高岡展ニプロ プレスアングラーレポート 西嶋武寛
プレスアングラーを務めさせていただきました、西嶋武寛です。
第20回WBSプロクラシック開催、
まことにおめでとうございます。
また、この記念すべき20回目の大会に
プレスアングラーとして参加させていただきましたこと、
心より御礼申し上げます。
このたびのWBSプロクラシック、
私は高岡展ニ選手のボートに乗船させていただいたのですが、
正直申し上げると、大変失礼ながら、
私は本年の第5戦まで高岡プロについて
全く存じ上げませんでした。
第5戦の観戦の折、「高岡劇場」(by麻生プロ)の上演、
大入りにより38位から20位への
驚異的なマクリがあったことを知りました。
このマクリの源が何かを知るべく、
私は高岡プロのプレスを希望させていただいた次第です。
(過去5年で年間ランキング20位の選手が
クラシックを獲っている割合が40%である、
という高確率があった、というのは偶然です。)
とにかく「よい人」オーラがにじみ出る人柄の
高岡プロとご挨拶させていただき、
白いチャンピオンへと乗り込みました。
ボートを下すまでの時間、
土砂降りの中で2011年度の戦績の話、
第5戦前にクラシック権を半ばあきらめて、
ご家族とのお出かけの計画を立ててしまっており、
クラシック権を獲得したにも関わらず、
ご家族へ謝らなければならなかった話など、
プレスの私も、選手の高岡プロも共に
リラックスしてお話できたのではないかと思います。
.JPG)
初日の7番フライトと7番ゼッケン。
とても縁起のよい番号を手にし、
大荒れの天気の中でクラシックがスタート。
フライト直前、「よろしく! がんばろう!!」
とがっちり握手してスタート。
.JPG)
ステアリングを右に切り、北利根川へ向かいました。
ちなみにフライトが完了するや否や、
クラシックの神様は天気予報を覆して、
天候を回復させてくれました。
この奇跡を垣間見たのは、
高岡プロや私だけではないと思います。
北利根川では、テキサス葦撃ちで一ストレッチを流し、
同じストレッチを少し離れてクランクベイトでもう一流し。
何も起こらないまま、次のエリアへ向かいました。
後で聞いてみたのですが、朝一のこのストレッチは、
前日夜半からの雨で、魚がシャローに入ったかどうかの確認であり、
沖のストラクチャーやブレイクにストラテジーを絞るのが正解か否かを
判断するためのものだった、という話でした。
そしてこの流れで北利根川を北上し、霞ヶ浦本湖へ。
.JPG)
ということで、北利根川とシャローに別れを告げて、
沖の乱杭エリアに入りました。
こちらではカーリーテールワームのテキサスリグを
スイミングとちょいちょいクランクベイト。
ボートのデッキにはテキサスリグを
リグったタックルは2セットありましたが、
縦の動きを意識したものか、横の動きを意識したものかの違いで、
このエリアで使用したタックルは、
横の動きを対応するためのカーリーテールのワームでした。
.JPG)
しばらくブレイクを意識したテキサスリグのスイミングで、
高岡プロのロッドが通常ではありえない鋭角の弧を描きました。
が、くにゃっとなったワームとフックだけが空中に飛び出してきました。
「手前に走ってきちゃった。でかかったなー」と、初バイトの感想。
ただ、実はこの時すでに10:30過ぎ。
ワカサギについている魚がタイミングで入って来るんだなーと
思っていたのですが、高岡プロの見解は異なり、
とても勉強になりました。
「今年のワカサギは超豊漁なんだけど、
水温が19度以上あるような今だと、
まだワカサギの群れが小粒なんだよね。
こんな状態だとバスはワカサギの群れには付かない。
もう少し水温が下がってくれないとね」。
11:00、対岸の和田へ移動。和田岬沖の鉄杭エリアにてテキサスリグ、
ノーシンカーでバスを誘いに行きましたが、異常なし。
和田ではボラがそこそこ跳ねていて、
生命感が感じられるエリアでしたが、何事も起きませんでした。
(後から写真を見てみると、この日の和田は
何となく濁っている色に写っている気がします。)
ここで戦略再設定。
「風が吹いた後だから、岸際は底荒れしているのかな。
とすると、沖側に逃げ込む線もある。
だけど、曇って風が止んだ状況なので、
岸と沖の中間あたりに魚が待機して、
どちらでも行ける用意をしている状態かもしれないな」。
ということで、北利根川の葦+ブレイクを攻めることに。
日が照ったり曇ったりを繰り返していて、
魚もどっちつかずだろうということで、
葦際、ちょい沖(ブレイクのショルダー)を
それぞれテキサスリグとダウンショットで探ることに。
