モノをいったのは引き出しの数!!
赤羽修弥・田代涼チーム、
圧巻の5kgオーバーをマークして、
真夏の霞ケ浦決戦に勝利の雄叫び!!
■2009年 W.B.S.プロシリーズ1st 代替戦REPORT
「だいたいやねー」というのは
『これだけ手帳』の竹村健一のギャグ?だったが、
8月9日に行われた試合は
4月に行われる予定だった第一戦の代替戦。
期せずして第四戦の二週間後というタイトスケジュールとなったが、
釣れる時期なんで文句をいう人も(珍しく)少なかった。
優勝は赤羽修弥・田代涼チーム。
ウェイインした魚はすべてフロッグで釣られたという
前代未聞の結果だった。
だが、FROG is not FLUKE
まぐれでもなんでもない。
「日本のディーン・ロハス」と異名をとる赤羽選手にとって、
フロッグは奇策でもなんでもなかったのだ。
刻々と移り変わるコンディションに対応して、
持てる知識・経験・技術を駆使してリグをハメるのがバストーナメント。
今回の勝利は、
赤羽選手が自分の引き出しの中から、
消去法で浮かび上がった釣り=フロッグゲームを
選択した結果に他ならない。
そんな意味では、
豊富な持ちネタが呼び寄せた勝利といってもいいだろう。
第一戦の代替戦とはいっても、実質4試合目。
つまり残すは2デイの最終戦のみである。
今回も競馬にたとえさせてもらえば
この試合はまさに直線に入った頃。
ゴールを目指してムチを手にするタイミングである。
いってみればここからが本当の勝負。
先行していた者も、
出遅れて、あるいは後方待機で好機を待っていた者も、
一斉にラストスパートをかけるクライマックスの序章なのである。
ここで余力を残す者もいれば、
一杯一杯で喘ぐ者もいる。
そんな36チームが集まって戦われたのが今回の代替戦。
ほぼ全員が9月最終週に予定されている
最終戦を視野に入れて試合に臨んだ。
できれば可能性を残して最終戦を迎えたいというのは共通の願い。
消化試合は誰も望まない。
目標がクラシック出場でもA.O.Y.の獲得でもいい。
とにかくモチベーションの火を絶やさずに9月末に楽しみを残したい。
意識せずとも、そんな願いがみんなにあったに違いない。
状況面でこの試合を振り返れば、
金曜日のゲリラ豪雨以外、特記すべき事項はない。
だが、そのゲリラ豪雨は恐ろしいほどの影響を与えた。
流入河川はほぼ壊滅。
優勝チームですら、
ファーストエリアは桜川だったから大変である。
逆にいえば、ファーストエリアが壊滅しても、
優勝をもぎ取ったという事実に戦慄を覚える。
そういえば試合当日も下のエリアでは豪雨が降ったらしい。
土浦ではなんにも降らなかった。
そのタイミングでラッシュに恵まれたチームもいたようだ。
トータル成績を分析してみれば
36チーム中リミットメイクが21チームと、
非常によく釣れていた事実がわかる。
ウェイトとしても、平均が約3kgと、
さすがに夏の試合だけに、魚の活性も高かったようだ。
さて、今回の湖岸取材は実に収穫が大きかった。
前日の取材が長引いたB誌のS氏、会社帰着が朝の4時。
したがって土浦出発が6時半とやや出遅れたが、
それでもいつになく多数のボートを発見した。
西浦で2チーム。
玉造、麻生で12チーム、
妙技、スノヤハラで5チーム、
計19チームを確認することができた。
こんなにたくさんのボートと遭遇するのも珍しい。
なんとっ、優勝・準優勝両チームの釣り姿を見ることができたのである。
途中、
9時にS氏が寝不足で、
私はワンカップで1時間ダウンしたにもかかわらず、
この好成績である。
優勝チームとは玉造でめぐり合った。
とあるドックの外カベに密生するベジテーションに、
実際にフロッグを投げていた。
時は7時30分。
その時点ですでに3回バイトがあって、
1本獲っていたという。
フロッグで行けると確信した頃だろう。
それでは優勝チームの勝ちパターンを説明しよう。
木曜日のプラで桜川でなんとかなると一応の自信を得た同チームだが、
前述のように豪雨で終わり。
ならば本湖勝負とハラをくくって巻物勝負に出た。
しかしサイズがいまイチ。
テキサスも撃ったがノンキーの嵐。
そこでプラで反応がよかったフロッグを選択。
これが結果を出して、方針決定。
人が避けて通るような、
いや、自らも避けて通るようなスポットを撃てば、
アグレッシヴな魚が次々とフロッグを襲ってきた。
玉造、麻生のいたるところにあるベジテーションエリアは
