川口信明・盛隆弘チーム、
二日間、怒涛のビッグウェイトを持ち込み
堂々、最終戦のチャンピオンに!!


そしてA.O.Y.の栄冠は赤羽修弥選手の頭上に!!



2008年W.B.S.プロトーナメント最終戦レポート

いうまでもなく最終戦は今年最後のレギュラー戦。
年間チャンピオン、そしてクラシック出場者が決まる大事な試合。
この日のために一年間戦ってきた総決算である。

もちろん、2デイのこの試合ならではのビッグプライズを目指して、
ロッドを握る選手もいる。
Bプロはそのジャンルでの1位を目指す。

いずれにせよ、各選手の立場に応じて、
さまざまな戦いが繰り広げられるのが最終戦。

今年も二日間にわたって凄まじい死闘が演じられた。
AOYの栄冠に輝いた者、逃した者。
クラシック出場権を滑り込みで確保した者、
届かなかった者、
勝負事なので勝者がいれば敗者もいる。
だが、試合後は皆、精一杯戦った充実感をいささかも隠さず、
実にいい顔を見せていた。




9月6日朝、戦いの幕は切って落とされた。
一週間前に日本全国を襲ったゲリラ豪雨の影響が心配されたが、
ほぼ現状回復は終わり、逆に水門の開放で日ごとに減水。
一般的には釣れる季節だが、
状況は極めて難解。
とくに魚の居場所を特定すること、
そしてそれに口を使わせる作業は至難のワザ。
イージーゲームは期待できそうにない雰囲気が立ち込めていた。



おまけに朝は曇天、風もないベタ凪。
釣れる雰囲気は皆無のコンディションだった。

10時を過ぎてからやっと陽が出て風が吹き始め、
魚の食い気を促進させてくれたが、
そまれまでは胃の痛くなる時間ばかりが経過した。

いうまでもなく2デイの試合では
スタートダッシュが大切である。
とくにA.O.Y.レースやクラシック出場権のボーダーライン上にいるものは、
2日目をいい感じで迎えるためにも、
初日の滑り出しがキーとなる。
トップに立つ必要はないが、
ソコソコの土台は確保しておきたい。
最初から外していては、最終日のプランが後手後手になり、
やることなすこと裏目に出る。
精神的にも追い詰められてしまう。
そうなったら技術もへったくれもない。
貯金は人生でも試合でも大切なのである。
(私にはない)

そんな初日にロケットスタートをかましたのが
川口信明・盛隆弘チーム。
木原のジャカゴ、通称「ジャッカー」で着実にナイスな魚を獲り、
怒涛の5kg超え。
川口選手はパートナーの盛選手に
「ひたすら粘りの一日だから、我慢してくれ」
と宣言して、タテから横から斜めから、
手を変え品を変え「ジャッカー」を攻めまくり、
一本ずつキーパーを重ねていった。



続いたのが蛯原英夫・浅井由孝チーム。
妙技水道でビッグフィッシュ賞をゲットした1,360gを含めて4,970g。
これも十分ビッグウェイトといえる。
2日目を迎えるにあたって、これほど強力な貯金はないだろう。
ましてや蛯原選手はA.O.Y.レースのど真ん中にいる男。
この結果、それまでずっとトップを走ってきた赤羽選手を逆転してしまった。
(赤羽・高岡チームは初日2,370g)。



印象としては、今回ちょっと見えていなそうな赤羽選手に対し、
絶好調を感じさせる蛯原選手の初日のウェイト。
「赤羽選手危うし」と周囲は感じたことだろう。

好調なチームは他にもいた。
桜川とスノヤハラで順調にリミットを達成した
金光忠実・山田貴之チームは4,080g。
初日3位の滑り出しである。
二人ともクラシック出場権がノドから欲しいだけに、
このアドバンテージは大きい。
いきなりモチベーションメーターが
レッドゾーンまで達したことはいうまでもない。



だが、この二人に過酷な運命が待っていようとは…
この時点では神様しか知らなかった。

このところ好調な平本直仁・竹内聡チームは
本湖下流域のリーズ周りをジグでクレバーに攻めて
3,830g。4位で折り返した。



一時はクラシックも危ぶまれた平本選手だが、
ここにいたってはクラシックなどは当たり前、
年間もいったろか、というほどの勢いである。

石井賢二・小田島悟チームは
東浦・玉造・麻生をローテーションして3,310g。
山本寧・末永宏行チームは3,300g。
成田紀明・出村輝彦チームが3,180g。
藤原勝己・赤荻拓馬チームが3,060g。
西村義高・宮澤孝博チームも3,060g。
そして村川勇介・清水綾チームが3,020gと、
10チームが3kgを超えた。