しばらく流していくと。「・・・食った食った。。。」と
言葉を残してフッキング動作を行ったがすっぽ抜け。
納得がいかず、同一ポイントに再度同じリグを投入したところ、
「・・・また食った。。。あーっ!!」ラインのアワセ切れ。
「あーぁ、たぶんあのショボ葦の下に
ラインか何かが入ってたんだろうなぁ。。。」残念です。
.JPG)
小さいことなのかもしれませんが、
高岡プロがリグを作るスピードは、恐ろしく速く感じました。
ご本人にはお話しませんでしたし、たぶん「慣れだよ」
と言われてしまうのではないかと思いますが、
2名同船のWBSプロトーナメントでは必要な技術だと感じましたし、
何よりもルアーが水中に存する時間を少しでも長くすることで
バイトを得る確率を上げる、という意味でも、
こういった小さな動作の一つ一つが重要だと感じました。
この後、北利根川を南下し、
外浪逆浦でも要所要所を撃っていきましたが、
最後まであきらめない精神とラッキー7の甲斐なく、
無念のゼロ帰着となってしまいました。
「デコったのすげー久しぶりだよー。
明日は4500gは最低でも持ってこないとなー。」
この日の救いは全体的にあまり釣れていないこと。
上位陣が崩れた場合に限られますが、
それほど大きな差がないことと、
状況自体がとてもタフなことは、
ある意味で高岡プロとしては追い風である、
と考えられたかもしれません。
2日目。
2日連続の雨の朝となりました。
スタートは逆順となるため、ゼッケン7番は14番スタートとなります。
スタートを待つ間、今日の作戦を伺いました。
.JPG)
「昨日の雨で増水したのであれば、あまりに急激な増水だよね。
急に増水しても、バスはそんなにすぐにはシャローに差さないから、
ちょっと時間を置く必要がある。
1日経った今日なら、バスも安心してシャローに入れていると思うんだよね」。
朝一のエリア。「ここが第5戦の高岡劇場」。
エレキが泥を巻き上げるぐらいの浅いエリアですが、
沖側に比べ、とても静かな水面だったように思います。
岬地形のサンドバーにスピナーベイト、
葦際にテキサスリグを落としていきました。
またこのピッチングが超が付く丁寧っぷり!
弾道が低く、「そっと、そ〜っと…」を
常に意識されているのがとてもよくわかりましたが、
それだけでなく着水後にわずかに手前に引くことで、
水平フォールを意識しているのが見て取れました。
後から聞いたのですが、
「結局はフロロラインの重量もあるから、
どうしても多少のカーブフォールにはなっちゃうんだけどね」とのこと。
小さな事かもしれないし、当たり前のことかもしれないのですが、
こういったことを意識できることが「プロ」だなと、痛切に感じた次第です。
一流しして異常なし、
石積み近くの沈みものを意識してクランクベイトをトレース。
カラー、ラトル有無のチェンジをして魚の反応を見ましたが、
こちらでも結果は異常なし、移動を決意しました。
対岸の和田に移動。数百メートル先には別の選手が。
「黒いカッパに白い帽子は麻生さんだね」。
岸際にスピナーベイトを投げ、沖側に向けてトレースしてきましたが、
20分ほど投げ続けても何も反応がありません。
8:40、突如として沖に目を転じて岸から10メートルぐらいの位置で
岸に平行にバイズクローのダウンショットを遠投したところ、
その1投目、いきなりラインが走りました。
.JPG)
「キャットかなー。」ちょっと弱気になっていたことが
感じられる言葉を発していましたが、
私も祈る思いで魚が姿を現すのを待ち、
キャッチしたのはのナイスキーパー!!
1匹目までが長かった分、高岡プロの写真に写った顔には、
安堵と疲れが同居している様子でした。
.JPG)
「目の前にルアーが落ちてきたんだろうな。
この位置で食うということは、沈みものにタイトについてるってこと」。
こののち、和田ワンド方面の沈みもの、
杭などの縦ストに対してテキサスリグ、ダウンショット、
ノーシンカーで攻めていくものの反応なく、
9:15移動することになりました。
麻生沖のブレイクでクランクベイトをトレースしましたが、
水の色が気になる様子で、10分ぐらいで北利根川に移動。
こちらでもクランクベイトとテキサスリグを投げましたが、
クランクベイトに反応があったものの、乗らない様子を見ると
サイズは小さいようでした。
11:00、麻生の沖テトラに移動しましたが、
「水が悪い」と、一投もせず見切り、妙義水道側に移動。
すると、入り口に門番のように二人のプロが
両岸に陣取っている様子を見て和田方面に再度移動。
前日も同じエリアに入りましたが、水が段違いによい!