赤羽チームのいわゆる「メシの種」ともいうべき独壇場となった。
最大魚は1,850g。
最後までビッグフィッシュを争った巨大魚である。
「もっとデカイのが来たんですよ。
フロッグを追いかけてくるのが見えて、
フッと吸い込んだんです。
瞬時に合わせたんですが、掛かりが浅くて外れちゃったんです。
残念でした」
と贅沢な悩みを後で語っていた。
もともとフロッグは作戦の一部としてキープしていたもの。
テキサスで5本揃えて、
それからフロッグで入れ替えようと用意していたという。
ご存知のように赤羽選手といえばライギョハンターとしての顔も持つ。
そんな氏が最近とみに増加したベジテーションを見て、
水面系の可能性に着目しないワケはない。
ここで冒頭の「引き出しの多さ」がモノをいう。
ハスラーにPEの50LBのラインシステムを組むという準備を怠らなかったこと。
これが勝因だろう。
今年はこれまで不本意な成績が続いた同選手だけに、
この実力発揮のビッグウェイトは大きい。
年間ランキングもグーンとジャンブアップした。
一方、パートナーの田代涼クン。
いまではリョウといえば石川遼ではなく田代涼。
前回に続いて2連勝のラッキーボーイである。
毎回仙台から参戦している熱血大学生。
世間では「牛タン王子」といわれているとか。
「明日テストなんですけど」とお立ち台で語っていたが、
このツキが続けば恐らくいい感じで100点ゲットだろう。
テンリュウさんやB.B.MAXさんへの感謝の気持ちを忘れず、
いまのままのナイーブな感じで育ってほしい。
赤羽選手TackleData
Tackle1
ROD:Daiwa STEEZ ハスラー(メインロッド)
REEL:Daiwa TD-Z-103H
LURE:スプロポッパー
LINE:PE50lb
田代選手TackleData
Tackle1
ROD:TENRYU マグナインパクト63ML
REEL:ベイトリール
LURE:レインスワンプ
LINE:TENRYU マグナインパクト8lb
RIG:ジグヘッドワッキーリグ
さて、取材チームは麻生エリアで
準優勝の松村寛・中村修チームとも遭遇した。
だが、後で聞けばこのチームは
ここではまだ1本も持っていなかったという。
人気エリアのスノヤハラで勝負するつもりではいたが、第三フライト。
そこでスノヤハラは10時まで封印して、麻生・玉造で拾う作戦に出た。
しかし、思うような結果にいたらず、傷心でスノヤハラへ。
我々が同チームに遭遇したのはそんな時だった。
結果的には9時半ごろからスノヤワラで釣り始めて、
11時にはリミットメイク。
ジャコワンドのテトラ、杭などのタテストに
ジグにフラグラブをシステムさせてとにかくゆっくり落としつつ絡めて
時間をかけて外す時に食わせたいイメージで釣ったら、
先行者に打たれまくった杭でも釣れたという。
パートナーの中村選手も今年優勝を経験しているラッキーボーイ。
松村選手とエレキを分担し合って結果に結びつけた。
松村選手TackleData
Tackle1
ROD:Daiwa STEEZ ハスラー
REEL:Daiwa TD-Z左
LURE:Pro'sFactory ユナイテッドジグ1/8ozブルーフレーク+フラグラブ5インチ
LINE:SunLine 14lb
Tackle2
ROD:Daiwa TD-S701MHFB
REEL:Daiwa TD-Z左
LURE:GaryYAMAMOTO ファットイカ(チャート)
LINE:SunLine 16lb
COMMENT:ジグのスローフォールが効きました
中村選手TackleData
Tackle1
ROD:ベイト7ft
REEL:Daiwa STEEZ
LURE:Pro'sFactory ユナイテッドジグ1/8oz+バイブラツイン
LINE:WEEDライン14lb
Tackle2
ROD:ベイト7ft
REEL:Daiwa アルファス
LURE:バイズクローポートリー,がまかつワーム300 3/0
LINE:WEEDライン14lb
RIG:バックスライド
COMMENT:全て松村さんのお陰です。ありがとうございました。
優勝・準優勝は本湖・スノヤハラというメジャーエリアで成功を収めたが、
三位の金光忠実・鈴木匠チームは一日フルに北利根で勝負をかけた。
今回の試合ではレアなエリア選択である。
しかも、ここからビッグフィッシュ賞に輝いた
1,950gというモンスターが出るとは!!
