2006W.B.S.プロクラシック15

橋本卓哉 レポート:プレスアングラー 須田吉宏


11月11・12日にW.B.S.プロクラシックが開催された。
今年も昨年同様大荒れの天気になりそうだ。

初日
朝6時にミーティングが開始され、
フライト順の抽選と同時に同乗プレスがこの時に発表された。
な、な、なんと! 私は橋本卓哉プロのプレスに決定。
橋本プロと言えば9月に開催されたW.B.S.第5戦の優勝者である。
今、最も波に乗っているプロと言えるだろう。
ただ、クジ運は無いのか22艇中22番目を引いていた。

挨拶を済ませ、荷物のクーラーボックスをボートに載せる。
プレスは釣りが出来ないので荷物はこれだけだ。



湖上で21艇のボートを見送った6時半、橋本プロのクラシックはスタートした。
スタート前に本日の予定を聞いたところ、
恋瀬川に行きたいがフライトが遅い為、テキトーに行きますと言っていた。

6時40分
ファーストポイントは西浦北岸のドック周り。
数投した所で「恋瀬川に向かいます!」とエレキを上げた。

7時
恋瀬川河口に到着。
目視出来る位置に先行者は確認できない。
上流域で雨が降ったようで普段より水位が高い。
釣れそうな水の色だと言っていたが、バスからの反応は無かった。
ビックバスに後ろ髪を惹かれつつ恋瀬川を後にした。

8時
玉造・麻生エリアへ。
入りたいポイントには先行者が居た為、近くの似たようなエリアに行く。
1週間前のプラの時には結構釣れたらしいが、
まったく反応は無くなっていた。

当初はここまでが初日のプランであった。
この時点で4キロのバスを持っている予定であったが、
予想に反してノーフィッシュ。
「どうするかな〜」と考えて出した答えは、
明日に残しておくはずだった鰐川に行くことだった。
これは初日バスを持って帰ることを最重要とし、
それと同時に今日降る雨と明日吹く風で、
ポイントが潰れる可能性が有ることも考慮しての決断であった。

9時10分
鰐川に到着。
プラで調子が良かった沈み物を丹念にジグで打っていく。
しかし、まったく反応が無い。
「ちょっと休憩します」と言って水分補給とパンを一口。
その気分転換が良かったのか9時50分、待望のファーストフィッシュ!
橋本プロもホッとした瞬間だろうがプレスの私もホッとした。

その10分後に2本目を追加。
目に見える杭や葦の反応が良さそうだ。
アタリは少ないものの我慢の釣りで、11時40分にリミット達成。
さらに突然の豪雨にずぶ濡れになりながら投げ続けるジグに
バスが食いついた。入れ替えに成功だ。

初日はここでタイムアップ。
5本3550gとトップで折り返しとなった。


二日目
天気予報では大風が吹くと言っていた。
しかし朝6時の時点では無風と言って問題無い状況だ。
ただ、細長く伸びた雲がこれから風が吹くことを物語っていた。
大会本部も風の様子を見てからの開催となった為スタートは7時となった。

私事だが6時半に腹痛に襲われ、もし普通にスタートしていたら
大迷惑をかけるところだった。スタートが遅れて運?が良かった。

7時
トップで向かえた二日目は1番フライト。
どこでも好きな所に行ける訳だが、ハンドルを握る橋本プロは悩んでいた。
今日行くべきポイントは昨日行ってしまったからだ。
そして口から出た言葉は「ドブに行きます!」だった。
ドブとは古渡にある水路のことだ。

着いて早々「プラしてないから全然解らない」と言っていた。
予定外の行動だったのだ。
徐々に釣り上がって行くが水面は流れてきた葦だらけ。
エレキに絡まった葦を取ろうとした途端事件が起こった!
エレキのワイヤーが外れてしまったのだ。
時間ロスをしてしまったが何とか自力で修理完了。
このままドブを後にした。
非常に幸先の悪いスタートだ…

その後ドブ近くのテトラやジャカゴを打つも
得体の知れないアタリが多数あっただけでバスは釣れなかった。
再び行き場所を考え始める。
風が吹き始めたことと帰着が早いことを考慮して、
昨日行った鰐川は断念した。
そして西浦には風裏で水温が上がると、
面白いポイントが有ると言うことだった。

9時50分
水温が上がる時間まで西浦北岸の流入河川で過ごした。
沈み物でワンバイト有ったがフックアップにはいたらなかった。
10時半になり水温も上がったメインポイントへ移動することにした。
川を出ると風が一段と強くなり波が高くなっていた。

10時40分
本命ポイント到着。
風裏で釣りはしやすい。
と言ってもラインは風で流され私ならアタリも解らないだろう。
そんな状況の中きっちり葦際にキャストし続ける技術に驚いた。
丁寧にジグを打ち続け、11時10分待望のファーストフィッシュを手にした。
600g位だが本当に興奮した1本だった。
その15分後もう1本追加。
完全に流れが来ている。
そう思った直後痛恨のラインブレイク。
12時を過ぎた頃、風が巻き始めてこのポイントも
エレキでステイすることが厳しい状況になってきた。
安全を考え早めに土浦方面に戻ることにした。

12時30分
試合時間も残り1時間。
土浦近辺のドックに立ち寄り外壁を打ち始めた。
その一投目にドラマが起こった!
推定800gのバスをキャッチしたのだ。
この1本は非常に大きな意味を持っていた。

13時半
無事帰着を済ませウェイインを待つ。
待っている間に他の選手と会話をするが周りは釣れてない様子だ。
初日2位に着けてる長岡プロ以外は…
この時フロントデッキで寝そべっていた橋本プロが口を開いた。
「今までトーナメントでこんなにドキドキしたことは無い。
長岡さん釣ってるのか…駄目かな…でも勝ちて〜な〜」
橋本プロの純粋な言葉に、私も勝ってほしいと思った。
そして、改めてクラシックに勝つということは、
本当に大変な事なんだと感じた。



結果は3本2220g。
トータル5670gでW.B.S.クラシックのビッグタイトルを獲得した。
2位との差は870g。
最後の1本が無かったらどうなっていたのだろうか?
勝つべき時は運も味方するのである。
しかし、その運を手にするには弛まない努力と、
最後まで諦めない根性が必要である。

橋本プロ、おめでとうございます。
優勝までの軌跡をしっかり見せていただきました。
今後の私の釣り人生の大きな財産となりました。
本当にありがとうございました。



二日間釣りもせずにボートに乗るなんて、有り得ないことだと思っていた。
だが釣りをしないからこそ非常に勉強になるのだと思う。
ボートポジションやエリアの見切りなど、非常に参考になりました。
さらにバスにプレッシャーを掛けない為に、極力エレキを踏まないとか、
魚探・GPSの電源をこまめに切るなんてことは、
考えたこともありませんでした。
そう言った細かいことに気を使うからこそ、
結果がついて来るんだと感じました。
バスフィッシングの奥義を知りたい人は、
プレスを体験してみることをお薦めします。



最後に二日間を橋本プロと一緒に過ごし、1つだけ言えることがあります。
すっかりファンになりました。
いつかは見るだけでなく一緒に釣りがしてみたいです。
来期もがんばって下さい!!