北浦に映える「濃い男」二人



浅井由孝・竹内聡チーム、
堂々の5s超えで北浦戦に大勝利
浅井選手は嬉しい初勝利




■2009年 W.B.S.プロシリーズ2nd REPORT

やっぱり戦士は戦ってナンボ。
プライベートの釣りもいいが、
競ってこそ男の闘争本能がむき出しになる。
トーナメントは男が戦うに相応しい舞台。

初戦が中止になった今年のW.B.S.プロトーナメント。
欲求不満は否めない。
みんな試合が好きなのよ。

4月12日朝、潮来マリーナにはせ参じた38チームは
おあずけをくらった獣が鎖をとかれた時のように、
つんのめって思い思いのエリアに漕ぎ出していった。



バスアングラーのアドレナリンが爆出する瞬間。
待ちに待った初戦である。
この日のために時間をやりくりしてプラを重ねてきた。
ガソリンも満タンだ。
前夜にはボートも磨いた。
作戦もバッチリだ。

正々堂々と男が情熱を傾けられるW.B.S.の
実質第一戦はこうして始まった。



こんな記念すべき一戦なので、
本当はみんなが釣れまくる楽しいトーナメントであってほしいが、
そうは問屋が卸さない。

そもそも、霞ケ浦水系に比較して、
事前から不調が伝えられていた北浦水系。
おまけに前日、そして当日朝の東からの強風。
曇天で気温も上がらず、水温も低下。
超寒い。
さらに水位減少などの諸悪条件が加わり、
最初の試合にしては超難解なセッティングができてしまった。

だが、だからこそ実力が試されるといえ、
相手にとって不足ない環境ともいえる。
マスターズゴルフのように、
難しい環境がチャレンジャーを成長させるのである。

さて、今回も取材班はエリアを偵察に出かけた。
矢口は敵前逃亡したが、
兼平という助っ人が現れた。
バサーの佐々木(ほぼ全域爆睡)氏とともに、
おおむね全域を回った。



選手の分布は
発見できた限りにおいて
矢幡に4艇、
江川に3艇、
掛崎〜居合に4艇、
神宮橋に1艇、
外浪逆浦に2艇、
北利根に2艇、
そして最後に回った山田に2艇というものだった。

残念ながら釣れているシーンには遭遇できなかった。
だから各チーム異口同音に
「渋い」を連発していた。
ゆえに、かなりスローな結果になると危惧された。

マリーナに戻ると、
富士見池では恒例の
「富士見池グランプリ」がて盛り上がっていた。
これも立派なトーナメントである。



時の経つのは早い。
あっという間にウェイインの時間となった。

いつものようにカタズを呑んで結果を見守ると、
意外や意外、けっこう釣れている。

2番目にステージにやって来た平本直仁・香取潤一チームは
いきなりリミットメイクの4,390gというビッグウェイト。
この数字は最後の最後までトップウェイトだったが、
最終的には準優勝となった。



プラでの感触は悪くなく、
たくさんのバイトを感知。
すべてフックオフさせたのでサイズはわからないが、
イージーに喰ってくるとの印象。
だが当日は水温低下でいきなりスローに。
打って打って打ちまくって5バイト5フィッシュ。
エリアは山田に浮気しつつも
結局本妻の矢幡一本勝負。
デビル・ホッグの5gテキサスに出る押さえ込むようなバイトをとった。
一方、香取選手はコンポジットツイン4インチをセンターカットして、
3.5インチにチューン。
その5gテキサスでラインに出るアタリをとった。
まさに二人の息がカンペキに合った
W.B.S.ならではのチームワークの結果。
とくに平本選手にとってこの試合は特別な意味を持つもの。
嬉しい準優勝だったに違いない。



平本選手TackleData
Tackle1
ROD:Fenwick GWT 72CMJ
REEL:Daiwa TD-Z ML
LURE:Gulp! デビル・ホッグ
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラスアップブレード10lb
RIG:テキサスリグ

Tackle2
ROD:Fenwick TAV-GP 611CML+"power plus"
REEL:Daiwa STEEZ
LURE:Gulp! バックスライドバグ
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラス8lb
RIG:テキサスリグ