という水門近くの葦でテキサスリグを投入したところ、いきなりバイト。
ここでは残念ながら根化けしてしまいましたが、
「ここだよ!!まだいるね。」と、手ごたえを得た様子。
近くのストラクチャーにヤマセンコーノーシンカーを投入。
ちょっと奥に投げて手前に引いて、
水平フォールを延々と繰り返したところ、
11:20、やはりいました。2匹目キャッチ!!
これも悪くないサイズ!!
.JPG)
「さっきばらしたヤツも、サイズは悪くなかったんだよ。
このエリア、サイズもいいね。高岡劇場、再現なるか!?」
このエリアに完全にコンフィデンスを得た様子の高岡選手。
この流れで付近の葦を引き続き撃っていきました。
12:00ジャスト、葦の上にひっそり建てられた
鴨撃ち小屋の葦を撃ったテキサスリグをひったくるバイト、
明らかにでかい!!
根に巻かれてラインが動かなくなってしまい、
これをバラしたらちょっと立ち直れないよ、と私が思っていたところ、
高岡プロは巻かれた方向にロッドごとラインを回し、
強引にバスを引き抜きました。3匹目キャッチ!!
.JPG)
ここに高岡劇場はありました。私が証人です。
この1匹ではまだ2匹もリミットには足りません。
しかし、この1匹が一緒に持ってきた感動は、
今でも私に憑り付いています。
残り時間が少ないね。
北利根のデッドスローを抜けておこう」と、
名残惜しい気持ちの中、和田とお別れ。
時間配分と気持ちの整理もまた、
プロの持つべき実力なのだろうと思いました。
12:40、外浪逆浦北岸。15分ほど撃ちましたが、異常なし。
水の色が和田と違うなーなどと思っていた私がいましたが、
後ろ髪をひかれていてはプラン通りにトーナメントを戦い抜けないことを、
この後思い知らされることになりました。
13:10、ラストのエリアとして選んだのは、潮来マリーナ付近。
念のためトーナメントエリアとして問題ないことをルールブック上で確認の上、
「あと10分はできるね」と、スピナーベイトを巻き始めました。
ほどなくして1バイト。「ん〜、乗らないねぇ・・・」と言っていましたが、
魚がいることを確認。
帰着前のわずかな時間もあきらめずに魚を追い続けました。
そして13:20、あきらめない心が1匹のクオリティフィッシュを
連れてきてくれました。
このバスは時間も時間だったので、
写真に収めることができなかったのですが、
タイムアロケーションの素晴らしさが、
連れてきた1本でもあると感じました。
.JPG)
結局この1本にて、試合終了。
4匹のウェイインとなりました。
ただし粒ぞろい、結果3,530g、単日4位、総合9位でのフィニッシュ。
上位の方々とは連れていたパターンが異なるようでしたが、
高岡プロの「らしさ」が表れた魚たちだったのではないかと思います。
.JPG)
朝の時点での作戦を思い出してみましょう。
「昨日の雨で増水したのであれば、
あまりに急激な増水だよね。
急に増水しても、バスはそんなにすぐにはシャローに差さないから、
ちょっと時間を置く必要がある。
1日経った今日なら、バスも安心してシャローに入れていると思うんだよね」。
バイトは全部で6回と、チャンス自体は少なかったですが、
4本で3,530g、平均882gというグッドコンディションであったということは、
結果は正解だった、ということだと思います。
信じたパターンを貫き通した結果、ということでしょう。
2日間ご一緒させていただいて、
気を遣わせてしまった点もあるのではないかと思います。
集中しているところへ話しかけてしまい、
邪魔をしてしまった点などあれば、お詫びしたいと思いますが、
私にとってこの2日間は勉強になっただけでなく、
「高岡劇場」を独り占めすることができた、大変幸せな2日間でした。
来年度もまた、霞ヶ浦で大活躍されることを祈念します。
本当にありがとうございました。
.JPG)
最後に。
2011年、大震災という未曽有の出来事が東日本を襲い、
被災地である霞ヶ浦でのイレギュラーなシーズンを戦い抜かれた
選手の皆さんと、
負けない霞ヶ浦のためにサポートされたスタッフの皆さんへ
心から敬意を表させていただきたいと思います。
1バスアングラーとして、お礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。
|
|