスRエディション
LURE:スモールラバージグ1/8oz
LINE:VARIVAS GANOA10lb
Tackle2
ROD:G-Loomis IMX782
REEL:Daiwa リベルトピクシー
LURE:ECOGEAR パワーストレート6inch
LINE:VARIVAS GANOAスタウト10lb
RIG:ダウンショットワッキーリグ
4位は前述のように北利根、十二橋付近の
「浮きモノ」にサスペンドする魚を
シャッカル・カバークロー(早乙女選手)、
ファットイカ(平川選手)を駆使して
終了寸前にリミットを揃えた早乙女剛・平川皓也チーム。
5位は北利根、常陸利根川の杭、水門を狙い、
当日の状況にうまくアジャストした稲葉隆憲・蜂谷制チーム。
そして6位は山田ワンドの入り口で
パワーバルキーホグ(中村選手)、
カットテール(霜田選手)で
粒そろいの魚を拾った中村雅晴・霜田圭祐チーム
という結果だった。
なお、ビッグフィッシュ賞は小野里巧・大藪厳太郎チームが
常陸利根川の水門から引き抜いた1530gが獲得。
リグはシンセンコーのダウンショットワッキー。
このチームに関しては、試合途中のエンジントラブルが悔やまれる
小野里選手TackleData
Tackle1
ROD:Fenwick
REEL:Daiwa ピクシー
LURE:GaryYAMAMOTO 5inchスリムヤマセンコー
LINE:TORAY フロロ8lb
RIG:ダウンショットワッキーリグ
こうして話題も豊富に2009年の第4戦は終わった。
年間の暫定ランキングも発表された。
残すは2試合。
まだまだ結末は見えない。
A.O.Y.そしてクラシック出場権への道はなお険しい。
だが、だからこそ男が戦うに相応しい舞台。
たかが釣り、されど釣り。
情熱を賭けられるモノを持っている男の目は、
輝きが違う。
女が惚れるのはこういう夢を追いかけている男なのである。
第一戦の大体戦は2週間後。
もうすぐである。
となると決め手は「諦めないこと」。
精神力がモノをいう。
これからも、
選手各位の変わらぬ奮闘を期待して筆を擱くことにする。
補足として、
同時開催された富士見池グランプリでは、
いつものように岸釣りの熱い戦いが繰り広げられていた。
こちらはこちらで、真剣勝負。
気分は同じである。
レポート 大和小平(やまとしょうへい)