香取選手TackleData
Tackle1
ROD:Nories ロードランナー 6100H
REEL:ベイトリール
LURE:Nories コンポジットツイン カラー:スモークマスタード
LINE:SunLINEシューター14lb
RIG:5gテキサスリグ

Tackle2
ROD:Nories ロードランナー 650MH
REEL:ベイトリール
LURE:ECOGEAR バグアンツ3inch
LINE:SunLINEバイトマーカー12lb
RIG:5gテキサスリグ

Tackle3
ROD:Nories ロードランナー 630MH
REEL:ベイトリール
LURE:Nories シャローロール3/8oz
LINE:SunLINEシューター12lb


その後、ポツポツとナイスウェイトは持ち込まれたが、
平本・香取チームを超えるものはいない。

保延宏行・平川皓也チームは4本3,010g。
中村雅晴・市川好一チームも同じく4本3,010g。
期せずして同スコアで5位タイに入った。

保延・平川チームは蔵川・矢幡の葦に差してくる魚に狙いを絞り、
バグアンツ7gのテキサスで4本。
重いシンカーに反応が良かったという。



中村・市川チームも重いシンカーを駆使した。
エリアは外浪逆浦。
葦から離れた手前をズル引いて数少ないバイトをとった。



続いてやってきたのは橋本卓哉・開発学チーム。
事前にはまったく自信がないといっていたが、
なんと4本ながら4,020gのナイスウェイト。
1500gフィッシュも入っており、
さすがの4位入賞。





スタート直後は矢幡で拾う作戦に出たが音なし。
そこで前日にヒントを得た江川の浚渫に。
狙い済ましたピンポイントにHPFクランクを通せば
いきなり1500gが。
風がやんでからはダウンショットをハンプにハング&ステイで、
キーパーを重ねた。
相変わらず橋本選手はしたたかだ。

しかし、同じ江川で魚を固めて橋本チームを上回ったのが
松村寛・赤荻拓馬チーム。



前日のプラで赤荻選手がいい魚を掛け、
それが自信につながったという。
また前日の東からの強風を考慮して、
風裏の東岸をチョイス。
江川でいきなりDゾーンに1本来たので、
心中を決意。
その後はスローな釣りにシフトして
スピードクローのテキサスリグでリミットを揃えた。
赤荻選手の活躍もあって、
リミットメイクの4,330g。
平本・香取チームを超えられなかったが、
堂々の3位入賞である。



松村選手TackleData
Tackle1
ROD:Daiwa STEEZ ハスラー7.0ft
REEL:Daiwa TD-Z LH
LURE:スピードクロー
LINE:SunLINE フロロ14lb
RIG:テキサスリグ

Tackle2
ROD:SMITH ストラテジー64FM(横山モデル)
REEL:Daiwa TD-X 右巻き
LURE:EVERGREEN D-ZONE 1/2oz
LINE:SunLINE ディファイアー15lb

赤荻選手Tackle Data
Tackle1
ROD:Fenwick FVRエリート 611ML+PJ
REEL:ベイトリール
LURE:MCジグ3/8oz+パワーバランス4.5inch
LINE:SunLINE スーパーFCスナイパー


この時点でウェイインも残すところ6チーム。
これは平本・香取チームの逃げ切り優勝か??
と周囲を早合点させたところにやってきたのが
浅井由孝・竹内聡チーム。

ライブウェルから出した4本目と5本目の魚はやたらデカイ。
どちらもキロアップは固い。
それどころか1.5kg以上ありそう。
ひょっとしてトータル5kgオーバー?
いや、楽勝で5kgはあるっしょ。



観客のそんなどよめきの中で魚はスケールに載せられた。
潮来マリーナで一同カタズを呑んでコールを待った。

10秒、20秒。
やがてデジタルの数字が止まった。

5,130g!!。



残り数チームのウェイインを待たずして、
優勝を確信した二人は猛獣のような雄たけびをあげた。

とくに初優勝の浅井選手は興奮の極致。
「取り返しの付かないことになった」とガクガクブルブル。



今の心境は?
「やっと僕に順番が回ってきたかなと。
去年はヒドイ成績でしたので、
今年はなんとかしようと思っていました。
霞水系に通って10何年、ようやくこの日が来ました」