ちなみに初日のリミットメイカーは32チーム中16チーム。
全チームの平均ウェイトは2,446g。
釣れているともいないともいえる微妙な数字である。
だが、難解といわれたエリアから、
とにもかくにもこれだけの魚を持ち込んでくるのは
さすがとしか言いようがない。



初日が終わった時点で暫定のランキングが発表された。
前出のようにA.O.Y.レースでは蛯原選手がトップに立った他、
さまざまな乱高下があった。
もちろんクラシックボーダーライン上の選手たちにも、
少なからず移動があった。
文字通り一喜一憂する選手たち。
全ては最終日に決まる。
戦う男たちは、翌日の釣りをイメージして眠りに付いた。

目を閉じれば、あのスポットがまぶたに移り、
スルッとテキサスを落とす。
そこへ「ゴゴン」というあたり。
「クラシックはもらったゼ」
思わず身体全体でアワセて、
布団を剥いだりしたことだろう。
もちろんサオは握ったままだ。
そんな感じで眠りに付いたのは起床1時間前だった、
という選手もいた。



さて、運命の最終日がやってきた。
朝になれば万人に平等に次の日が来るのである。
予報では昼頃から雨ということだったが、
曇天の見本のような空。
風もない。
これが各チームにどう影響するのか……
32チーム64名の選手たちは、
最終戦の最終日に燃え尽きるべく、
リッター170円台に下がったガソリンを惜しげもなく炊いて、
各エリアに散っていったのである。



今回も各チームがチョイスしたエリアは様々だった。
西浦、東浦、スノヤハラ、本湖下流、常陸利根川、そして桜川など。



とくにどこが良くてどこが悪かったという目立った結果は出ていないが、
面白いのは、2日間とも同じエリアを粘りきったチームが上位を占めたこと。
それだけプロダクティヴだったこともあろうが、
自信と確信を持った釣りが結果を出したということだろう。




11時半には例のゲリラ豪雨のような雨が本部を襲った。
30分ほど降り続いたが、やがて止んだ。
その後は強烈に蒸し暑い太陽が顔を見せた。
当然、ズブ濡れになったチームもいたが、
あるエリアではまったく降らなかったというから面白い。



さて、そうこうしているうちにグラチャンも終わり、
各チームが帰着するようになった。



果たして優勝は?
A.O.Y.は?
クラシック出場権は?

みんながみんな大注目する中、
ウェイインショーは始まった。

2デイの試合では、
2日間同じようなウェイトを持ち込むチーム、
2日目に失速するチーム、
逆に2日目に大爆発するチームの3種類に分かれる。

大藪厳太郎・鈴木正チームは2日目爆発チームの典型。
初日2本1,640gで、クラシック出場権に黄色信号が点った大藪選手、
2日目は怒りの4,900g。
この日トップのウェイトを持ち込んだ。
本湖下流域の杭でジャバロン90のヘビダンに来た1,590gは
もちろんこの日のビッグフィッシュ。
トータルでも6,540gまで盛り返し、みごと6位入賞。
クラシック権も余裕で獲得した。



大藪選手TackleData
Tackle1
ROD:EVERGREEN TEMJIN COBRA
REEL:Daiwa ジリオン
LURE:IMAKATSU ジャバロン90
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラス 14lb
RIG:ヘビダン


逆に2日め失速したチームの代表は
山本寧・末永宏行チーム。
まずまずの成績で2日目を迎えたが、
まさかのノーフィッシュだった。

上位を占めたのはやはり2日間安定したウェイトを持ち込んだチーム。
金光忠実・山田貴之チームは
初日より少し落としたが2,470gでトータル6,550g。
みごと5位に入賞した。



そして4位は石井賢二・小田島悟チーム。
2日間3kg台を確保してお立ち台をゲットした。



3位の村川勇介・清水綾チームも同様。
2日間本湖下流域でゲームを組み立て、
安定したウェイトを固めた。
場所は麻生ドッグの下。
葦から離れた何かを
テキサスリグで攻略。
具体的にはロッククローとグラスミノーのLだった。