北利根大橋を越えた右側の護岸と葦。
金光選手が「世界一ショボイ」葦に
パワーホグ3インチのテキサスリグを投げれば、
ングっと重い抵抗。
キャットですかね、とぞんざいにフッキングして、
大雑把に寄せてくれば、これがなんと顔バカデカの巨バス。
慌てて鈴木選手にランディングを頼んで取り込んだ。
ちなみに長さは55cm。
痩せていてこのウェイトだから太っていたら大変なことになっていた。
このビッグフィッシュが利いてこのチームのウェイトは4,940g。
優勝してもおかしくない立派な数字である。
金光選手TackleData
Tackle1
ROD:Daiwa STEEZ ハスラー
REEL:Daiwa TD-Z ML
LURE:Berkley パワーバルキーホグ3インチ
LINE:Berkley バニッシュウルトラ14lb
RIG:テキサスリグ
Tackle2
ROD:Daiwa STEEZ マシンガンキャストタイプU
REEL:Daiwa TD-Z ML
LURE:Daiwa RPMスピナーベイト
LINE:Berkley トライリーンMAXX14lb
鈴木選手TackleData
Tackle1
ROD:603ML
REEL:Daiwa ピクシー04ヴァージョン
LURE:フィネス
LINE:8lb
RIG:ヘビーダウンショットリグ
Tackle2
ROD:603ML
REEL:Daiwa ジリオン
LURE:フットボールジク1/2oz+ウルトラバイブスピードクロー
LINE:12lb
4位の小野里・小田島チームも一日スノヤハラで釣り込んだ。
妙技からスノヤハラにかけての南岸を執拗に攻めてリミットを揃え、
本湖で入れ替えを果たした。
リグはセンコーのノーシンカー。
「投げておくだけ」
という究極のテクニックが功を奏した。
5位は清水綾・川村泰雄チーム。
昼まで2kg弱という背水の陣で清水選手のマイエリア・玉造へ。
しかし、そこからラッシュが始まり、
得意のファットヤマセンコーのテキサスが炸裂。
結果的には4,870gというビッグゲインに結びつけた。
苦しみ抜いた結果の数字だけに、実に貴重である。
清水選手はこの結果、年間レースのトップに立った。
6位は村川勇介・成田紀明チーム。
このチームもスノヤハラオンリー。
なんと第一投で1,700gオーバーがくるという絶好調。
フィーディングのバスにタイミングを合わせるという
村川選手のプランが完璧にハマって、
久々のナスイゲームを繰り広げた。
こうして、代替戦は無事に終了した。
第四戦から中一週のハードスケジュール、
曇りとはいえ8月の暑さ、
下のエリアでは局地的な豪雨と、
過酷な状況に見舞われたが、
選手一同は釣れる時期の打撃戦を存分に戦ったといえる。
残りは9月末の一戦のみ。
天王山ともいえる決戦である。
今年の集大成に相応しいゲームを見せてもらいたい。
だが、とりあえずこの試合を戦った皆さんには、
ご苦労様と申し上げたい。
ウェイインステージにやってくる皆さんの、
疲れきってはいるが、やり通した表情は、
実に凛々しく男らしい。
スタッフは全員、そんなW.B.S.プロの皆さんを誇らしく思っている。
あくまでもフェアーに、正々堂々と戦う姿は、
どんなスポーツでも人を感動させる。
その主役である皆さんには、時として嫉妬すら覚えてしまう。
皆さんは周囲にそんな目で見ていることを忘れずに、
これからも精進していただきたい。
レポート 大和小平(やまと・しょうへい)