プラは?
「一日30本ぐらい……タバコをすいました
それほど不調でした」

エリアは?
「鰐川のテトラ一帯です。
朝一は北浦の上流に行ったんですが2時間やってダメ。
それで鰐川に戻りました」

鰐川を選んだ根拠は?
「昨日プラしたんですが、
なけなしの一本を竹ちゃんがソコで釣ったんで、
大きなエリアで時間を掛けてやれば、
1本は釣れると思ったからです」

釣り方は?
「テトラのインサイドを狙っていたんですが、
アタっても乗らないケケースが頻発したので
パワーバルキーホグの2インチのダウンショット、
シンカーは1/32をベイトタックルでフリップという
多分この釣りができるのは世界で僕だけじゃないかと、
フリップできるギリギリの重さのリグを落として
止めて待つという
そんな釣り方です」

ビッグフィッシュ賞を獲得した1,700gフィッシュもその釣り方ですか?
「そうです。
で、こんなのがもう一本出たら、いっちゃうよ、
と思っていたら本当に来ちゃった」

竹内さん、感想は?
「荒れている中、
浅井さんの操船のおかげで気持ちよく釣れました」

浅井さん、初優勝ですが?
「そうですね。
パートナーの竹ちゃんがやたら籤運がよく、
エビちゃんや赤羽さんと組んでいい成績を残していた。
本人も『僕、籤運はいいんですよ』
と自慢していましたが、
『でも今回だけは外しました』
といわれていたんで勝てて良かったです」

(竹内選手)
「言ってない言ってない」

今回、優勝して吹っ切れたものがある?
「本当にまだ実感がわかないんですが、良かったなと。
ま、本当に嬉しく思ってます。
やっと僕に順番が回ってきました。
琵琶湖なんか行くと、向こうから回ってきますけど」



タックル面は?
「そうですね。
お世話になっているテンリューロッドは最高ですし、
サンラインも最高ですし。
ノーネイムは本当に活躍していたような、、、気がします」

浅井選手TackleData
Tackle1
ROD:TENRYU Shasta BC-67M
REEL:ベイトリール
LURE:Berkley バルキーパワーホグ2inch
LINE:SunLINE BMS8lb
RIG:ダウンショット

Tackle2
ROD:TENRYU Shasta BC-68MG
REEL:ベイトリール
LURE:WooDREAM No-NameCrank フラットDD ブラウンバックチャート
LINE:SunLINE FCスナイパー10lb


竹内選手TackleData
Tackle1
ROD:Megabass F7-711
REEL:ベイトリール
LURE:Berkley パワーホグ3inch
LINE:TORAY スーパーハードストロング14lb
RIG:ダウンショット1/16oz

Tackle2
ROD:Megabass F3-610DGS
REEL:スピニングリール
LURE:GaryYAMAMOTO 5inch Thinセンコー
LINE:TORAY PE リーダー 7lb
RIG:ジグヘッドワッキー

Tackle3
ROD:Megabass F3st-63X ヘッジホック
REEL:ベイトリール
LURE:GaryYAMAMOTO 3inch カットテール
LINE:TORAY スーパーハード8lb
RIG:ワッキー



こうして話題も豊富に第二戦の北浦戦は終了した。
古豪、赤羽修弥チーム、山田貴之チームの
ノーフィッシュ帰着という信じられない結果も
トーナメントの難しさを物語っている。



生き馬の目を抜くような立ち回りが、
結果に結びつく。
それほどハイレベルな争いが今年も繰り広げられようとしている。

選手は大変だろうが、
前述のように、過酷なセッティングを釣り抜けてこそ価値がある。

IT’S ONLY JUST BEGUN.

まだ戦いは始まったばかりだ。
クラシックまでの遠く長い道のりをぜひ見守らせてもらいたい。


レポート・大和小