井上泰徳プロ プレスレポート 小林章尚

【1日目】
朝5時半、潮来マリーナは、集中豪雨の様相・・・
マリーナの受付は排水溝が詰まってしまったため、
完全に水没していました。



何もできないほどの雨の中、しばらく待機してから受付が始まりました。
今回同船する選手が発表され、なんと第一希望の井上選手でした。
井上選手と挨拶を交わします。
その後、抽選にて見事1番フライトをGET!
早く試合を始めたいのですが、
北浦湖上は大シケ状態で開催が危ぶまれる状態。
協議の結果、8時過ぎになって雨も収まり、試合が始まりました。

1番フライトの井上艇は、我先にと江川のブレイクを目指しました。
北浦を知り尽くした井上選手の軽快なハンドリングで、
荒れた湖上も安心でした。

ポイントには1番乗りで到着。
プラクティスで好感触を得ていたらしく、
まずはクランクベイトで攻めていきます。
すると、ほかの選手も後から3艇やってきました。
この広い霞水系でたった21人の戦いなのに・・・です。



ということで、このエリアがそれだけのポテンシャルがあるということは、
私にも容易に想像がつきました。
しかし井上選手を含め他の選手も魚を手にした様子はなし。
ふと目の前の水門を見ると、
ゴーゴーと音を立てて泥濁りの水が流れ込んでいるではありませんか。
流入河川だけでなく、水門からも泥濁りの水が流れ込んでいるのです。
先ほどまで降っていた集中豪雨が、
とんでもない状況の変化をもたらしていたのは明らかでした。

30分ほどでポイントに見切りを付けて次の浚渫に移動。
ここでも秋は巻物と言わんばかりにクランクベイトで攻めていきます。
しかし、プラクティスで得ていた確かな感触は消え失せていました。
この雨風で完全にパターンが変わったのでした。

そして、ここから井上選手の迷走が始まったのです。
しかし、日本で1番北浦に浮いているのではなかろうか?という
井上選手の引き出しの深さを垣間見る絶好のチャンスでもあります。

ところが当の井上選手は『実は引き出し無いんですよねぇ〜』
えっ???
そうこうしていると、いつのまにか完全に夏日になったようで暑い!
今日は10月下旬だが・・・
ここで井上選手は、
実績のあるポイントをラン&ガンする作戦に切り替えました。
しかし、苦戦は続きます。
最後のポイント、水中島のようなところでは、
ボラが上ずっており、水面の波紋を見てもそれは明らかでした。
絶対これにバスがついているはずだ!
と、クランクベイトを巻き倒しているとついにHIT!
起死回生の一撃なるか!
が・・・ボート際まで来てフックアウト!
キロアップをバラしてしまいました。



のちに井上選手がこぼしておりましたが、
慎重になりすぎてしまったと・・・
残り時間も30分を切ったころ、またしてもHIT!
が・・・これもすぐにバレてしまいました。
どうもリズムが悪いというか、乗り切らない・・・
かける言葉も無い・・・
ただただ頑張って欲しく、まだ時間はある!と応援したくなりました。
井上選手の帰着までの時間を目一杯がんばり続ける姿勢は、
とても尊敬できるものでした。
また、信じてクランクを巻き倒す姿勢に感服しました。
ボクもローカルトーナメントに出ているので、大いに見習うところでした。
結局初日はノーフィッシュでしたが、
2日目にかける意気込みは生半可なものではないというのが
表情からも感じることができました。

また、このような状況下であっても、
きっちり魚を捕らえてくるクラシック出場選手はすごいと思いました。
どんな状況になってもバックアップパターンを持っているのでしょう。
やはりどれだけ練習して、どれだけの時間を湖で過ごしたか?
という経験値によるものなのでしょうか?
二日目の井上選手に期待したい、と思いながら初日を終えました。






【2日目】

初日1番フライトであった井上選手、2日目は最終スタートです。
今日も江川からスタートかと思ったら・・・
いきなり潮来マリーナ前のスロープ周辺から始まりました。
ポイントバッティングしたのは出村選手でした。
2人でポイントをシェアしつつ釣り始めます。
最初に魚をかけたのは井上選手でした。
水深2mがらみのクランキングでした。



ここから怒涛のラッシュが入ります。
2本目こそ28cmのノンキーパーでしたが、
9時までに5本かけて2本を手中に収めていました。
クランクの高速巻きのせいか、掛かりがリアフックのみという場合が多く、
バレてしまうことが多発しました。





止めて食わすチャンスを作ってみては?
とか内心思ったけど、選手にどう影響するのかもわからないので
口に出すわけにもいかず非常にもどかしかったです。

10時ごろからは、ほかの場所でも同じように釣れてるんじゃないか?
と期待して移動しました。
前日唯一の1本をバラしたエリアでも同じようにクランクを巻き倒します。
しかし、マリーナ前のような感じは無いと気配で察知し、
30分でまた戻りました。
ポイントをシェアしていた出村選手もシャッドでキープしているようです。




ここでやり抜く覚悟をした井上選手は、
結局9本かけて3本キャッチで試合を終えました。


井上選手のパターンには、
優勝を手繰り寄せるポテンシャルがあったことを痛感しました。
あれだけクランクを引き倒した経験はボクにはありません。
相当な体力と忍耐力、根性と自信がないとできないことです。
これもすべて練習における実績からくるものなのでしょう。
日本で1番北浦に浮いたであろう男は、まちがいなく本物でした。
アングラーとして尊敬します。

そして他の選手も1分1秒を大事に本気で戦っている姿は、
ボクが出場しているローカルトーナメントには無いアグレッシブな光景でした。
ボクが勝てない理由に気づかされた有意義な二日間でした。

最後に、
井上選手と同じボートで二日間を過ごせたことに深く感謝いたします。
そして、このような大舞台に一般アングラーであるボクをプレスとして
採用してくださったWBS様の懐の深さに感謝いたします。