2010 W.B.S.プロクラシック19


草深幸範 プレスアングラーレポート 中村昌広



第19回WBSクラシックの2日間、
草深選手のプレスをさせていただいた中村です。
この2日間の草深選手の状況、
また草深選手の傍らで気付いたことを報告したいと思います。 
 
10月23日初日、6:00スタートと同時に桜川に入りました。
河口付近の導水管周辺で、「シークレットいきます」と、
ロングリーダーのヘビキャロを遠投し、
かなり早いテンポでのアクションをくわえました。
「エビがピンピン、フアーってのがいいんだよね」
と秋の横の釣りです。

プラでは、強い風でジャブジャブと導水菅が動き、
エビが散ってバスが捕食するパターンをつかんでいたそうです。
しかし、前日までの風はなく、明らかに状況は異なっていました。
メインリグにあたりがないまま時間が過ぎていく中、
気持ちを切り替え、プラで一度も投げていなかったネコリグを
導水菅および流木への距離を保ちつつタイトにプレゼンテーション。

そして、すぐに魚から答えが帰ってきました。
7:05、ネコリグに待望のバイト。
「あわせるか迷ったんだよね」と後で言われたとおり、
ラインが絡まっても不思議ではない状況で、フッキング。
その時、クリアな水越しに見えるのは明らかにビックバス。
いきなりのビッグバスにも関わらず慎重なやり取りで見事にキャッチ!
「よっし!よっし!」と大きな声そして震える手でガッツポーズ。
これが初日のBigとなる50UP、2030gのバスでした。



メインリグであたりがない中、
「心が折れかけてた」と草深さんがいわれたとおり、
トーナメントの最初の1本の重みを
草深選手と共に共感することができました。

「2時間バイトがなかった」とステージで説明されていたほど、
本当に長く感じられたのでしょう。
その後も、「ラッキーだ。今日は(神様から)『釣れ』って言われてる」
と自分を奮起させたり、
「周りのみんなにいつも助けられてるから釣らなくっちゃ」
とプロとして背負っている責任を自らのプラスのプレッシャーに変え、
次々とキーパーを釣り上げていきました。

7:35、2本目
8:55、3本目
9:43、4本目をキャッチ。



4本目はドライブスティックのバックスライド。
そして10:53にリミットメイクを達成しました。
いずれも同様なポイントです。
初日は5フィッシュで、4240gと2位の絶好の位置につけました。
 




10月24日2日目、



初日同様桜川河口付近でスタート。
しかし約4艇以外に桜川に入ってくる選手はおらず、
桜川は厳しいと多くの選手が見切ったとおり、
1本目のキャッチまで、初日よりもずっと長い4時間を要しました。
 
10:10、1本目となるナイスキーパーをキャッチ。



この1本から、草深選手はパターンの仮説を立てていきます。
そしてその20分後の10:30に2本目をキャッチしたとき、
「分かった!今日のパターン」と、立て続けに3本目、
4本目を20分間隔でキャッチしていきました。



そして「最後はドラマチックなバスを釣って帰りましょう!」
「ドラマ見せますよ!」と、自分を奮起させてキャストを続けていきます。
そして12:25にリミットメイクを達成しました。
いずれも導水管奥から一気にごぼう抜きするパターンでした。



結果、2日目は5フィッシュで3320gでした。
2日間の総ウエイトは7560g、総合4位でのフィニッシュ。
非常にタイトなコンディション下で2日間通してのリミットメイク、
そして1本のミスもなく戦い抜きました。
 
草深選手のプレスをさせていただいて最も学ぶべきと思ったことは、
基本であるラインチェックを欠かさず行っていたことです。
特に2日目は非常にタフな状況にもかかわらず、
リグが引っかかるたびにチェックし、リグり直していました。
その時の草深選手の一言、
「沈黙しているときにラインブレイクは立ち直れないからね」。

トーナメントという非常に厳しいプレッシャーの下で、
最も大事なことは自らのメンタルコントロールでしょう。
自ら集中力を維持向上させるために、
ラインブレイク等のリスクを進んで摘んでいくのです。
聞くところによると、赤羽選手もトーナメント中に
船上でラインの巻き替えをしていたそうです。

このような基本を一つ一つ確実にできることが、
真のトーナメントアングラーであり、
同時にバスを大切に考えるアングラーであると再認識しました。
この2日間、多くのことを学ばせていただきました草深選手、
ありがとうございました。
またこのような機会を与えた下さったWBSの皆様、
ありがとうございました。