村川選手TackleData

Tackle1
ROD:G-Loomis 783
REEL:Daiwa STEEZ103H
LURE:ECOGEAR ロッククロー/ グラスミノー/ジグツインフィリップ
LINE:DUEL ハードコアXX 12lb
RIG:テキサス
COMMENT:
ショートバイトの対応にストレートフックを仕様

清水選手TackleData

Tackle1
ROD:AIRVIPER MOCCASIN ・
REEL:Daiwa VIENTo
LURE:KICKER FISHBAIT co. weedless wacky worm
LINE:SunLINE FC SNIPER 12lb
RIG:ネコリグ
COMMENT:
プラに比べて魚がスローでした。
シンカーの重さが重要でした。

準優勝の平本直仁・竹内聡チームも2日間安定タイプ。
このチームは高値安定だったので、2位に入った。
OSPゼロワンジグの9gを駆使して、
曇っている時はスイミング、
晴れたら、パンチングロッドで撃ってく、
という釣りで天候にアジャスト。
晴れた初日は杭をまわって、2,3本入れ替え4位スタート。
2日目は雨の予報にアジャストして、
メインエリアをひたすら往復、初日以上のウェイトを持ち込んだ。



平本選手TackleData
Tackle1
ROD:Fenwick TAV-GP 70CHJ
REEL:Daiwa TD-Z103ML
LURE:O.S.P.ゼロワンジグ
LINE:TORAY プラミアムプラス ハイグレード 16lb
RIG:テキサス

Tackle2
ROD:Fenwick S-TAV-GP 76CMH-TJ
REEL:Daiwa TD-Z100ML
LURE:PDL ABホッグ
LINE:TORAY プラミアムプラス ハイグレード 18lb
RIG:テキサス1/2oz

Tackle3
ROD:Fenwick S-TAV-GP 611MLP+J
REEL:Daiwa TD-Z103ML
LURE:GaryYAMAMOTO シャッドシェイプ 4inch
LINE:TORAY プラミアムプラス 12lb
RIG:ヘビーダウンショット
COMMENT:
その日の"今"に対応できて満足。

竹内選手TackleData
Tackle1
ROD:Megabass F7-740G
REEL:ベイトリール
LURE:GaryYAMAMOTO ゲーリークロー
LINE:TORAY スーパーハードストロング 16lb
RIG:テキサス

Tackle2
ROD:Megabass F4-65X Dti
REEL:ベイトリール
LURE:GaryYAMAMOTO ゲーリークロー
LINE:TORAY スーパーハードストロング 12lb
RIG:テキサス
COMMENT:
ボーターの平本さんの対応力がすごい。感動しました。


そして優勝は初日5,010g、2日目4,020gと
タテ続けにビッグウェイトをかました川口信明・盛隆弘チーム。



初日に爆発した木原で心中とハラをくくって、
同じような釣りを展開すれば、またまたリミットメイク。
しかもナイスキーパーもチラホラ。
川口選手は「特別なキモなどはありません」
と謙遜していたが、それなりのノウハウを駆使しての結果だと思われる。
その優勝は十分称えられてよい。



川口選手TackleData
Tackle1
ROD:VAGABOND アクションロッド A/CP 170XX633
REEL:ベイトリール
LURE:ECOGEAR ロッククロー
LINE:SunLINE バイトマーカー 10lb
RIG:テキサスリグ

Tackle2
ROD:VAGABOND アクションロッド A/CP 170XX603
REEL:ベイトリール
LURE:Berkley パワーフライ
LINE:SunLINE FCびわこ 8lb
RIG:ダウンショット

Tackle3
ROD:VAGABOND アクションロッド MHC 250XX66X
REEL:ベイトリール
LURE:ラバージグ
LINE:SunLINE FCスナイパー 14lb


盛選手TackleData
Tackle1
ROD:ベイトロッド 665
REEL:Daiwa ジリオン 100SH
LURE:GaryYAMAMOTO ファットイカ
LINE:SunLINE FCスナイパー 14lb
RIG:ノーシンカー

Tackle2
ROD:ベイトロッド 603
REEL:Daiwa TD-X103H
LURE:Berkley パワーホグ 3inch
LINE:SunLINE FCスナイパーBMS 12lb
RIG:ダウンショット

