2006W.B.S.プロクラシック15

香取潤一 レポート:プレスアングラー 堀越祐一



いよいよW.B.S.プロクラシックが今年もやってきました。
ここへ出場する選手は優勝のみを狙い、
そして大いにバスフィッシングを楽しんで
2日間を燃え尽きるのでしょう!

今回は初日、二日目と別々のプロに乗せていただきましたが、
初日の香取プロをメインにレポートいたします。

香取プロとはよくお話しするのだが、一緒に釣りをしたことがなかった。
噂に聞くロールキャストの名手で、このキャストを目前で見られることに
少々、興奮気味であった。
ミーティング後、スタート順の抽選と選手とプレスの顔合わせを行い、
いよいよランチング。
ランチングを終えスタートまでの間にプラティクスの状況を聞くと
「3日前からプラに入って、1バイトのみだよ、魚穫ってないよ」
と苦しい状況のようである。
しかしその表情からは、
「やる事は決まっている、自分の釣りをしてクラシックを楽しもう!」
という気配が伺る。いよいよスタートとなり、
ファーストポイント目指しスロットル全開!

まずは、香取プロの庭である常陸利根川の葦。
ロッククローのテキサスリグを持ち、ゆっくりとポイントへ近づき、
第1投目からでました! ロールキャスト!
このキャストが並大抵のものではなく、ロッドを立てたまま手首と
ロッドの弾性を生かして投げるスピーディーなキャストである。
ルアーの弾道は水面を這うほどに低く、力強く”スパッ”とピンポイントに
吸い込まれ静かに着水。
しばらく見とれてしまう程の綺麗なキャストである。



そうこうしている内に、着水と共に水面が盛り上った!
バイトだ! だが一瞬ロッドに重さが掛かったが、
スッーとテンションが消えてしまった。
「いいサイズだった! 喰いが浅かったか? ツメかじってるよ」
とロッククローを見ながらバスの歯型を確認していた。
魚は居ることは確認でき、テンションもあがり、
さらにロールキャストのテンポが良くなる、
だがその後にネコリグへ変更し周辺を探るが、反応なく移動を決意。

続いては護岸にポツポツと葦があるエリア。
葦の切れ目だけを狙う作戦だ。
エリア的には知らない人なら通り過ぎる様なポイントだが、
水門が絡み水深が深い場所らしい。
やはりじっくりと探索しているから見つけ出せるのだろう。
葦と葦の間隔が広い場所で、不意に護岸へキャストした時にバイト。
「プラでも魚を触っていないのにこんな場所で来るなんて、
ラッキーフィッシュだよ」
と、香取プロも喜びを隠せず、笑顔がこぼれる。
ファーストフィッシュをキャッチして勢いに乗りましょう!
と次なるポイントへ移動。



ゴロタ石が多く良いポイントだそうだ。
香取プロは「ここはいい場所なんだけど、釣れた事がないんだよ」
と言うので、「いやぁ、釣れますよ、大丈夫ですよ」と私が励ますと、
ナント直ぐにバイト! グッドサイズをキャッチ!
船上では、2人で、「釣れるねぇーっ」と盛り上がった。
更にもうひと流し後、同じ場所でもう1本キャッチ!!
プラが嘘の様な展開に、香取プロも嬉しさを隠し切れない様子である。

その後、低気圧の接近と共に豪雨の中での厳しい展開を強いられ、
各ポイントを廻るがバスからの反応は無い。
香取プロはしきりに「あと1本」を繰り返しながらキャストを続けるが、
ストップフィッシングとなった。
明日は、朝一に逃がしたバスを取替えしに行って下さいとお願いして
1日目は終了。



香取プロに乗船して感じたことは、
自分なりに色々と工夫を凝らしていることだった。
一つ紹介しよう。エレキが底に当るほどのシャローでは、
エレキのマウントに輪留めを挟み、エレキを浮かせることで
シャローに入れる様にしていた。なかなか使える裏技ですね!

さらに皆さんもご存知と思うが、香取プロは右手が義手である。
吉田幸二さんがパーティーの時に言っていましたが、
彼は「ハンディをハンディと思っていないんだ」まさにそのとおりで、
あのロールキャストは攻めのキャスト、強い気持ちそのままのキャストであった。
また、当たり前なのかもしれないが、
一つひとつの動作を焦らず確実に行っていたことが印象的だった。
何時になるか判りませんが、レギュラー戦で組めることを楽しみにしています。

2日目は駒井プロへ乗船。
昨日のビッグフィッシュ1560gを確保して余裕なのかと思っていたら、
「昨日の雨でそのポイントは濁りで駄目だ、どうするかなぁ〜」
とスタート直前まで悩み、第一ポイントは大山に直行した。
ここで、ほぼ2時間を費やすも、キャット1匹に終わり、
風が強くなる予報とスタート時間を遅らせたことから
早々に土浦周辺へ戻っての作戦。
しかし、2日目は初日のように魚を持って帰ることはできなかった。


〜感想〜
この2日間で2人のプロの釣りを見て、
やはり正確なキャストが出来なければと痛感させられました。
香取プロからは、強い攻めのキャスト。
駒井プロからは、正確なブッシュへのアプローチ。
さらに2人はフロントシートを使用せず、
フロントデッキ全体を多彩に使用して色々な角度からの
アプローチを行っていました。
また、スポットへボートが近づき過ぎた時にはエレキを使わず、
自然に流れるのを待ち障害物などを使いボートを押して
ポイントから離すといった動作を行い、
ポイントに負荷を掛けない配慮をしていたことに関心しました。

レギュラー戦ではじっくりとボーターの釣りを見ることが出来ませんが、
今回は自分も選手の立場からトップトーナメンターの釣りを見ることで
色々と勉強になりました。
何時になるか判りませんが、
このクラシックでいつかは見せられる側へ行きたいと思います。