World BassSosiety 2005W.B.S.プロクラシック14

出村輝彦 レポート:プレスアングラー 小野里 巧

9月24日&25日、W.B.S.プロクラシックで
出村輝彦プロの船に同船させていただきました。
同選手の戦いぶりをレポートさせていただきます。

初日
土浦新港にてタックルの準備をしている出村選手と少し話しをすると、
どうやら強く吹く北寄りの風をとても気にしている様子でした。



船を浮かべゴーグルを装着しようとする私にむかって、
「それ、いらないですよ」と出村選手は言いました。
どうやら 強風の為、試合プランを変更したらしいのです。
当初は、玉造エリアを予定していた様ですが、
この風では……。



船が少し小さめというのもプラン変更の要因、
と語っていました。
そして船は、本当にゴーグルもいらない程の距離の
桜川の河口へ到着しました。

ファーストポイントは、
底泥浚渫用の幾つもに連なったドラム缶のようなパイプ。
この浮きストラクチャーに付くバス狙いです。
ファットイカをフォールさせて攻めていきます。
30分後、ドラム缶に繋がる台船の脇にリグを投入すると、
待望のバイトが……しかし痛恨のバラシ。
非常に悔しがっているようす。
すぐに気を取り直し打ちながら、
またほぼ同じ所にフォールさせるとまたバイト!
しかし、今度はフックアップできずに、
ワームだけがフックからズレて戻ってきてしまいました。
そして また同じポイントにリグ投入すると、
またバイト! しかし、またしても乗らず……
さすがに、雨空の下、イヤ〜な空気が流れていました。 

今度はアシを打ち始めました。
実はここからが 出村選手の快進撃の始まりでした。
なんと! ベイトタックルに付いてるワームは、
3インチバレットのノーシンカーです。
「それで 投げられるのですか?」と思わず聞いてしまいました。
すると「投げられますよ」と軽く答える出村選手でした。
そしてアシ打ちを始めましたが、
器用に小さいワームをコントロールし、
アシの奥にもワームを投入していました。
時折、ボートデッキに
膝をついてのピッチングなども見られました。

そして、8:00。ついにファーストフィシュ!
約500gの魚でしたが、
「とりあえずウェイイン出来るぞ!」と嬉しそうでした。



しかし、これは始まりにすぎませんでした。
次ぎにすぐ近くのハードボトムを
スピナーベイトでゆっくり流すと500g、700gが連続ヒット!

11:00頃、再びアシ打ちをしていると小型ながら4本目をキャチ!
「今日はこんなパターンか〜」
と本当はもっとデカイのを狙いたい様子でしたが、
はじめの連続ミスの時とは、
明らかに雰囲気が変わってきました。

レギュラーシーズンではスピニングも多用していたとのことですが、
この日はベイトタックルのみ、と言うことで、
クラッシクへの意気込みも伝わってきました。
そして11:15、アシ際でサイズアップの約900gで5本目。
周りを見ても他の選手もレンタルボートも見つけることはできず、
完全に桜川河口は出村選手のマイウォーターとなっていました。



12:40、やっぱりアシでこの日の6本目。
なんとキロオーバー!!
今までのアシ打ちではサイズが小さめでしたので、
出村選手も少しビックリした様子でした。



その後は、「あと1本!」と意気込みましたが、
なかなかバイトが届きませんでした。
しかし、自分の釣り方を信じてアシを打ち通し、
14:10、念願の7本目、遂にリミットメイク!
出村選手の執念を見た瞬間でした。
私も嬉しくてプレスアングラーながら握手をして共に喜びました。
そして本人も言うように、上出来の初日となりました。

二日目
この日は台風17号がさらに接近し、
北寄りの風がさらに強く吹きつける悪条件の中でスタートしました。
この日も向かった先は桜川でした。
しかし、前日と大きく違う点はボートの数です。
2番フライトの出村選手が到着し、
デットスローで河口へ進入し始めた時に、
後ろを振り向くとすでに4挺ほどのボートが
数珠繋ぎとなり渋滞となっていました。



それでもまったく気にする事無く、
アシ打ちをメインに昨日と同じパターンで押し通す作戦でした。
そして、7:50、8:30、9:30、10:30と
小型ながらアシ打ちで着実に魚をキャチしていきました。
リグは昨日と同じ3インチバレットのノーシンカーです。
気が付くと外は大荒れ。
桜川河口には約10数挺が入り、大銀座となっていました。
しかし、お互い声を掛け合い譲りあって、
みなさんのマナーの良さがとても印象的でした。

出村選手いわく、
「僕と同じ釣りをしてる人はいないので、
人がいてもあまり関係ないんです」
と言いきっていました。
確かにいくらアシでブロックされているとはいえ、
この強風の中で3インチバレットのノーシンカーを
コントロールするには日頃の練習や慣れが必要だと感じました。

11:45、昨日はあまり出番がなかった
3インチのパワーホグのダウンショットで
ハードボトムのブレイク下をゆっくりズル引きして5本目をキャッチ!
「これって、ひょっとしたら……」などと声を掛けると、
「いや、いや、W.B.S.はそんなに甘くないですよ」
とまだまだ厳しい表情でした。
なんとかこの日もリミットメイクを…と集中する出村選手。

13:20、アシ際に係留されたボート脇に流れ着いた木の枝や
流木の下にバレットを滑り込ませ6本目をキャッチ!
ラインを枝に巻かれながらの格闘でしたが、
「今のはカッコ良かったね〜」と本人も納得の様子。



惜しくもこの魚を最後にタイムアップとなり、
リミット達成とはなりませんでした。

しかし、最終的には準優勝です!
素晴らしい結果となりました!!

今回、出村選手の試合に同船させていただき感じたことは、
トーナメントでの「精神力」と「集中力」です。
頑張り続けられる精神力と釣れると信じて投げ続ける集中力、
この二つを持続することが出来れば、
好成績を手中に収めることができると言うことでした。
特に、初目の3連続ミスから気持ちを持ち直してのリミットメイク、
二日間、狭く同じエリアに限定されても途切れない集中力などは、
とても素晴らしいものでした。



始めは広い霞ヶ浦を駆け回り、
豪快な釣りを期待していたこともありましたが
また別の大事なことを教えていただいた気がします。
とても参考になりました。
悪天候の中、他の選手の方々、スタッフの方々、
大変、お疲れ様でした。
貴重な体験をさせていただたことに感謝いたします。
ありがとうございました。

プレスアングラー 小野里 巧