■2004年バスマスターツアー開幕・FLハリスチェーン



2004年ツアーシーズンが、
今年もフロリダ州ハリスチェーンからスタートした。
昨年のハリスチェーンとは打って変わり、
アーリースプリングの日差しが顔を覗かせ、
スポーニングのためにバスがシャローを差し始めているのが、
オフィシャルプラクティス中、手に取るように分かった。

プラクティスはサイトフィッシングと
フリッピングを中心に見て回り、
プラン通りに上手く釣れれば、
上位入賞も狙えるパターンの兆しも見えてきた。
が、フロリダ特有の気難しさが試合中に出れば、
大外しもありえる。



開幕戦初日は18番フライトと、
サイトフィッシングには最高のスタートとなるはずであった。
スキーターをオンプレーンさせると、
一目散にサイトで見つけた、
推定8パウンダーに向けてアクセルを踏んだ。

キャナルを幾つか抜けていくと、
前方にフライトナンバー17番のアルトン・ジョーンズがいた。
スタートからずっと、テール・トゥ・ノーズで
同方向にボートが進んで行くのである。
同じバス狙いなのでは・・・と不安が脳裏をよぎる。
こういう予感は得てして当たるもので、
アルトンはまさに、あの8ポンドバスがいるボートドックの
手前でボートを止め、キャストし始めた。

試合終了後、
ウェイインで隣同士だったので本人から直接聞いたのだが、
4キャスト目にあっさり食いつき、オフィシャルウェイトは
10ポンド13オンスのビッグフィッシュ賞をもたらすバスだった、
と彼は言っていた。
フライトナンバーが命運を分ける一匹であった。

さて、その後は予定通りにサイトと
フリップでリミットを揃えにいったが、
試合初日からコールドフロントがハリスチェーンを襲ったため、
一気に4〜5℃も水温が下がり、
スポーニングに差し始めていたメスが釣れなくなっていた。

主にシャロー側の葦やパッドを
7インチのリボンテールとブラシュホグを付けた4本の
フリッピングスティックを用意して釣っていたのであるが、
自分のエリアはバスの気配がすっかり少なくなっていた。



二日目はフリッピングに絞り、
少しでも深さのあるパッドやキャナルのベンドを釣ったが、
良いエリアにはことごとくボートが張り付いていた。
それでも十分なバイトは有ったが、自らミスを犯した。

ディープパッドエッジでラインが左に動き出した。
十分に溜め込んで全開でフッキングに持ち込み、
50cmをゆうに超える6ポンドオーバーが、
フリッピングスティックを締めこんでパッドの中から顔を出した。
その直後「えっ、ラインブレイク?」と思いきや、
フックがただ外れたことに気が付いた。
フックの選択ミスをしていたのは、自分自身が良く分かっていた。
こういう状態ではストレートシャンクか
ストロングワイヤーオフセットシャンクのフックを使用するのが、
自分のタックルバランスとフッキングスタイルには適している。

しかし、今回の試合に限り、
ワイドギャップのスーパーストロングワイヤーの
オフセットを選択していた。
今までフリッピングでこのフックを使って、
何度も嫌な思いをしているにも関わらず、
プラクティス中にビッグバスにフックを伸ばされたので、
このスーパーストロングワイヤーに惹かれてロッドに結んでしまった。
最近日本で一番ポピュラーなワイドギャップフックは
ウィードレスに優れているが、その反面フリッピングにおいては
ビッグバスになればなるほど口が大きいので、
ワームがバスの口の中でずれ難く、
すっぽ抜けたり口の中で浅くかかる。

さらにペグやフロリダリグにおいて、
シンカーがワームのズレを保護するので
瞬時に大きくフッキングする自分のフッキングスタイルには
向いていないのである。

この他にも数匹ミスフッキングし4匹の小型をウェイインしたに留まり、
119位と開幕戦を躓いてのスタートとなった。
アルトンとのフライト順もフックの選択ミスも、
それに導かれた運による物であるかもしれないが、
運も実力の内である。



現に自分がフリップしていたエリアから数名が上位に滑りこんでいる。
彼らはコールドフロントに即座に対応していた。
自分の実力が無いのが嫌というほど分かり、
初戦から叩きのめされた気分と強い悔しさが残った。