■ その714 霞ヶ浦の変化

ブルーギルが減った。
霞ヶ浦でバス釣りをしているアングラーなら、
誰もがそんな感覚を持っている。
しかし、漁業者はそうは思っていないらしい。

バスが減ったという事実は、漁業者もしっかりと理解把握しているが、
ブルーギルのことは出てこないのだ。
確かに、ブルーギルとアメリカナマズは茨城県でも駆除対象魚なので、
その効果がジワジワと浸透しているのかもしれない。

その昔、バス釣りをしていると、
概ねどの場所でもギルアタリと言うものがあった。
それほどブルーギルは、霞ヶ浦のありとあらゆる所にいたのだ。
しかし、ここ2〜3年そのギルアタリがめっきり減った。
霞ヶ浦の水中ではどんな変化が起こっているのだろう?


霞ヶ浦が白濁した時、
あれほど沢山いたペヘレイが忽然と姿を消した。
あの白濁を境に霞ヶ浦の生物相そのものが、
大きく変わってしまったような気がする。

が、ここ2〜3年は白濁が収まり、水色に緑が戻ってきた。
夏にはアオコが出るようになった。
すると、ワカサギが豊漁になった。
シラウオも湧きがよくなった。
エビも秋の大爆発が起こるようになった。
クルメサヨリもアカムシ餌で釣れるようになった。

しかし、餌が多いので増えて良いはずの肉食魚が増えていない。
ブルーギルを始めとして、
アメリカナマズも以前よりは釣れなくなった。
バスに至っては忘れ去られるほどに釣れない。

その一方で、成魚になると肉食化するペヘレイや、
どちらかと言うと肉食系のアオウオが増えている。
恐らく、生き物たちの生活サイクルが違うので、
その年の天候や水位、透明度などで増える魚が違うのだろう。
が、アユやワカサギの様な年魚ではないバスやブルーギルは、
成長に年月が必要なので、増え難いのだろう。


だから、いずれ騒がれているアメリカナマズだって、
大幅に減少してしまうかも知れない。
そう考えると、一匹の命を大切にしないとね。
日々歳々、水中の生き物たちは水の変化に呼応して、
生き方や棲み家を変えているのだ。
それに対応できていないのは、オレたち人間だけである。
残念ながら……。