終夜営業 Vol.5 『安全ピン型ルアー』


リトリーブ中に引ったくられるような、
そんな強烈なバイトを得られるスピナーベイト。
このバスフィッシング独特の安全ピン型ルアーは、
エキサイティングな釣りを私に味わせてくれ、
数々のドラマを生んでくれました。

これまで、何種類かのスピナーベイトを使ってきましたが、
今回紹介するスピナーベイト、フレック・ウィードウェーダーは、
私のスピナーベイティングの原点となったルアーで、
初めてスピナーベイトでバスを引き出せたルアーでもあり、
今でも大事にストックしている思い出の逸品です。

私がこのスピナーベイトを初めて手にしたのは、
かれこれ20年ほど前の1980年頃でした。
当時、すでにバスホッグやミスターツイスター、
レッドマンといった優秀なスピナーベイが、
ショップに並んでいました。
しかし、それまでスピナーベイトで、
たったの一匹しか手にしたことしかなかった私にとって、
それらはどれもボリュームがあり過ぎで、
素直に手にすることは出来ませんでした。

そんな中、唯一抵抗感が無く、
素直に手を伸ばすことができたのが、
このちょっと小振りで、
鮮やかな蛍光ビニールスカートを持った、
フレックのウィードウェーダー、
1/4ozのスピナーベイト でした。

抵抗感の少なさと蛍光色の綺麗さに負けて、
手に入れたフレックのスピナーベイトでしたが、
当時の製品としては完成度がとても高いものでした。
常に安定したリトリーブ姿勢を保ち、
アームの強度が増すように工夫されたツイスト・ラインアイ、
そしてインディアナ・タンデムのブレイドコンビネーションは、
心地良いバイブレーシンをロッドティップに伝え、
スピナーベイトの使い方を全く理解していなかった私が使っても、
十分にバスを誘い出す能力を備えていたのです。

フレックのスピナーベイトを手に入れてからの数ヶ月後、
千葉の大網周辺にあった野池へ友人と釣りに行きました。
当時は、ボートもフローターもなく、
もっぱらオカッパリばっかりでした。そんなオカッパリで、
何気なくキャストしたスピナーベイトに、
突然バスがバイトしました。その後も、
訳の分からないまま数匹のバスを手にすることができました。

バスのサイズはどれも30cm以下の小振りでしたが、
偶然に釣れた一匹のバス以来、
スピナーベイトでは全くバスに出会えずにいた私にとって、
キツネにでも抓まれているかのような出来事で、
手を震わせながら釣りをしていたのが、
今でもハッキリと記憶に残っています。

その後、すっかりスピナーベイトにハマッた私は、
様々なタイプのスピナーベイトを手にしては試したのです。
また、ブレイドカラーを変えたり、
アームに鉛をまいてウェイト調整をしたり、
素材の異なるスカートを装備させたり、
トレーラーのサイズや形を変えたり、
さまざまな改造を試みたのです。
その結果、スピナーベイトの世界に
ドップリとはまり込んでしまったのです。

その後、訪れるフィールドの変化とともに、
手にするスピナーベイトにも変化が表れ、
スピナーベイティングのベースとなったフレックの
ウィードウェーダーからバスプロのスピナーベイト、
そしてスタンレーのスピナーベイトへと、
私のスピナーベイト遍歴は続くのでした。

つづく。