■■RPM CRANK MID-4  その1


7月下旬にようやく発売となるダイワ製RPMクランクは、
構想から3年以上の月日がかかった。
本当は昨年春に仕上がるようにプロトタイプを作成していたのだが、
自分の思惑とサイズやバランスがマッチせず、
思い切って一から作り直した。

当然それまでにメーカーサイドは時間とお金を使った訳で、
大変申し訳なかった。
が、本当に自分で使える物を納得いくまで作り込んだからこそ、
エリートシリーズやメジャーでも
信頼してロッドの先に結ぶことができた。
僕自身のイメージが
ウッドのクランクベイトだけを愛用しているように思われているが、
全くそんなことは無い。

確かにバグリーやノーネイムクランクなど、
気にいったタイプも未だに存在するし、
何時でも出撃準備はできている。
サイズや状況によってウッドとRPMを使い分けようと思っていたが、
2006年トレイルでのシャロークランクはRPM一筋で結果が出ているので、
ウッドの出番が全く無かった。

RPMの特徴としては、
ピッチやウォブルの強さはウッド以上の物に仕上がっていて、
これが宮崎友輔が試合で使う動きだと思ってもらって構わない。
良いも悪いもクランクベイトのアクションについては、
カレーライスの味と一緒でそれぞれの好みがあるので
自分で試して見て判断して欲しい。
そして何より根掛りの少なさを追求した。

シャロークランクはレイダウンの奥の隙間やスタンプ、
リップラップ、べジテーション回りでの使用が多く、
当然ストラクチャーにコンタクトさせて使うのが重要となる。
出来るだけストラクチャーにダイレクトにキャストし、
バウンスしながら回避しつつ、バスのバイトだけは逃してはいけない。
その矛盾を解決し、更にどうしても#4サイズのフックを、
このサイズのクランクベイトでも背負わせたかった。


RPM1 このサイズのバスを釣る為に#4のフックをどうしても必要とした。

そうするにはトラペゾイド型リップやフロントアイの位置、
ボディー形状の組合わせが重要であるが、
余りいじりすぎると根本のルアー自体の動きにも差し支えてしまう。
自分は手でフック同士がギリギリ絡むぐらいがベストなセッティングで、
一日キャストし続けてもほとんどフックが絡むトラブルは起きない。

またボディー形状も余分な飾りなどはバスを釣るためには必要はなく、
反ってボディーシェルの自重が増しレスポンスが悪くなると思っている。
ダイワのルアー担当者の理解が無ければ完成は無かったと思う。
『宮崎選手、顔やエラなど樹脂を盛らないと見かけがプアーになったり、
フック絡みは消費者は凄く嫌がるから厳しいな〜』。
でもそれらを、押し切ってくれた形となった。

水深にしても、シャロークランクが最も適した水深というのが有る。
ミディアムダイバーとはしっかりと定義を区別して考えなければならない。
ストラクチャーを絡めるシャロークランクは、
巻き出しと同時にレスポンス良く泳ぎ出さなくてはならない。
出来るだけストラクチャー周りで水をかき回し、
周辺に潜むバスにクランクベイトの存在を気づかせなければ
このゲームが成立しない。


ワイドウォブルのクランクベイトはキッカーフィッシュを呼びやすい。

ルアー自体がシャローフィールドで潜り過ぎると、
ストラクチャーに絡むはずのルアーがボトムノックし過ぎて、
葉っぱやグラス、ゴミを拾って釣りにならない。
だからって潜らないのはもっと問題がある。

シャローのやる気のあるバスは岸際すれすれや
レイダウンの中でも中層から上を意識していることが多い。
この中層を再認識したのは、
数年前のスパースリーデイズで、
師匠・吉田幸二のクランキングスタイルであった。

恋瀬周辺の得意エリアでも、水深1.5m以上あるテトラ周辺でも、
決してボトムノックを必要としていなかった。
とにかくルアー自体のポテンシャル(ウォータームーブメント)で
やる気のある大型のバスを釣るというものである。
当然キャスティング技術とボートポジションがあってこその
クランキングなのは言うまでもないが、
完全な中層を意識した釣り方であった。

僕自身は霞ヶ浦のテトラなどは、
ノーマンDBNでボトムをかすめるぐらいが丁度良いと考えているが、
シャロークランクの可能性を見せてもらった。

僕が考えるシャロークランクのターゲットゾーンは、
1〜6(0.3〜1.8m)フィートであり、
特に2〜4フィート(0.6〜1.2m)が最もプロダクティブである。
RPMはフロロの14LBでフルキャストして
ロッドの先を水面に着くすれすれに下げると、
水温によっても違うが1.5mダイブに到達する。
ボートで釣る場合、魚探の水深はトランスデューサーの位置が
水面から30〜50cmも下に来るので、
1mぐらいしか潜っていないように思えても、
実際の水深はそれより深いので注意が必要である。


エリート初戦・アミスタッドのタックルの一部

シャロークランクはストラクチャー回りではロッドを立てて使うことも多く、
ロッドポジションで水深の微調整を常に心掛けるのが大切である。
最後にクランクベイトでバスを釣るのに重要なのは、
単純に『正確に投げて巻く』をどれだけ信じてやれるかに懸かっている。