Tackle1
ROD:ベイトロッド 70MH
REEL:Daiwa TD-Z 103H
LURE:ZBC スピードクロー
LINE:SunLINE FCスナイパーBMS 12lb
RIG:テキサスリグ5g
COMMENT:
疲れました。


さて、話は戻るが、
2日目に失速したチームの大物を忘れていた。
それは、
蛯原英夫・浅井由孝チーム。
なんとっ、2本で1,110g。
好調だった初日の釣りを引きずり過ぎたと反省していたが、
初日のビッグフィッシュ賞はしっかりと獲得していた。

蛯原選手TackleData
Tackle1
ROD:EVERGREEN タクティクス テンペスト
REEL:Daiwa STEEZ103HL
LURE:IMAKATSU ダイナゴン3.5inch
LINE:EVERGREEN マジックハードEX 16lb
RIG:ノーシンカー


だが、蛯原選手の失速で赤羽選手との差が一挙に縮まった。
蛯原選手も2本1,110gでは『負けた』と諦めたことだろう。



そして赤羽選手のボートがウェイインにやってきた。
最後のウェイインである。
会場はいやが上にも盛り上がった。
土浦新港に静寂が訪れる。

赤羽選手との差はわずか1,280g。
それ以上持ってくれば赤羽選手。
それ以下だったら蛯原選手。

運命の一瞬が訪れた。
ライブウエルから魚を取り出す赤羽選手。
1本、そして2本……
それで終わった。



全員がカタズを飲んだ。
その差は1,280g。
魚は2本。
これは計ってみなければわからない。

赤羽、蛯原両選手は「まな板」の鯉。
「どーでもしてくれ」とハラをくくる。

フィッシュチエックを終えた魚がスケールに載せられた。
運命の数字は





「1,450g!!」



一瞬の間をおいて、会場に地響きのような感動が起こった。
赤羽選手、二度目のA.O.Y.獲得の瞬間である。



興味深いのは初日を終えた時点での蛯原選手と赤羽選手との差は170g。
で、終わってみれば赤羽選手と蛯原選手との差は、これも170g。
たかが170g、されど170g。
これを名勝負といわないで何を名勝負というべきだろうか。

立派だったのは蛯原選手、
すぐに赤羽選手に握手の手を差し伸べ、互いに健闘を称えあっていた。
真剣に勝負したからこそのノーサイド。
これは戦う男たちにしかわからない。
そこには感動がある。充足がある。幸福がある。
それがマジなトーナメントの素晴らしいところである。



だが、非情な現実もある。
前述の金光・山田チーム。
なんと、山田選手が20位、金光選手が21位という皮肉な結果。
誰かが21位にならなければならないが、
パートナーが20位とは……
金光選手にはこの悔しさをバネにしてほしいところだ。



さて、年間5戦のW.B.S.は2デイが2回1デイが3回ある。
つまり5本×7日で35本がフルリミット。
もちろん35本持ち込んだ者はいない。
トップは赤羽選手の年間30本。
つまり86%のリミット率ということになる。
2位が蛯原選手の28本で、ジャスト80%の率。

結局トーナメントというのは、
いかにリミットを達成することが大切かということがよくわかる。
多少の差はあれ、
一年間に持ち込んだキーパーの数がランキングに表れている。
みなさん、無用にデカイのを狙わずに、
来年はとにかくキーパーを確実に持ってきましょう。

というわけで今年の最終戦も大いに盛り上がって終了した。
Bプロでトップになった酒寄選手にもオメデトウといいたい。



そしてあえてキャラに反してダイブを敢行してくれた赤羽選手、
名勝負を見せてくれた蛯原選手、
そのほかの全選手に
「今年一年アリガトウ」といいたい。
我々はスタッフは、みなさんの真剣な勝負を見て、
生きる勇気をもらっている。



朝早くから準備に勤しむのも、
選手の皆さんの熱き心に応えたいからだ。
その汗と涙は、我々の喜びでもある。
W.B.S.の端に名を連ねるものとして、
その一員であることを誇りに思いたい。



今年はまだクラシックやバサー・オールスタークラシックもあるが、
とりあえずレギュラー戦の総括として、
ご苦労様とともに、来年もヨロシクと申し上げたい。


レポート・大和小平(やまとしょうへい)