2006W.B.S.プロクラシック15
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布川昭男 レポート:プレスアングラー 池田昌信 今年もやってきましたW.B.S.プロクラシックトーナメント。 過去2002年、2003年のプレス経験で、ゲームフィッシングの楽しさ、 すばらしさを体験させてもらいました。 今回も運良く抽選に選ばれ、 2006年11月11日、12日の両日参加することになりました。 今回プレスするプロアングラーは、 今年第3戦2位、第5戦3位、年間第6位の戦歴を持つ布川昭男選手。 22名の中でも5番目に出場回数の多い7回目の出場となる選手です。 クラシックのフライト順位は当日の朝、抽選により決定し、 2日目は順番が逆になります。 布川選手が引いた順位は12番でした。 土浦新港のスロープからボートが降ろされ、 GOサインが出るのを今かいまかと待つ選手たち。 それぞれが、健闘を祈りつつ、言葉少なに交わすその裏には、 この日のためのプランニングを復習するかのように、 そして、自身の釣りをやり抜く誓いを確認し合うように 静寂と緊張感が交差し、怒涛のごとく打ち寄せる瞬間である。 「今日のプランは?」の質問に 「ま、楽しくやるよ!」と満面の笑顔で答えてくれたのが、 経験上からの自信とキャリアを彷彿させ、非常に印象的であった。 ![]() 空も明るくなった6時30分、ついにクラシックの火蓋が切られた。 フルスロットルでスタート。 6時40分には最初の水門ポイントに到着。 稀に見るべた凪ぎ状態。 鉄板で覆われた箇所にダウンショットリグを打ち続けるも、反応なし。 クランク、スピナベ、シャッドとローテーションするも 魚の気配が感じられず、次のポイントへ移動。 向かったのは通称「桟橋」。 時間によってグッドサイズが回遊してくるらしい。 ダウンショットリグをシェイクさせずじっと食らいつくのを待つ、粘りの釣り。 2回ほどバイトらしきがあったが、触感なく乗らず。 11時30分頃、カミナリが聞こえて風向きが変わり、 雷雲が近づいてきた。2度目のカミナリを聞いた時点で、 ぽつぽつ降り出し、来た先を見ると、真っ黒でいかにも雨模様。 その後、古渡、牛堀、浅生とポイントを移動しキャストするも、 魚からの反応はなく、むなしく時間だけが経過していく。 「1匹でいいから獲りたいなぁ」ついに、布川選手から本音が。 それまで、平静を装っていた湖面に点々と波紋が広がり、 いよいよ本降りの形相。 「今度は止まないぞ!」空の様子を見ながら伝達された言葉に覚悟を決め、 レインウェアーと長靴に着替える。 それからの土砂降りは想像を絶するものがあり、 霧の摩周湖状態で、GPSがなかったら、自分の位置さえわからない、 サイドシートで目も開けられず、 まるで雨粒がBB弾の連射されるごとくで、 「自然をなめたら、アカン!」 という霞の神様の声を聞かされた思いであった。 初日のウェインは虚しくも魚影を見ることは出来なかったが、 布川選手の愛想笑いに悔しさがにじみ出ていた。 トーナメントは時として非情である。 橋本卓也選手が3550gのトップウェイトで初日が終了した。 夕方からのパーティーでは、選手、プレス、スポンサー、スタッフ、 関係各位による大懇親会が開催され、 円卓テーブルの席でそれぞれに「飲めや歌えの大騒ぎ」とまではいかないが 疲れた体を癒しながら、和やかな酒宴とあいなり、 プレス同士で自己紹介、初参加の人、常連の人らと 今日の感想等話は尽きることがなかった。 途中釣りビジョンの本年度W.B.S.総集編のビデオも公開され、 スポンサーからは、各選手達にプレゼントが贈られ、 酔っ払った吉田オヤジ様から選手一人ひとりに愛情ある、 激励が飛ばされ、明日の期待と決意を向上させ、幕を閉じた。 2日目の朝、天気予報では、強風の恐れあり。 はたして開催できるかが危ぶまれ、主催者、選手代表らと共に協議の末、 1時間様子を見てからの判断となった。 湖面を見る限りでは、普段と変わりなく穏かな感じではあったが、 先月死亡事故が起きているだけに、慎重を期する結果、 時間を遅らせてのスタートという結論に達した。 風のピークは11時前後の予想。 順次スタートするも、選手達の気持ちはいろいろな面で 複雑な思いであったと思う。 布川選手も遠方のポイントは避け、歩崎一文字へ一直線にボートを走らせ、 ビックフィッシュ一発大逆転に勝負を賭ける。 初日トップウェイトが3550gということは、十分にチャンスはある。 早い時間にナイスバスを手にし、早々に帰着というプランである。 まだ、湖面は穏かでまさしく嵐の前の静けさを予感させていた。 クランク黒金、スピナベ、シャッドとローテーションしながら投げ続けるも ワンバイトのみで、どうにも魚からの反応がない。 大橋下に移動し、石積みをキャストするも、まったく手応え無く、 昨日の雨の影響で水温は低下し、タフコンに追い打ちをかけたようだ。 ![]() 再度、昨日行った大山に移動し、キャストしていると 蛯原・大藪・中嶋選手らがぞくぞくと詰め掛けてきて、 サロン状態と化していた。 やはり、近場の一級ポイントだけに、考えることは皆同じなのか。 がしかし、迫りくる強風に危惧しながら、耽々とキャストし続けるも、 反応は皆無に等しい。 それまで穏かな湖面の形相が一変し、波立ってきた。 もはやこれまでか、土浦方面を見ると白波が立ち始めている。 いよいよ年貢の納め時か。 後ろ髪を引かれる思いで、12時過ぎ帰着へとボートを走らせる。 想像以上の強風は、マジ転覆するかと背中とお尻が汗でびっしょり、 波でびっしょり、自分の体を飛ばされないよう必死に踏ん張り、 新港近くまでの時間が距離がこんなに長く感じたのは初めてであった。 途中、フィッシング・シートがすっ飛び、 魚探のステイボルトが全てすっ飛び、 その破壊威力はすさまじいものがあった。 まるで、嵐の中、砂利道をシャコタン車で 100キロ以上のスピードでかっ飛ぶ感じ、 マスクは吹っ飛び、タオルはあっという間に無くなり、洒落にならない。 何とか、境川までたどり着き、帰着時間まで、1時間以上ある。 魚を手にしていないだけに、なんとか1本獲りたい。 やり切りたい思いは、手に取るように伝わってくる。 10分刻みに時間を知らせながら、揺れるボートからキャストし続ける布川選手。 「もっと楽しい釣りがしてぇなぁ」 万策尽きて、観念し、新港へボートを向けた。 心残りが無いといったらウソになる。 しかし、あまりにも自然の激変に魚も選手も対応し切れなかったのだろう。 勇気ある決断である。 そんな中でもトップで折り返した橋本選手が2日目も、 プレッシャーを跳ね返し、3本2,120gを絞り出して逃げ切り、 見事初のビッグタイトルを獲得した。 ![]() 3度目のプレス経験ということで、 気持ち的には余裕を持って望んだつもりだったが、 自然の驚異に改めて恐怖と万全の対策をもってのことと痛感した。 結果的には残念に終わってしまったが、 布川選手の温厚で、若い選手からも人望の厚い部分を 垣間見れた事に感謝し、 次回もチャレンジし続けることを祈念し、 レポートとさせていただきます。 ありがとうございました。 |